冒険がしたい創造スキル持ちの転生者

連載

少年期［２５４］予想が現実に、そして不運が重なる

（あ～～～あ。あいつらの冒険者人生がどうなるかは知らないけど、何らかな処罰は下されるだろう。取りあえずこの街での冒険者活動はしずらくなるだろうな）

ゼルートはほんの少しだけ六人に同情するが、隣で未だに六人組へ殺意を放っているローガスを見て、これが一般的・・・・・・とは言わないが、それに近い姿だと思う。

（まず、相手を見下す表情は良くなかった。俺やアレナ、ルウナの装備は外見で良し悪しはそこまで分からずとも、セフィーレさん達の装備は一目で上等な物だと気づく筈なんだけどな）

セフィーレ達の装備は性能は勿論の事、外見も映えるもが多いのでその特徴だけで装備者が貴族だという判断材料になる。

（後、交渉に出す物も良くなかったな。まぁ・・・・・・セフィーレさん達を貴族だと気付かなかった時点で大した物を渡す可能性は低いか）

交渉材料として、六人組がこのダンジョンで見つかる最高ランクのマジックアイテムや、Cランクの魔物や発見が難しく素材が貴重な魔物、そして魔石等を複数出せばセフィーレの怒りを買う事は無かったかもしれない。

（流石に金貨数枚じゃな・・・・・・言い方は良くないかもしれないけど、公爵家の次女であるセフィーレさんにとったら金貨数枚なんて大した金じゃないだろう。無理だとは思うけど、白金貨ぐらい用意しないとな）

当然そのような金額を目の前で膝を付いて崩れ落ちている冒険者に用意出来るとゼルートは思っていないが、それでも公爵家の人間であるセフィーレとの交渉材料に対し、金で対応するならばそれぐらいないと話にならない。

（まぁ・・・・・・なんでラルの存在に気が付かなかったのかも疑問だけど）

自身の近くにいるラルの頭を撫でながら最もな疑問について考えるが、ゼルートは答えが分からなかったので考える事を止めた。

実際のところはラルが目立たない様に気配を消していた。
ラルは気配遮断のスキルを持っているため、六人から気配を悟られないくらい簡単に出来る。

そして更に数分後、ボスの扉が開くとゼルート達の一つ前に挑んだパーティーが所々怪我をしながら戻って来た。

「はぁ、はぁ、はぁ。くそ！！　なんだよあの強さ・・・・・・いつものオーガの強さと違うじゃねぇか」

「確かに、あの強さは異常だった。オーガジェネラルの強さもいつもと違ったな」

「本当に、今日はついてないわね。オーガを二体までは倒せたのに魔石も素材も回収出来ないなんて」

冒険者達は愚痴りながらゼルート達の方へやって来る。
そんな冒険者達にゼルートはアイテムバッグから取り出したポーションを持って話を聞きに行く。

「なぁ、これを渡すから何があったのか少しだけでもいいから聞かせてくれないか」

「坊主は昨日の・・・・・・ってポーションじゃねぇか。しかも見た感じランクDからCのポーション・・・・・・こんな質が良いのを貰っていいのか？」

「ああ、パーティーリーダーは俺だからな。その代り中のオーガとオーガジェネラルについて教えて欲しい」

いつものオーガ、オーガジェネラルという言葉に嫌な予感がゼルートの頭を過る。

（いつもと違うってだけで肌の色が違うとか入っていない。だから亜種とか希少種の可能性は低い)

この二つでない事自体、それはそれであり得ない事なのだが、別の可能性が良い方なのかと言えばそうではない。

ポーションを飲み終えた冒険者達はゼルートにオーガとオーガジェネラルの事を全て話した。

戦い方、使って来る技やスキル。
それらを聞いたゼルートの表情はどんどん険しい物に変わっていく。

「・・・・・・ってところだ」

「そうですか、有難うございます。これで地上に戻ったら一杯やってください」

「お、おおう。・・・・・・悪いな坊主。・・・・・・冒険者が冒険する事は悪い事じゃねぇが、無理はするなよ」

「はい。そちらも気を付けて帰ってください」

冒険者達と別れたゼルートはボスの部屋が再び開くまで、セフィーレ達に得た情報を全て話した。