転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。

Gai

文字の大きさ
344 / 485

第344話 そこで倒せてなければ……

しおりを挟む
「その歳で闘気だけではなく、護身剛気まで使えるとは……未来が楽しみな学生だ」

「あ、ありがとうございます」

「…………良ければ、どのようにして会得したのか、尋ねても良いか」

立場上、ガルフはフランガルからの頼みを断れない。

それを……フランガルは特に意識はしていなかった。
ただ、常識を持つ聖騎士として、情報は時として値段が付けられない程の価値があると知っている。

だからこそ、ガルフというまだ学生で平民である者に対し、丁寧に良ければ教えてほしいと伝えた。

「え、えっと……」

当然、ガルフはイシュドの方に視線を向ける。
それはガルフだけではなく、フランガルも同じくイシュドに視線を向けていた。

理由は単純であり、学生たちの間ではイシュドがリーダー。
付け加えるのであれば、フランガルとしては学園長から聞いた話と、イシュドから聞いた話……そして、実際にレグラ家の人間であるイシュドと出会い、その雰囲気を肌で感じ取った結果……敵対してはならないと、深く思ったから。

「良いんじゃねぇの。話してやれよ、ガルフ」

「う、うん。えっとですね、まずは……闘気を体得したタイミングからですよね」

「あぁ。そこから離してくれると嬉しい」

ガルフは自国の王都で行われ祭り、激闘祭トーナメントの準々決勝で行われた試合について話し始めた。

「なるほど……そんな試合があったのだな」

ガルフが話しているうちに、フランガルだけではなく学生たちの試合相手をしていた他の護衛者たちもガルフの話を聞くのに集中していた。

「それは……やはり、ガルフ君にとって壁を越えた試合だったか」

「はい、そうですね。進む道に、光を感じたと言いますか、おそらく……分厚い壁を無意識に壊すことが出来た試合だったと思います」

そして、ガルフは次に護身剛気を使えるようになった切っ掛けに関する出来事を話し始めた。

「よ、四人でミノタウロスを、か……」

話を聞き終えたフランガルの額には、冷や汗が流れていた。

「あ~りゃヤバかったよな、アドレアス」

「そうだね。ヤバくなかったかヤバかったかで言えば、ヤバかったというのが正しいね。ガルフ君が護身剛気を使えるようになり、イブキ君が刀技……居合・三日月だったかな。あれがなければ、本当に危なかったと思う。それに、ミノタウロスとの戦闘が終わった後にフィリップがアルバードブルを何とかしてくれなかったら、折角四人でミノタウロスを倒せたのに、終わってしまうところだったよ」

「おいおい、自分の活躍を忘れてどうすんだよ。お前が渾身の突きをぶちかまさなかったら、それはそれで終わってただろ」

「ふふ……そうだったかもしれないね」

アドレアスは最後の最後にフィリップが怒りを爆発させてアルバードブルを倒してくれたのが大きいと思っており、フィリップはフィリップでガルフとイブキが最高の
仕事をしてくれたのは間違いないと断言出来る。

しかし、アドレアスが放った渾身の風刺がなければ、討伐に至らなかったと思っていた。

「そうだったのだな…………しかし、学園側は良く君たちがミノタウロスの討伐依頼を受けることを許可したな」

「それに関しちゃあ、移動しながら話しましょうか」

イシュドたちは再び魔法の絨毯に乗り、目的地へ出発。

「ガルフたちがミノタウロス討伐の依頼を受けたのは、基本的に俺と同行してたからなんすよ」

「イシュド君と共に……なる、ほど。そういう事だったか……いや、しかし」

学園の上層部が、何故その様な決断をしたのかは解る。
まだ、フランガルたちはイシュドが戦う光景は観ていないものの、それでも鑑定系スキルを使わずとも学生の枠に収まる存在ではないと……本気で戦うことになれば、自分たちが負ける可能性も十分あり得るのを理解している。

しかし、学生の時点で闘気を使えるだけでも十分将来性の高い有望株であり、その他のミノタウロス討伐依頼に参加した面々の素質の高さも窺える。

だからこそ……現時点で学生の中では優秀だからといって、Bランクモンスターと戦わせても良いのかと、疑問を抱いてしまう。

「単純に平民のガルフが結果を出したのが気に喰わなかったのか、それとも令息連中をボロカスにした俺を目の敵にしてんのかは知らないっすけど、そういうのもあってそれらしい理由を叩きつけたんじゃないっすかね」

「そうか…………愚かな事を」

「まっ、結局俺がいるから云々かんぬんって話は一理あるなとは思ったんで、一応
了承はしたんすよ」

本人が語る通り、イシュドはその理由に一応納得はした。
だが、友人たちに万が一があったらならないと、裏であれこれ対処はしていた。

結果……本当に対処しておいて良かったとなるも、その話に関してはさすがこの場では語れない。

「上の爺ぃ、婆ぁどもも本当に面倒な事してくれるぜ。あのミノタウロス、主の咆哮を持ってやがったしな」

「なっ!!!!! ふぃ、フィリップ君だったか。それは、本当なのか」

「えっと、多分っすけど、ただの咆哮じゃない圧を感じたんすよ。ほら、俺ら毎日イシュドと戦り合ったりしてるんで、ただの咆哮だと……圧は感じるんすけど、Bランクモンスターなら…………体が固まることはないと思うんすよ」

ミノタウロスの討伐依頼以降、何度かBランクモンスターと複数人でぶつかり合う機会があったため、フィリップはそれなりに確信があった。

「……君たちが討伐出来なければ、大きな被害が生まれたかもしれなかったな」

「そ~れは……なんでなんすか?」

「あまり資料は多くないが、ミノタウロスが主の咆哮というスキルを得た場合、その後高確率でAランクモンスターへ進化するらしい」

「「「「「「「「「「っ!!!???」」」」」」」」」」

フランガルの言葉を耳にしたフィリップたちは、その情報に全くもって驚きを隠せなかった。

「へぇ~~~…………なんか、それっぽいって言うか、結構納得出来る理由っすね」

レグラ家の領地では、基本的にランクの高いモンスターであっても、レグラ家の人間や騎士たち、もしくは冒険者たちがぶっ殺しに行くため、中々進化の機会を得ることがない。

だが、イシュドはこれまでの記憶を振り返ってみると、フランガルの語る資料内容がかなり正しいと思えてきた。

(ぶっ殺した後に視る機会があったからな~~~……全部が全部じゃねぇけど、確かにAランクの奴らは……割と主の咆哮を持ってたかもな)

因みに、レグラ家の人間や騎士たちは、BランクモンスターやAランクモンスター
が主の咆哮などのスキルを使おうとすれば、即座に雄叫びを上げて掻き消す。
しおりを挟む
感想 51

あなたにおすすめの小説

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

婚約破棄された伯爵令嬢ですが、辺境で有能すぎて若き領主に求婚されました

おりあ
恋愛
 アーデルベルト伯爵家の令嬢セリナは、王太子レオニスの婚約者として静かに、慎ましく、その務めを果たそうとしていた。 だが、感情を上手に伝えられない性格は誤解を生み、社交界で人気の令嬢リーナに心を奪われた王太子は、ある日一方的に婚約を破棄する。  失意のなかでも感情をあらわにすることなく、セリナは婚約を受け入れ、王都を離れ故郷へ戻る。そこで彼女は、自身の分析力や実務能力を買われ、辺境の行政視察に加わる機会を得る。  赴任先の北方の地で、若き領主アレイスターと出会ったセリナ。言葉で丁寧に思いを伝え、誠実に接する彼に少しずつ心を開いていく。 そして静かに、しかし確かに才能を発揮するセリナの姿は、やがて辺境を支える柱となっていく。  一方、王太子レオニスとリーナの婚約生活には次第に綻びが生じ、セリナの名は再び王都でも囁かれるようになる。  静かで無表情だと思われた令嬢は、実は誰よりも他者に寄り添う力を持っていた。 これは、「声なき優しさ」が、真に理解され、尊ばれていく物語。

【完結】転生したら脳筋一家の令嬢でしたが、インテリ公爵令息と結ばれたので万事OKです。

櫻野くるみ
恋愛
ある日前世の記憶が戻ったら、この世界が乙女ゲームの舞台だと思い至った侯爵令嬢のルイーザ。 兄のテオドールが攻略対象になっていたことを思い出すと共に、大変なことに気付いてしまった。 ゲーム内でテオドールは「脳筋枠」キャラであり、家族もまとめて「脳筋一家」だったのである。 私も脳筋ってこと!? それはイヤ!! 前世でリケジョだったルイーザが、脳筋令嬢からの脱却を目指し奮闘したら、推しの攻略対象のインテリ公爵令息と恋に落ちたお話です。 ゆるく軽いラブコメ目指しています。 最終話が長くなってしまいましたが、完結しました。 小説家になろう様でも投稿を始めました。少し修正したところがあります。

婚約破棄? 私、この国の守護神ですが。

國樹田 樹
恋愛
王宮の舞踏会場にて婚約破棄を宣言された公爵令嬢・メリザンド=デラクロワ。 声高に断罪を叫ぶ王太子を前に、彼女は余裕の笑みを湛えていた。 愚かな男―――否、愚かな人間に、女神は鉄槌を下す。 古の盟約に縛られた一人の『女性』を巡る、悲恋と未来のお話。 よくある感じのざまぁ物語です。 ふんわり設定。ゆるーくお読みください。

【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした

果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。 そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、 あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。 じゃあ、気楽にいきますか。 *『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。

私が張っている結界など存在しないと言われたから、消えることにしました

天宮有
恋愛
 子爵令嬢の私エルノアは、12歳になった時に国を守る結界を張る者として選ばれた。  結界を張って4年後のある日、婚約者となった第二王子ドスラが婚約破棄を言い渡してくる。    国を守る結界は存在してないと言い出したドスラ王子は、公爵令嬢と婚約したいようだ。  結界を張っているから魔法を扱うことができなかった私は、言われた通り結界を放棄する。  数日後――国は困っているようで、新たに結界を張ろうとするも成功していないらしい。  結界を放棄したことで本来の力を取り戻した私は、冒険者の少年ラーサーを助ける。  その後、私も冒険者になって街で生活しながら、国の末路を確認することにしていた。

悪役令嬢ってもっとハイスペックだと思ってた

nionea
恋愛
 ブラック企業勤めの日本人女性ミキ、享年二十五歳は、   死んだ  と、思ったら目が覚めて、  悪役令嬢に転生してざまぁされる方向まっしぐらだった。   ぽっちゃり(控えめな表現です)   うっかり (婉曲的な表現です)   マイペース(モノはいいようです)    略してPUMな侯爵令嬢ファランに転生してしまったミキは、  「デブでバカでワガママって救いようねぇわ」  と、落ち込んでばかりもいられない。  今後の人生がかかっている。  果たして彼女は身に覚えはないが散々やらかしちゃった今までの人生を精算し、生き抜く事はできるのか。  ※恋愛のスタートまでがだいぶ長いです。 ’20.3.17 追記  更新ミスがありました。  3.16公開の77の本文が78の内容になっていました。  本日78を公開するにあたって気付きましたので、77を正規の内容に変え、78を公開しました。  大変失礼いたしました。77から再度お読みいただくと話がちゃんとつながります。  ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。

転生してもオタクはなおりません。

しゃもん
恋愛
 活字中毒者である山田花子は不幸なことに前世とは違いあまり裕福ではない母子家庭の子供に生まれた。お陰で前世とは違い本は彼女の家庭では贅沢品でありとてもホイホイと買えるようなものではなかった。とは言え、読みたいものは読みたいのだ。なんとか前世の知識を魔法に使って少ないお金を浮かしては本を買っていたがそれでも限界があった。溢れるほどの本に囲まれたい。そんな願望を抱いている時に、信じられないことに彼女の母が死んだと知らせが入り、いきなり自分の前に大金持ちの異母兄と実父が現れた。これ幸いに彼等に本が溢れていそうな学校に入れてもらうことになったのだがそこからが大変だった。モブな花子が自分の願望を叶えて、無事幸せを握り締めるまでの物語です。

処理中です...