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第286話 あくまで精神論
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「なぁ、イシュド君。俺から見て、君はそれなりに聖騎士との戦いに慣れている様に思えたんだが、過去に戦闘経験があったりするのかい」
普段はだらしなさマックスのダメ教師であるクルトだが、噂の狂戦士が本当に面白過ぎる生徒だったということもあり、気になっていた事に関して臆することなく質問した。
「? そりゃあるっすよ。うちの実家に仕えてる騎士の中にも聖騎士の職に就いている人たちは多少いるんで」
「「「…………」」」
ヨセフ、ローザ、パオロは固まってしまった。
もう、イシュドがどれだけ奇想天外な事を口にしても驚かない。そう思っていた。
そして今回は……驚きの感情こそ、なるべく顔に出なかった。
ただ、それでも決して小さくない衝撃を受けた三人。
「はは……それは凄いと言うか…………これまた、俺たちの常識に当てはまらない考え方があるのかもしれないね」
「俺特有の考え方がどうかは知らないっすけど、別に信仰する対象が神じゃなければ、聖騎士になれない訳ではないんじゃないっすか」
「あっはっは!! はっはっは!!!! はぁ~~~~~~……皆、ここは食事の場なんだから、あまり怒らないでくれよ」
アンジェーロ学園側の生徒たち全員ではない。
実際に……本当の意味でイシュドと刃を、拳を交えたエリヴェラとステラは解っていた。
決して、イシュドは自分たちが信仰している神を冒涜したわけではないのだと。
ただ、それでもどうしてそういった考えに至ったのか気になる。
そんな中、アンジェーロ学園の生徒たちの中で、唯一特に気にした様子を見せず、ニヤニヤと笑みを浮かべていたのはレオナだけだった。
「信仰する対象が神でなくとも、聖騎士の職に就ける可能性がある、か……それが、負の側面を持つものだとしてもかい」
「それだったら、普通に暗黒騎士になるんじゃないっすか? 物凄い簡単な例を出すと、ある騎士が絶体絶命のピンチの際に、とある大先輩の騎士が助けてくれた。まさに命の恩人とも言える存在……その騎士にとって、神と自身を絶望の危機から救ってくれた大先輩の騎士……どっちが敬意を、信仰心を持つ対象になると思うっすか」
「……ふふ、俺の口からは答えられない。それが答えとうことにしてくれないかな」
「うっす」
イシュドが例に出した内容は、非常に解り易い内容だった。
信仰心を持つヨセフたちも、頭では理解出来る内容。
ただ、彼らには彼らなりの常識がある。
「うちの身近な例で言うと、デカパイとかそうだよな。こいつの会長パイセンに対する気持ちとか、若干それに近ぇし」
「…………」
その当時は、ミシェラなりの正義があったとはいえ、気持ちが先走ってしまい、暴走してしまった自覚があるため、今回に限っては何も反論しなかったミシェラ。
「究極的に言っちまえば、誰かを守りたいって気持ちを持ってて、そこに後はそれなりの素質があれば……とりま不可能じゃないんじゃないっすかね。あっ、でも守りたいって気持ち云々だと、聖騎士じゃなくて守護騎士の方が転職時の候補に浮かび上がるか? って考えると………………気持ちが三割程度、素質が七割程度で決まるのかもしれないっすね」
当然の事ながら、イシュドは職業博士ではない。
この世界が、実はイシュドが前世でプレイしてたゲームの世界、なんて裏事情もない。
今イシュドが語っている内容は、スポーツで言うところのあくまで精神論。
それでも……ヨセフたちは、イシュドが語る内容に関して、上手く返せる言葉が浮かんでこなかった。
「……そういう考えもある、と知れて良かったよ」
「上からになっちゃいますけど、そんな感じで受け取ってた方が良いっすよ。ぶっちゃけ、俺が言ってることはどれも根拠がないんで」
「でも、実例はあるんだろう」
「…………ふ、ふふふ。そうっすね、確かに実例はあるっすよ」
レグラ家に仕える人間の中に、確かに聖騎士の職に就いている人間は複数存在する。
加えて……レグラ家血筋を引く人間の中にも、聖の名が付く職業に就いている者もいる。
(あれは、言わねぇ方が良いだろうな)
イシュドにしては、珍しくヨセフたちに気を遣った。
実例を教えても良いのだが、一応まだ現段階ではあまり広く知れ渡ってはいない内容ということもあり、自重した。
この後も、クルトは折角の機会だからと、普段のだるさマックスの態度からは想像出来ないほど何度もイシュドに質問した。
それはエリヴェラやステラも同じであり、ガルフたちも会話に混ざりながら、一応今回の昼食に関しては特に問題が起こることもなく、楽し食事会になった。
ただ……珍しく意気揚々と話し込んでいたクルトは従業員から伝票を見せられ、再度口から魂が抜けかけた。
元々、学園側からイシュドたちをもてなす為の費用は受け取っていた。
その額は決してイシュドたちを下に見ている様な額ではなく、しっかりとした金額が用意されていた。
しかし、イシュドが予想以上の遠慮なしで大飯ぐらいだったこともあり、クルトが立てていた消費計画が一気に崩壊した。
そんなクルトを無視し、ステラたちは予定通りイシュドたちが初めて訪れる街、聖都を案内した。
(………………確かに、澄んでいる……いや、澄んでるとはまた違うか。白いって感じがするな)
自分には似合わねぇ雰囲気だなと思いながらも、イシュドは初めて訪れる聖都の観光を割と楽しんでいた。
「そういえば、イシュド君は神がいると思っていますか?」
観光案内中、エリヴェラはふと思いついた質問をイシュドに投げかけてしまった。
「「「「「「っ!!!???」」」」」」
質問内容を耳にしたヨセフたちは、ギョッとした表情を浮かべる。
釣られて……エリヴェラも自分が何を尋ねてしまったのか……聞くにしても、今ここで、周りに大勢の通行人がいる前で尋ねる内容ではなかったと後悔した。
「神ねぇ……まっ、いるにはいると思うぜ」
「「「「「「「っ!!!!!?????」」」」」」」
まさかの答えに、今度はヨセフたち全員揃ってギョッとした表情を浮かべるのだった。
普段はだらしなさマックスのダメ教師であるクルトだが、噂の狂戦士が本当に面白過ぎる生徒だったということもあり、気になっていた事に関して臆することなく質問した。
「? そりゃあるっすよ。うちの実家に仕えてる騎士の中にも聖騎士の職に就いている人たちは多少いるんで」
「「「…………」」」
ヨセフ、ローザ、パオロは固まってしまった。
もう、イシュドがどれだけ奇想天外な事を口にしても驚かない。そう思っていた。
そして今回は……驚きの感情こそ、なるべく顔に出なかった。
ただ、それでも決して小さくない衝撃を受けた三人。
「はは……それは凄いと言うか…………これまた、俺たちの常識に当てはまらない考え方があるのかもしれないね」
「俺特有の考え方がどうかは知らないっすけど、別に信仰する対象が神じゃなければ、聖騎士になれない訳ではないんじゃないっすか」
「あっはっは!! はっはっは!!!! はぁ~~~~~~……皆、ここは食事の場なんだから、あまり怒らないでくれよ」
アンジェーロ学園側の生徒たち全員ではない。
実際に……本当の意味でイシュドと刃を、拳を交えたエリヴェラとステラは解っていた。
決して、イシュドは自分たちが信仰している神を冒涜したわけではないのだと。
ただ、それでもどうしてそういった考えに至ったのか気になる。
そんな中、アンジェーロ学園の生徒たちの中で、唯一特に気にした様子を見せず、ニヤニヤと笑みを浮かべていたのはレオナだけだった。
「信仰する対象が神でなくとも、聖騎士の職に就ける可能性がある、か……それが、負の側面を持つものだとしてもかい」
「それだったら、普通に暗黒騎士になるんじゃないっすか? 物凄い簡単な例を出すと、ある騎士が絶体絶命のピンチの際に、とある大先輩の騎士が助けてくれた。まさに命の恩人とも言える存在……その騎士にとって、神と自身を絶望の危機から救ってくれた大先輩の騎士……どっちが敬意を、信仰心を持つ対象になると思うっすか」
「……ふふ、俺の口からは答えられない。それが答えとうことにしてくれないかな」
「うっす」
イシュドが例に出した内容は、非常に解り易い内容だった。
信仰心を持つヨセフたちも、頭では理解出来る内容。
ただ、彼らには彼らなりの常識がある。
「うちの身近な例で言うと、デカパイとかそうだよな。こいつの会長パイセンに対する気持ちとか、若干それに近ぇし」
「…………」
その当時は、ミシェラなりの正義があったとはいえ、気持ちが先走ってしまい、暴走してしまった自覚があるため、今回に限っては何も反論しなかったミシェラ。
「究極的に言っちまえば、誰かを守りたいって気持ちを持ってて、そこに後はそれなりの素質があれば……とりま不可能じゃないんじゃないっすかね。あっ、でも守りたいって気持ち云々だと、聖騎士じゃなくて守護騎士の方が転職時の候補に浮かび上がるか? って考えると………………気持ちが三割程度、素質が七割程度で決まるのかもしれないっすね」
当然の事ながら、イシュドは職業博士ではない。
この世界が、実はイシュドが前世でプレイしてたゲームの世界、なんて裏事情もない。
今イシュドが語っている内容は、スポーツで言うところのあくまで精神論。
それでも……ヨセフたちは、イシュドが語る内容に関して、上手く返せる言葉が浮かんでこなかった。
「……そういう考えもある、と知れて良かったよ」
「上からになっちゃいますけど、そんな感じで受け取ってた方が良いっすよ。ぶっちゃけ、俺が言ってることはどれも根拠がないんで」
「でも、実例はあるんだろう」
「…………ふ、ふふふ。そうっすね、確かに実例はあるっすよ」
レグラ家に仕える人間の中に、確かに聖騎士の職に就いている人間は複数存在する。
加えて……レグラ家血筋を引く人間の中にも、聖の名が付く職業に就いている者もいる。
(あれは、言わねぇ方が良いだろうな)
イシュドにしては、珍しくヨセフたちに気を遣った。
実例を教えても良いのだが、一応まだ現段階ではあまり広く知れ渡ってはいない内容ということもあり、自重した。
この後も、クルトは折角の機会だからと、普段のだるさマックスの態度からは想像出来ないほど何度もイシュドに質問した。
それはエリヴェラやステラも同じであり、ガルフたちも会話に混ざりながら、一応今回の昼食に関しては特に問題が起こることもなく、楽し食事会になった。
ただ……珍しく意気揚々と話し込んでいたクルトは従業員から伝票を見せられ、再度口から魂が抜けかけた。
元々、学園側からイシュドたちをもてなす為の費用は受け取っていた。
その額は決してイシュドたちを下に見ている様な額ではなく、しっかりとした金額が用意されていた。
しかし、イシュドが予想以上の遠慮なしで大飯ぐらいだったこともあり、クルトが立てていた消費計画が一気に崩壊した。
そんなクルトを無視し、ステラたちは予定通りイシュドたちが初めて訪れる街、聖都を案内した。
(………………確かに、澄んでいる……いや、澄んでるとはまた違うか。白いって感じがするな)
自分には似合わねぇ雰囲気だなと思いながらも、イシュドは初めて訪れる聖都の観光を割と楽しんでいた。
「そういえば、イシュド君は神がいると思っていますか?」
観光案内中、エリヴェラはふと思いついた質問をイシュドに投げかけてしまった。
「「「「「「っ!!!???」」」」」」
質問内容を耳にしたヨセフたちは、ギョッとした表情を浮かべる。
釣られて……エリヴェラも自分が何を尋ねてしまったのか……聞くにしても、今ここで、周りに大勢の通行人がいる前で尋ねる内容ではなかったと後悔した。
「神ねぇ……まっ、いるにはいると思うぜ」
「「「「「「「っ!!!!!?????」」」」」」」
まさかの答えに、今度はヨセフたち全員揃ってギョッとした表情を浮かべるのだった。
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