スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

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九百九十八話 祝い事だから

「へいへい、呑んでるかアラッド~~~~!!!!!」

「えぇ、吞んでますよ」

ディーナが復讐を達成した祝いとして宴会が開かれてから数十分……まだまだ宴会が終わることはないが、既に出来上がっている冒険者が既に何人もいた。

「いやぁ~~、あれだろ。アラッドたちもAランクモンスターをぶっ倒したんだろ!!」

「倒したのは、俺やスティーム、ガルーレじゃなくてクロですけどね」

「クロってのはあれだろ、お前の従魔だろ。ってことは、お前らがぶっ倒したも同然だろ!!!!」

アラッド的には違うだが、他の冒険者たちからすればアラッドたちが倒したも同然だった。

「んで、どんなAランクモンスターだったんだ?」

「ミノタウロスが独自の進化を遂げたモンスターでしたね」

「ミノタウロスがか…………パワー半端じゃなかったんじゃねぇか?」

「そうですね。虎竜とディーナはあまり周囲を荒さないように戦ってたんですけど、Aランクのミノタウロスは関係無く暴れ回って周囲の木々が殆ど破壊されましたよ」

アラッドたちにとってAランクモンスター、牛飢鬼の登場は完全に予想外。

特に隠す内容はないため、決してエールを呑み過ぎて酔ってぺらぺらと喋ってしまっている訳ではない。

「お前の従魔を相手にそれって超ヤベぇな」

「ヤバかったですね」

「……まぁでも、本当にお前らが来てくれて良かったよ」

アラッドに絡んできた男性冒険者は、ふと……優しい笑みを浮かべた。

「多分、お前らが来てくれなきゃ、ディーナは復讐を達成出来なかっただろうからな」

「………………牛飢鬼というイレギュラーに関しては、確かに俺たちが来なかったら危なかったですね」

虎竜との戦いに関して、アラッドたちは自分たちとの出会いや力がなければ、ディーナが虎竜を倒せなかったとは思えない。

ただ……牛飢鬼の存在に関してはアラッドたちだけではなく、ディーナにとっても予想外の存在であった。

「だよな~~。だから、やっぱあいつを見てた人間としては、本当にアラッドたちが来てくれて良かったと思ってる」

「……どうも」

自分たちのお陰で、誰かの復讐が達成されたと言われれば……悪い気はしなかった。

「ていうか、アラッドたちは牛飢鬼以外のAランクモンスターとも遭遇したことあるんだろ。その時の話を教えてくれよ!」

「あっ、それ私も気になる!!!!」

男の提案を聞き、複数の冒険者がアラッドたちの元に集まる。

(ディーナが復讐を達成した祝いの宴会、だよな? …………まぁ、冒険者だからあまりその辺りを気にしないか)

空になった杯に注がれたエールを呑みながら、アラッドはドラゴンゾンビや雷獣の成体、轟炎竜との戦闘経験について話し、同業者たちは夢中になって聞き、所々で盛り上がる。

そういった流れを何度も何度も繰り返して……約四時間後、多くの冒険者たちがギルドの床で突っ伏していた。

「おぅ、若いの。まだ呑めるとはぁ、中々やるじゃないか」

「両親が割と呑む方だったので」

まだ起きている冒険者たちは、ドワーフたちの様なエールのことを美味い水と思っている様な者たちしか残っていない。

スティームも……決して弱くはないが、ノックアウト状態となっていた。
今はアラッドの隣にいるため、手癖の悪い連中に悪戯されることはなく、すやすやと眠っている。

ガルーレに関しては……いつも通りと言えばいつも通り、宴会中にこの雄とならと思える男性冒険者を発見し、夜の街へと消えていた。

「そうかそうか。では、儂のとっておきをくれてやろう。ほれ、ディーナ。お主もまだまだ呑めるじゃろう」

「……まぁな」

種族的にはドワーフについてアルコールに強い鬼人族のディーナも、浴びるほど祝いのエールを奢ってもらったが……まだ一応意識はあった。

「って……ドンガの爺さん。それは火酒じゃないか」

ドワーフの冒険者、ドンガがギルドに頼んで保存しておいてもらっている酒の正体は……火酒。

ドワーフであれば嫌いな者はいないとまで言われている酒であり、ドワーフたちが酒と認める酒。
つまり……アルコール度数が半端ではない。

「…………流石に、ロックで飲ませてもらおう」

そう言うと、アラッドはグラスに注がれた火酒の中に生み出した氷を入れ、ついでにディーナのグラスにカットした氷を入れた。

「ありがとう、アラッド」

「ふむ、まぁ散々呑んだ後であれば、それも一興か」

三人は軽くグラスを鳴らし、火酒を一口……喉に通す。

(っっっっ………………アルコールに耐性があって、良かったと感じるな)

喉を通す前から熱さ、強烈さを感じていた。
そして実際に火酒がなどを通ると……灼熱、といった感想が零れる。

アルコールに耐性がない者が、それこと一発で酔いが回ってもおかしくなく、ただただアルコールの強さしか感じられない。

だが、常人と比べて遺伝的な要素もあってアルコールに強いアラッドは、火酒の味まで楽しむことが出来た。

「……美味いな。しかしドンガの爺さん、あんたが自分の火酒を出すなんて、珍しいじゃないか」

「ふん。そりゃ娘か孫ぐらいの歳の奴が、復讐なんて酷な壁を見事ぶち壊し、乗り越えたんじゃ。そりゃ祝いたくもなるじゃろう」

「そう、か…………ありがとう」

ディーナは今日、何度目になるか分からない、心の底から出た感謝の言葉を口にした。
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