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連載
少年期[340]砕いて崩してすり潰す
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再び放った少女のウィンドボールは上空へと弾き飛ばされてしまう。
ゆっくりと、ゆっくりとゼルートは歩を進めて少女に圧を与えていく。
魔法使いにとって自身の魔法を魔法で相殺されるのではなく、武器によって掻き消されるのでも無く素手で弾き飛ばされる悪夢の様な光景に少女が今まで積み重ねて来たプライドが少しずつ崩されていく。
拳に魔力を纏っていると解っていても、即座に納得出来る光景では無かった。
そろそろ魔力が尽くといったところで少女はウィンドボールより殺傷能力が高いウィンドカッターの詠唱を始めた。
しかしその事にゼルートは表情を変える事無く距離を縮めていく。
そしてもうこの距離では回避不可能だという距離からゼルートにウィンドカッターが放たれた。
「よっと」
そんな風の魔力から作られた鋭利な刃にゼルートは一発のジャブを放つ。
たった一発。拳を前に突きだしたパンチ一発でウィンドカッターはかき消されてしまった。
「あ、あああ、あああ・・・・・・な、なんっ、で」
「これで終わりだな」
完全に自信喪失した少女に纏っていた魔力を刃の形状に変え、前髪スレスレの距離まで刃を近づける。
「勝負あり!! ゼルートの勝ちだ!」
一目の摸擬戦が終わり、ゼルートは開始線に戻る。
自身のプライドがボロボロに砕かれた少女は地面にへたり込み、動けないでいた。
同じクラスメートにより少女は移動され、次は長剣を持った男子がゼルートとお摸擬戦を行う。
少女との一戦で迂闊に攻め込んでは駄目だと思った男子はゼルートの出方を待つが、ゼルートは自分から攻める気が全くないのでその場から動かない。
それに痺れを切らした男子が身体強化のスキルを使い、速度を上げてゼルートの斬り込む。
頭部を斬り裂いてしまったら最悪死に至る為、首より上はなるべく狙わない様にしようと考えていた男子だがそんな考えは頭の中からすっかり抜けていた。
ただ、摸擬戦という事も忘れて本気で斬りかかった男子の斬撃も無意味に終わる。
一、二、三、五、八、十、十五、二十三・・・・・・自分の体力が持つ限り全力で剣を振り続けが、そのどれもゼルートに掠りもしない。
長剣が空を斬る音だけが延々と続く。
そんな流れに飽きたゼルートはこれ以上何か新しい技でも出す事は無いだろうと判断し、斬撃を躱した瞬間にカウンターで腹パンを決める。
「がはっ―――!!??」
「終了」
男子の首元に手刀を添え、審判をしているボウドの方を向く。
これ以上の戦闘は無理だと即座に判断され、ゼルートの勝利に終わる。
それからも生徒達はゼルートに掠り傷すら与える事が出来ず、魔法は全て魔力を纏った拳に弾き飛ばされ、ハンマーに長剣や大剣の他に手斧や双剣どうの斬撃や打撃攻撃は全て紙一重で躱されてしまう。
何回かゼルートに攻撃が当たる事があったが、それは生徒達の渾身の一撃をゼルートが力の差を解らせるためにワザと受けた結果。
フェイントを織り交ぜ、やっと攻撃が当たると感じた生徒も少なからずいたが、ゼルートからすれば表情や目線に口の動きが全く隠せていないフェイントを躱せない道理はない。
そして最後に今回やって来た生徒の中で一番の強さを持つ者とゼルートは摸擬戦を行う。
初っ端から生徒は自身の長剣に風の魔力を纏い、ゼルートに本気の怒気を放ちながら斬りかかった。
その怒気が誰に向けられ、どんな思いがあるのかなんてゼルートは全く興味なかった。
最後の男子が使った自身の武器に属性魔力を纏わせる技術、それは見る者が見ればある程度驚く技術だ。
しかしゼルートはそれをここに来て一度、おおよそ戦う技術を学ぶ学校になんて行った事が無いであろう者が使える事を知ってる。
そもそも自身の幼馴染が現在の年齢より下の時に既に使う事が出来たのを覚えている。
生徒達の中でリーダー的男子が本気の力を見せた事でもしかしたらっ、といった表情をしている者達を見るゼルートの目は物凄く冷めていた。
ゆっくりと、ゆっくりとゼルートは歩を進めて少女に圧を与えていく。
魔法使いにとって自身の魔法を魔法で相殺されるのではなく、武器によって掻き消されるのでも無く素手で弾き飛ばされる悪夢の様な光景に少女が今まで積み重ねて来たプライドが少しずつ崩されていく。
拳に魔力を纏っていると解っていても、即座に納得出来る光景では無かった。
そろそろ魔力が尽くといったところで少女はウィンドボールより殺傷能力が高いウィンドカッターの詠唱を始めた。
しかしその事にゼルートは表情を変える事無く距離を縮めていく。
そしてもうこの距離では回避不可能だという距離からゼルートにウィンドカッターが放たれた。
「よっと」
そんな風の魔力から作られた鋭利な刃にゼルートは一発のジャブを放つ。
たった一発。拳を前に突きだしたパンチ一発でウィンドカッターはかき消されてしまった。
「あ、あああ、あああ・・・・・・な、なんっ、で」
「これで終わりだな」
完全に自信喪失した少女に纏っていた魔力を刃の形状に変え、前髪スレスレの距離まで刃を近づける。
「勝負あり!! ゼルートの勝ちだ!」
一目の摸擬戦が終わり、ゼルートは開始線に戻る。
自身のプライドがボロボロに砕かれた少女は地面にへたり込み、動けないでいた。
同じクラスメートにより少女は移動され、次は長剣を持った男子がゼルートとお摸擬戦を行う。
少女との一戦で迂闊に攻め込んでは駄目だと思った男子はゼルートの出方を待つが、ゼルートは自分から攻める気が全くないのでその場から動かない。
それに痺れを切らした男子が身体強化のスキルを使い、速度を上げてゼルートの斬り込む。
頭部を斬り裂いてしまったら最悪死に至る為、首より上はなるべく狙わない様にしようと考えていた男子だがそんな考えは頭の中からすっかり抜けていた。
ただ、摸擬戦という事も忘れて本気で斬りかかった男子の斬撃も無意味に終わる。
一、二、三、五、八、十、十五、二十三・・・・・・自分の体力が持つ限り全力で剣を振り続けが、そのどれもゼルートに掠りもしない。
長剣が空を斬る音だけが延々と続く。
そんな流れに飽きたゼルートはこれ以上何か新しい技でも出す事は無いだろうと判断し、斬撃を躱した瞬間にカウンターで腹パンを決める。
「がはっ―――!!??」
「終了」
男子の首元に手刀を添え、審判をしているボウドの方を向く。
これ以上の戦闘は無理だと即座に判断され、ゼルートの勝利に終わる。
それからも生徒達はゼルートに掠り傷すら与える事が出来ず、魔法は全て魔力を纏った拳に弾き飛ばされ、ハンマーに長剣や大剣の他に手斧や双剣どうの斬撃や打撃攻撃は全て紙一重で躱されてしまう。
何回かゼルートに攻撃が当たる事があったが、それは生徒達の渾身の一撃をゼルートが力の差を解らせるためにワザと受けた結果。
フェイントを織り交ぜ、やっと攻撃が当たると感じた生徒も少なからずいたが、ゼルートからすれば表情や目線に口の動きが全く隠せていないフェイントを躱せない道理はない。
そして最後に今回やって来た生徒の中で一番の強さを持つ者とゼルートは摸擬戦を行う。
初っ端から生徒は自身の長剣に風の魔力を纏い、ゼルートに本気の怒気を放ちながら斬りかかった。
その怒気が誰に向けられ、どんな思いがあるのかなんてゼルートは全く興味なかった。
最後の男子が使った自身の武器に属性魔力を纏わせる技術、それは見る者が見ればある程度驚く技術だ。
しかしゼルートはそれをここに来て一度、おおよそ戦う技術を学ぶ学校になんて行った事が無いであろう者が使える事を知ってる。
そもそも自身の幼馴染が現在の年齢より下の時に既に使う事が出来たのを覚えている。
生徒達の中でリーダー的男子が本気の力を見せた事でもしかしたらっ、といった表情をしている者達を見るゼルートの目は物凄く冷めていた。
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