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少年期[517]報酬は高いが難しい
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闘技場や魔物を使ったレース系のギャンブルで大金を稼いだゼルート達はその翌日、久しぶりに冒険者ギルドに向かっていた。
当然時間はのんびり寝て朝食を食べた後であり、基本的に割の良い依頼は既に他の同業者達に取られている。
しかしこの三日間でCランクの冒険者が一か月の間に稼ぐ額の何十倍ともいえる額を稼いだので、正直割の良い依頼を勝ち取ろうという気はさらさら無い。
「相変わらずこうやって朝ゆっくりと起きてのんびりギルドに向かうのはおかしいと思うけれど、流石に慣れてきたわ」
「だろうな。でも、AやBランクの頃はそこまで内容が良い依頼を勝ち取らなくても十分だったんじゃないのか?」
「普通に生活していくことだけを目標にするなら、その考えで十分だったわ。でもその頃はまだまだ上を目指そうという気持ちが強かったのよ。だから報酬の金額が良かったり、珍しいマジックアイテムが報酬の依頼があれば受けたかった。貯まったお金で今よりも質の良い装備を揃えて訓練も積んで格上に挑戦して、昇格を目指す。そんな日々の繰り返しよ」
「向上心が常にあってこその日常だ」
「ルウナの言う通りよ。ただ、基本的に冒険者はそんな者達の集まりよ。中には現在の状況で満足して停滞する者もいたり、裏で新人をいたぶろうとする屑に堕ちる最悪な奴もいたわね。でも、皆最初はランクを上げて成り上がってるって気持ち満々のルーキーが殆どよ」
「なるほど……私達が異常だということが再確認できた」
「そんな素直に異常だって言うなよ。確かに普通の冒険者とは色々と違ってるけどよ」
自分達は普通で無いという自覚はゼルートにもしっかりとあった。
本当の奥の手を使わずに悪獣というSランクの魔物を倒してしまうその実力に加え、錬金獣というゼルートのオリジナル作品である魔力があれば設定された動きを駆使して自動で戦う人工魔物と言える存在。
そんな兵器をゼルートは素材さえあれば生み出すことが出来る。
他の錬金術師たちもゴーレム制作に特化した者ならば戦闘用のゴーレムは造れるが、ゼルートほど人の動きを再現し、超えた動きを反映させる錬金術師はいない。
そしてゼルートの仲間達の戦力も考えれば大手のクランと全面戦争を行う事になったとしても……余程の手札を相手が持っていない限り、負けることは無い。
「ところでどんな依頼を受けるつもりなの?」
「ん~~~……まっ、基本的にはいつも通り討伐系の依頼だな」
ゴージャルの街周辺にもそれなりにモンスターは存在しており、稀にBランク以上の冒険者が討伐に必要な魔物の姿も確認されている。
「妥当ね。でもあれだけ大きなカジノが街にあるのだから魔物の捕獲系の依頼も張り出されてるかもしれないわよ」
「……あれか、闘技場の闘技者と戦ったりレース系のギャンブルに出場するためにか」
「そういう事。ああいう依頼ってかなり報酬額が高いのよ」
「へぇ~~~、それぐらい高いんだ?」
「そうねぇ……討伐系の依頼と比べると数倍から十倍ほど変わるんじゃないかしら」
「それはまた高いな。それなら結構競争率が高いんじゃないか?」
討伐系と比べて数倍から十倍、捕獲する魔物にもよるが白金貨に届く依頼も少なくは無い。
だが、ゼルートが思う程競争率は高くない。
「それがそうでも無いのよ。まず、万全な状態でカジノ側に渡さないといけないのよ。多少の傷なら大丈夫。でも、片目が無かったり片腕や片足が無いと例え生きた状態で捕獲しても買い取ってもらえないのよ」
「つまり依頼失敗になるって事か」
「そういうこと。それに捕獲だから街まで持っていく用の檻だって必要なのよ。生きてるとアイテムバッグの中に入れられないでしょ。それが競争率が低い要因の一つでもあるわね」
「なるほどねぇ~~……それは確かに難しそうではあるな」
入念な準備をして臨まなければ達成できない捕獲系の依頼。
慣れていない冒険者の場合だと九割九分の確率で失敗する。
慣れている冒険者であっても失敗する可能性は十分にあり、依頼達成に必要な金額を考えれば仮に失敗してしまうとかなりのそれなりの額をドブに捨てることになる。
当然時間はのんびり寝て朝食を食べた後であり、基本的に割の良い依頼は既に他の同業者達に取られている。
しかしこの三日間でCランクの冒険者が一か月の間に稼ぐ額の何十倍ともいえる額を稼いだので、正直割の良い依頼を勝ち取ろうという気はさらさら無い。
「相変わらずこうやって朝ゆっくりと起きてのんびりギルドに向かうのはおかしいと思うけれど、流石に慣れてきたわ」
「だろうな。でも、AやBランクの頃はそこまで内容が良い依頼を勝ち取らなくても十分だったんじゃないのか?」
「普通に生活していくことだけを目標にするなら、その考えで十分だったわ。でもその頃はまだまだ上を目指そうという気持ちが強かったのよ。だから報酬の金額が良かったり、珍しいマジックアイテムが報酬の依頼があれば受けたかった。貯まったお金で今よりも質の良い装備を揃えて訓練も積んで格上に挑戦して、昇格を目指す。そんな日々の繰り返しよ」
「向上心が常にあってこその日常だ」
「ルウナの言う通りよ。ただ、基本的に冒険者はそんな者達の集まりよ。中には現在の状況で満足して停滞する者もいたり、裏で新人をいたぶろうとする屑に堕ちる最悪な奴もいたわね。でも、皆最初はランクを上げて成り上がってるって気持ち満々のルーキーが殆どよ」
「なるほど……私達が異常だということが再確認できた」
「そんな素直に異常だって言うなよ。確かに普通の冒険者とは色々と違ってるけどよ」
自分達は普通で無いという自覚はゼルートにもしっかりとあった。
本当の奥の手を使わずに悪獣というSランクの魔物を倒してしまうその実力に加え、錬金獣というゼルートのオリジナル作品である魔力があれば設定された動きを駆使して自動で戦う人工魔物と言える存在。
そんな兵器をゼルートは素材さえあれば生み出すことが出来る。
他の錬金術師たちもゴーレム制作に特化した者ならば戦闘用のゴーレムは造れるが、ゼルートほど人の動きを再現し、超えた動きを反映させる錬金術師はいない。
そしてゼルートの仲間達の戦力も考えれば大手のクランと全面戦争を行う事になったとしても……余程の手札を相手が持っていない限り、負けることは無い。
「ところでどんな依頼を受けるつもりなの?」
「ん~~~……まっ、基本的にはいつも通り討伐系の依頼だな」
ゴージャルの街周辺にもそれなりにモンスターは存在しており、稀にBランク以上の冒険者が討伐に必要な魔物の姿も確認されている。
「妥当ね。でもあれだけ大きなカジノが街にあるのだから魔物の捕獲系の依頼も張り出されてるかもしれないわよ」
「……あれか、闘技場の闘技者と戦ったりレース系のギャンブルに出場するためにか」
「そういう事。ああいう依頼ってかなり報酬額が高いのよ」
「へぇ~~~、それぐらい高いんだ?」
「そうねぇ……討伐系の依頼と比べると数倍から十倍ほど変わるんじゃないかしら」
「それはまた高いな。それなら結構競争率が高いんじゃないか?」
討伐系と比べて数倍から十倍、捕獲する魔物にもよるが白金貨に届く依頼も少なくは無い。
だが、ゼルートが思う程競争率は高くない。
「それがそうでも無いのよ。まず、万全な状態でカジノ側に渡さないといけないのよ。多少の傷なら大丈夫。でも、片目が無かったり片腕や片足が無いと例え生きた状態で捕獲しても買い取ってもらえないのよ」
「つまり依頼失敗になるって事か」
「そういうこと。それに捕獲だから街まで持っていく用の檻だって必要なのよ。生きてるとアイテムバッグの中に入れられないでしょ。それが競争率が低い要因の一つでもあるわね」
「なるほどねぇ~~……それは確かに難しそうではあるな」
入念な準備をして臨まなければ達成できない捕獲系の依頼。
慣れていない冒険者の場合だと九割九分の確率で失敗する。
慣れている冒険者であっても失敗する可能性は十分にあり、依頼達成に必要な金額を考えれば仮に失敗してしまうとかなりのそれなりの額をドブに捨てることになる。
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