83 / 170
第83話 難しい
しおりを挟む
「なるほど……そんな事があったんだね」
バトムスからシエルに関する話を聞き終えた後、アルフォンスは何とも言えない表情を浮かべた。
「そこら辺は、やっぱり国にとっても難しいところだろうな」
「…………バトムスは、その件に関してあまり怒りは感じていないようだね」
「……全く感じていない訳じゃないよ。ただ、彼らには知識がなかった。俺も騎士に教えてもらうまでは、先祖返りなんて言葉を知らなかった」
無知は罪?
バトムスの前世では……そういった言葉に、一部の者たちは賛同するだろう。
しかし、この世界はバトムスの前世とは違い、そう簡単に自分の知らない事を調べることが出来ない。
「不運が重なったこともある。だからなんだという気持ちもあるが、知らなければ……そう判断してしまうのも、無理はないと思えてな」
「そう、だね…………」
「会話に入って申し訳ありませんが、バトムス君の言う通り、国がこの件に関してどうこうするのは……難しいかもしれません」
国がどうにか出来ない。
それに関して、解らなくもないという感情はあれど、明確な理由が思い浮かばないアルフォンスに理由を離そうとするゴルド。
「そうなのかい、ゴルド」
「えぇ…………バトムス君は、既に解っているようですね」
「まぁ、その……あれですよ。本当に俺個人の見解って感じですけど」
「バトムス。是非、君の意見を聞かせてほしい」
「お、おぉう。わ、解ったよ」
体を前のめりにしながら頼み込んでくるアルフォンスに少し驚きながらも、バトムスは自身の見解を語った。
「……っていた感じかなって、俺は思うんだ」
「っ……………………ゴルド」
「おおよそ、正しいかと」
バトムスが語り終えた内容に……王子として、どういった表情を浮かべれば良いのか解らなかった。
そして自身よりも国政に詳しいであろうゴルドに、バトムスの言う事が事実なのかを尋ねると……少し重苦しい表情を壁ながらも、初老執事はその通りだと口にしながら首を縦に振った。
「…………八方塞がり、といった状況なんだね」
「そうとも言えるのかな。これに関しては……ん~~~~~~~………………ん~~~~~~~~~~…………」
今更、国政に関して口を出しても良いのか、とは悩まない。
ゴルドがツッコまない時点で、この場であれば語っても構わないと言っている様なもの。
ただ、バトムスは本気で悩み、考える……十秒、二十秒、一分と考え続けるも、これといった案は浮かんでこなかった。
「……難しいね」
「そ、そっか」
「うん。なんて言うか、先祖返りっていう内容を誰でも知れるように、知識として残すとすると、大半の人たちにとっては呪いではなく現象の一つなんだって一応納得は出来ると思う。ただ、一部の人たちが他の知識を求めようとするかもしれないと思って」
「…………意欲が高い、だけでは済まないと」
「本当にただの可能性としての話だけどね」
本人が語る通り、ただの可能性の話ではあるが……アルフォンスからすれば、友人であるバトムスの考えは全て知りたかった。
「えっと……えっとなぁ…………あ、あれだ。こう、平民たち、農民たちがさ、権利を主張し始めたら、どうなると思う」
「っ…………なる、ほど……っっっっ」
アルフォンスは決して独裁的な思考は持っていない。
農民や平民はいくらでも変えの利く存在、潰れたところで問題ないなど、欠片も思っていない。
ただ、聡いアルフォンスはそんな彼らが権利を主張し始めた場合、何が怒るかが想像出来てしまい……苦々しい表情を浮かべていた。
「……難しい、ね」
「だよな」
前世では……一応平民と言える出生であったバトムス。
差はあるが、彼らの気持ちが解るからこそ改革を!!!!!!! なんて面倒な事をしたい訳がなく、軽々しく多くの平民たちの気持ちを代表するつもりもない。
あまりにも貧富の差があるんじゃないのか?
確かに、それは存在する。
そこに関してはバトムスも否定するつもりはない。
ただ、平民たちが様々な権利を主張し始めれば、どういった未来が訪れるかは容易に想像出来る。
「…………最悪の未来は、避けなければならない。ただ……」
「うちのシエルの事を思ってくれるのは嬉しいよ。ただ、その切っ掛けだけでも起これば、恐ろしい未来が待ってるだろうからな」
バトムス、アルフォンスにゴルド、ジェナの脳内に浮かぶ最悪のイメージは……内乱。
そして本当に最悪過ぎる未来になると、他国からの侵略……よくて従属国になる可能性が絶対にないとは言えない。
「だから、仮に出来ることがあるとしたら……吟遊詩人? とかに、先祖返りが組み込まれた冒険譚でも話させる、とかかな」
明確な情報を伝えて周るのではなく、あくまで物語に……噂に情報を入れ込む。
それが出来る認識改善なのではないか。
それが、今バトムスが考えられる精一杯の内容だった。
バトムスからシエルに関する話を聞き終えた後、アルフォンスは何とも言えない表情を浮かべた。
「そこら辺は、やっぱり国にとっても難しいところだろうな」
「…………バトムスは、その件に関してあまり怒りは感じていないようだね」
「……全く感じていない訳じゃないよ。ただ、彼らには知識がなかった。俺も騎士に教えてもらうまでは、先祖返りなんて言葉を知らなかった」
無知は罪?
バトムスの前世では……そういった言葉に、一部の者たちは賛同するだろう。
しかし、この世界はバトムスの前世とは違い、そう簡単に自分の知らない事を調べることが出来ない。
「不運が重なったこともある。だからなんだという気持ちもあるが、知らなければ……そう判断してしまうのも、無理はないと思えてな」
「そう、だね…………」
「会話に入って申し訳ありませんが、バトムス君の言う通り、国がこの件に関してどうこうするのは……難しいかもしれません」
国がどうにか出来ない。
それに関して、解らなくもないという感情はあれど、明確な理由が思い浮かばないアルフォンスに理由を離そうとするゴルド。
「そうなのかい、ゴルド」
「えぇ…………バトムス君は、既に解っているようですね」
「まぁ、その……あれですよ。本当に俺個人の見解って感じですけど」
「バトムス。是非、君の意見を聞かせてほしい」
「お、おぉう。わ、解ったよ」
体を前のめりにしながら頼み込んでくるアルフォンスに少し驚きながらも、バトムスは自身の見解を語った。
「……っていた感じかなって、俺は思うんだ」
「っ……………………ゴルド」
「おおよそ、正しいかと」
バトムスが語り終えた内容に……王子として、どういった表情を浮かべれば良いのか解らなかった。
そして自身よりも国政に詳しいであろうゴルドに、バトムスの言う事が事実なのかを尋ねると……少し重苦しい表情を壁ながらも、初老執事はその通りだと口にしながら首を縦に振った。
「…………八方塞がり、といった状況なんだね」
「そうとも言えるのかな。これに関しては……ん~~~~~~~………………ん~~~~~~~~~~…………」
今更、国政に関して口を出しても良いのか、とは悩まない。
ゴルドがツッコまない時点で、この場であれば語っても構わないと言っている様なもの。
ただ、バトムスは本気で悩み、考える……十秒、二十秒、一分と考え続けるも、これといった案は浮かんでこなかった。
「……難しいね」
「そ、そっか」
「うん。なんて言うか、先祖返りっていう内容を誰でも知れるように、知識として残すとすると、大半の人たちにとっては呪いではなく現象の一つなんだって一応納得は出来ると思う。ただ、一部の人たちが他の知識を求めようとするかもしれないと思って」
「…………意欲が高い、だけでは済まないと」
「本当にただの可能性としての話だけどね」
本人が語る通り、ただの可能性の話ではあるが……アルフォンスからすれば、友人であるバトムスの考えは全て知りたかった。
「えっと……えっとなぁ…………あ、あれだ。こう、平民たち、農民たちがさ、権利を主張し始めたら、どうなると思う」
「っ…………なる、ほど……っっっっ」
アルフォンスは決して独裁的な思考は持っていない。
農民や平民はいくらでも変えの利く存在、潰れたところで問題ないなど、欠片も思っていない。
ただ、聡いアルフォンスはそんな彼らが権利を主張し始めた場合、何が怒るかが想像出来てしまい……苦々しい表情を浮かべていた。
「……難しい、ね」
「だよな」
前世では……一応平民と言える出生であったバトムス。
差はあるが、彼らの気持ちが解るからこそ改革を!!!!!!! なんて面倒な事をしたい訳がなく、軽々しく多くの平民たちの気持ちを代表するつもりもない。
あまりにも貧富の差があるんじゃないのか?
確かに、それは存在する。
そこに関してはバトムスも否定するつもりはない。
ただ、平民たちが様々な権利を主張し始めれば、どういった未来が訪れるかは容易に想像出来る。
「…………最悪の未来は、避けなければならない。ただ……」
「うちのシエルの事を思ってくれるのは嬉しいよ。ただ、その切っ掛けだけでも起これば、恐ろしい未来が待ってるだろうからな」
バトムス、アルフォンスにゴルド、ジェナの脳内に浮かぶ最悪のイメージは……内乱。
そして本当に最悪過ぎる未来になると、他国からの侵略……よくて従属国になる可能性が絶対にないとは言えない。
「だから、仮に出来ることがあるとしたら……吟遊詩人? とかに、先祖返りが組み込まれた冒険譚でも話させる、とかかな」
明確な情報を伝えて周るのではなく、あくまで物語に……噂に情報を入れ込む。
それが出来る認識改善なのではないか。
それが、今バトムスが考えられる精一杯の内容だった。
142
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
ありふれた聖女のざまぁ
雨野千潤
ファンタジー
突然勇者パーティを追い出された聖女アイリス。
異世界から送られた特別な愛し子聖女の方がふさわしいとのことですが…
「…あの、もう魔王は討伐し終わったんですが」
「何を言う。王都に帰還して陛下に報告するまでが魔王討伐だ」
※設定はゆるめです。細かいことは気にしないでください。
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい
金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。
私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。
勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。
なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。
※小説家になろうさんにも投稿しています。
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる