スキル「糸」を手に入れた転生者。糸をバカにする奴は全員ぶっ飛ばす

Gai

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千四十二話 来るか?

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(……おい、告げるのか?)

(わ、私に話を振るんですか!!!???)

ガルーレと似ている部分、ボディータッチが多い、話し方がフランク、距離が近いといった行動に身に覚えがないフローレンス。

そんな彼女に対し、事実を伝えるのか否か……アラッドはフローレンスの側近に近い立場になりつつあるソルに視線で尋ねた。

(俺の一存だけで、告げることは出来ないだろ」

(で、ですが)

二人は連絡系の交信スキルを有している訳ではなく、特殊なマジックアイテムを使っているわけでもない。

ただ、会話の流れから互いに視線だけである程度の会話が出来ていた。

「? アラッド」

「…………プライベートな内容であることを考えれば、あまり俺が口を突っ込むことではない。ただ、俺から言えることがあるとすれば、お前はガルーレと立場が違うということだ」

「ガルーレとの立場の近い、ですか」

「そうだ。まぁ、実際に問題が起きてないならば、今まで通りでも問題無い。それに……お前の場合、やはり立場が立場だ。野郎たちが勘違いしたとしても、馬鹿な行動を起こすことはない筈だ」

そこでガルーレやフローレンスの相手を勘違いさせる行動に関しては話しを止め、また別の会話で盛り上がった後……夕食後、アラッドはフローレンスからある事を伝えられた。

「……もう揃えられたのか」

その内容とは、キャバリオンの制作に関して素材が集まったというものだった。

「えぇ」

「……勿論、俺から言い出した事だ。素材を用意出来たのであれば造るが、俺は錬金術師としては二流もいいところだ。どうしても素材の質に左右されてしまうぞ」

相変わらずキャバリオンは製作出来る。
なんならポーションやマジックアイテムの指輪やネックレスなども造れることは造れるが、それでも一流の腕には届いていない。

それはアラッドの謙遜ではなく、ただの事実である。

「実は、父に話したら……頼んでもいないのに、素材を送られてきたのです」

「……………………そうか」

頼んでもいないのに、という言葉をアラッドは捻くれた捉え方をせず、その通りに受け取った。

(本当に頼んでないんだろうな…………んで、俺も正直フローレンスの親父さんの気持ちも解らなくもない)

自分が妹であるシルフィーには二つの超上等な大剣を、弟であるアッシュには珍しいモンスターの素材を錬金術の材料としてプレゼントしている。

そういった感覚と同じだろうと判断し、ひとまず納得。

「そうなると……お前のキャバリオンは、うちの実家で造るか」

「アラッドの実家、ですか」

「あぁ。これから始まるだろ。その前に、一度実家に帰っておこうと思ってな」

戦争が始まる前に、家族に顔を見せておく。
アラッドの場合、そもそも家族が戦争に参加するというイレギュラーがあるものの、戦争が始まる前に家族でゆっくりとした時間を過ごす意味はある。

「…………どうする、フローレンス」

「えっと、なにがでしょうか」

「いや、うちの実家にくるか?」

「っ!?」

突然のお誘いに、フローレンスの貴族や騎士としての仮面が珍しく崩れる。

「どうせなら、そのまま渡せるからって思ったんだが…………やっぱりあれか、フローレンスはフローレンスで一度
自分の実家に帰っておきたいよな」

「い、いえ!! 大丈夫です!!!

「……そ、そうか。それじゃあ、俺は早速明日から実家に帰るつもりだが、行けるか?」

「えぇ、勿論です」

勿論です、ではない。
本来であれば王都であれよこれよと、戦争に参加する騎士団との合同訓練など、その他にも予定があった。
予定があったのだが…………それらの内容が、一瞬にしてどうでもよくなってしまった。

よろしくない事ではあるが、これまでフローレンスが新米ながらに積み重ねてきた実績があれば、多少なりとも我儘を言う権利はある。

結果……フローレンスはそのまま我儘を押し通すことに成功。
フローレンスの上司も、他団との合同訓練はあまりフローレンスの為にならないと思っていた。
アラッドの実家で過ごした方が、色々とフローレンスの為になるだろうとは思ったものの……やはり、問題は他の団などに対する説明。

フローレンスの上司はやや脳筋思考を持つタイプの騎士ではあるが、その辺りを適当にやってしまっては駄目なことぐらいは解っている。
だからこそ面倒だと……やりたくないと思いつつも、フローレンスのお陰で優秀な人材を失わずに済んでいるという事を思い出し、なんとか頑張って言い訳を考えるのだった。




「ねぇ、アラッド。本当に良かったの?」

「ん? あいつらの事か」

現在、アラッドはフローレンス……たちと共に移動中。
フローレンスとしては自分だけ向かっても良いと思いつつ、それは彼等のリーダーとして不適切であると思い、アラッドにルーナたちも同行しても良いかと尋ねた。

「別に問題無い……というか、そもそもフローレンスが一人でうちに来る方が、余計なことを勘繰る奴が現れそうだからな」

アラッドにとっては、ルーナたちが付いてくるのは寧ろ都合が良かった。
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