盟約の花婿─魔法使いは黒獅子に嫁ぐ─

沖弉 えぬ

文字の大きさ
52 / 70
「光の魔法と黒の呪い」後編

17大猩猩の仕立物師

しおりを挟む
 大猩猩、ゴリラの亜獣人と聞かされてカルディアはひどく納得した。人にしては長く逞しい腕、膨らんだ鼻にどこまでが髪でどこからが髭なのか分からない側頭部の被毛など、それらの特徴がゴリラの一言で全て結びついた。
 大猩猩族の仕立物師であるタルジは主にアルタナ地区を拠点に仕事をしていたところ様々な事情でジャナヴァラにやってきたが、やっぱり様々な事情があって故郷に帰ろうとしていたところだったという。そこをタッチの差でシデンが見つけ、王宮に召し上げた。
「彼は大猩猩族のタルジという者です。彼の故郷に伝わるクラムという織物は何と木の皮から出来ているそうで」
「あのう……」
「皮を煮て……はい、タルジさん、何でしょう?」
「私、女です」
「あ……!」
 息を弾ませながら熱心に説明をしていたシデンが一気にまずくなって慌てて謝罪する。後は直接本人から聞いてくれというように、シデンは礼をして一歩後ろに下がった。
「じ、事情は聞きました。ですが実は私、クラムは織れないんです。専用の織機も故郷にしかありませんし……」
 単なる広間とは言え王宮に召喚されて萎縮しっぱなしのタルジは大きな肩を小さく窄めて心底申し訳なさそうにしている。その上王子の求めに応じられないとくれば、俯いてしまうのも無理はない。
「仕立物師を自称しながら王族の方々に相応しい婚礼衣装がどのような物かも知りません。私には、とても……」
 誰に対してもクールなアスランをして、タルジの様子は相当憐れに見えるらしい。拍子抜けしたような顔つきで、可哀想なくらい縮こまっているタルジを見下ろしている。
 しかしこちらとしても簡単に引き下がる訳にはいかない事情があった。仕立物師といっても当然、婚礼衣装のような大掛かりなものを仕立てられる腕を持つ者は限られる。その上で獅子族の仕立て屋が王族に協力しないというのだから困り果てていた。そこにきて、アルタナ地区でいっとき流行の中心だった仕立物師とくれば、ひとまず彼女の腕前を見てみなければ納得出来なかった。
「タルジ、そのクラムってまだ手元に残ってる?」
 逞しい腕を腹の前で握りしめ、「端切れなら」と消え入りそうな声で言う。
「大猩猩族は森で暮らしてるんだよね? 僕も森が故郷だから、是非見てみたいな」
 見せてくれる? とカルディアはなるべく彼女を刺激しないように訊ねてみると、タルジはひどく恐縮しながら念のためシデンが預かっていた大きなバッグから布を仕舞っているらしい箱を取り出した。四隅に金属をはめた透かし彫りの綺麗な木箱だ。元々は服を入れておくためのものだったようだが、開けた中から出てきてのはハンカチサイズの端切れのみ。
 タルジに頼んで手に取ってみると端切れと言ってもその仕事の丁寧さや、使われている糸が元が木だったとは思えないほど細く繊細にられているのが分かる。染めていない部分は生成りの優しい色合いだ。原色系且つ派手な柄が多いシリオの服ばかり着ていたので、自然なままの色合いが妙に落ち着く。
 生地は硬くひらひらと風になびくような軽い質感ではないが、十分に綺麗な衣装を作る事が出来そうだ。
「アスラン、どうかな」
 カルディアからアスランの手に端切れが渡るとタルジはとうとう顔を片手で覆ってしまった。
(いくらなんでも怯えすぎじゃあ……)
 今は顔も見えなくなってしまったが、最初こそカルディアとは辛うじて視線が合っていた。怖いのはアスラン──獅子族か。
 視線だけでマーサムを探すも彼はアスランの後ろから一緒になって端切れを検分している。カルディアは自分の傍に控えていたケディに訊いてみる事にする。
「大猩猩族と獅子族って仲が悪かったりする?」
 声を可能な限り落として訊くと、ケディも同じように小さな声で答えてくれる。
「さぁ? ゴリラの住んでる森ってこっから大分遠いから、あんまり交流ないし」
 ケディは肩を竦める。
 アスランの感触は悪くはないといった感じだ。だがタルジの言うように専用の機織りがなければクラムは織れない。やはり諦めるしかないのかと落胆していると、恐る恐る顔から手を退かしたタルジが「あの……」と声を掛ける。
「何かお叱りがあるんじゃないんでしょうか? ち、近頃、猿族の粛清があったと、噂で……っ」
 二つに結った大きな毛玉のような髪を揺らして今度こそ両手で顔を覆う。大きい体に毛玉の髪型、珍しいゴリラの亜獣人というどう足掻いても目立つ姿のおかげであまり悲壮感はない。長い腕を機敏に動かすので仕草も大きく、傍に立っているシデンは一瞬笑い掛けて顔を思い切り逸らした。
「粛清ではない。犯罪の取り締まりだ」
 アスランがぴしゃりとタルジの言葉を否定すると、タルジはぶるぶると肩を震わせて「すみません!」と泣きそうな声で叫んだ。
「アスラン」
 カルディアが苦笑するとアスランはバツの悪そうな顔で目を閉じた。アスランの周りは自分の主張をはっきりと伝える人間ばかりなので、タルジのような人は慣れなくても仕方がない。
 カルディアはクラムを持ってタルジの傍に寄ると、彼女の肩を優しく叩いて顔を上げさせる。
「ねぇもしもここにたくさんのクラムがあるとするでしょ? そして繕った服を着る事になる僕らもここにいる。想像の僕やアスランでは思い描けなかったデザインが、本人を前にしてみたらどうかな?」
 僕にはどんな服が似合う?
 カルディアの問いに半泣きの顔を上げる。タルジの目から恐怖が消えて、分厚い唇が溢れてきたアイディアに突き動かされ自然と開く。
「……カルディア様はやはり森でお育ちになられたので、自然の色がよくお似合いです。こちらの派手な色や柄も良いけど、繊細な銀の御髪おぐしと、まるでアカネで染めた布に銀箔を散りばめたような発色の良い瞳には、生成りの生地に草木で染めた柔らかい発色の糸を通したクラムで縫ったローブとケープが神秘的なお姿をよく引き立てると思います。レースのような柔らかい生地もきっとお似合いですよ!」
 話していくうちに段々と頬を紅潮させるタルジにうんうんと頷いて、「アスランは?」と更に彼女の想像を促す。
「色の浅い褐色で艶のあるお肌と何と言っても『黒獅子』だけが持つ漆黒の鬣を一番に魅せられるものが良いです。ですがお二人は番ですから、クラムに織り込む柄を揃えにして、そうですね……決して真っ青ではない複雑な色の瞳と黒髪には銀、そう、ちょうどカルディア様の御髪のような銀糸の刺繍はいかがでしょう? 身に付ける装飾品も銀に揃えて、青地に銀糸の刺繍を施した長いマントなど私は好きです!!」
 すっかり興奮して舌を振るったあと、はっと冷静になったタルジは空気を抜くようにしゅるしゅると再び体を縮こめた。
 カルディアはアスランの顔を無言で見つめる。腕を組んで黙ってタルジのデザイン案を聞いていたアスランは、カルディアの意図を察して同じく無言で頷いた。
「タルジ、お願いがあるんだ」
「な、何でございましょう……?」
「僕とアスランの婚礼衣装を作ってほしい」
「な、なななっ!? む、無理です、無理ですよう!!」
「無理でも構わない。でも挑戦してほしい。君も知ってるだろうけど今、国では絹が不足していて王都の仕立て屋はどこも仕事を受けられない状況なんだ。お願い、タルジ!」
 厚くて肉刺だらけのタルジの手を両手で握り、アスランよりも更に高いところにある彼女の赤褐色の目をじっと見つめ、祈る思いで頼み込む。自分より姿形の全てが小作りなカルディアから懇願するように見つめられたタルジはたまらずたじたじになって後退りしたが、しっかりと握られた手のおかげでカルディアはどこまでもついてきた。背後に自身のバッグを持って立っていたシデンが迫り、「我が主のためどうか」と真摯に頭を下げられては、臆病なタルジにもはや断るだけの勇気は持てなかった。
「し、承知致しました……」




 タルジという大猩猩族の仕立物師にどうにか婚礼衣装を作ってもらえる事にはなったが、王宮にもお抱えのお針子たちが居る。お針子たちはジェサーレ、アスラン、カルディアの服を季節に合わせて毎日せっせと繕ってくれるのだが、彼らの力を借りても婚礼衣装の製作はなかなか進まなかった。
 一週間、二週間と過ぎても相変わらずジャナヴァラの仕立て屋たちが婚礼衣装の案を持って王宮に登ってくる事はない。更に三週間が過ぎ、すっかり秋めいてカルディアが活き活きとし始めた頃に若い獅子族の針子を名乗る男がやってきた。
 歳は二十歳前後、とある仕立て屋で修行の毎日を送っている青年は名をイグネといい、腹を括ったような顔でカルディアたちの前に現れた。
「抜け駆けをするものがいると、噂になったんです」
「抜け駆け?」
 アスラン自らが話を聞くとは思っていなかったのだろう、イグネは気後れした様子で事情を話し始める。
 およそ二ヶ月ほど前、馬闘祭で優勝したアスランが仕立物師を募る触れを出した。王族の婚礼衣装を繕うとなれば仕立物師にとって生涯で最も名誉ある仕事である。名は売れ、店は子の世代まで繁盛し、町中の仕立て屋がこぞって自慢の仕立物師に衣装案を練らせて王宮に詰めかける──はずだった。
 噂は馬闘祭が行われた日から三日と経たずに流れ始めた。アスランが主導している職人の支援活動で、抜け駆けする者がいるという。
「最初はそれだけだったんです。抜け駆けした者がアスラン様に選ばれる、と。でもそのうち噂はどんどん尾ひれをつけて膨らんでいって、アスラン様に貢ぎ物をしている奴がいるだとか、その貢ぎ物の内容もエスカレートしていって、仕立て屋たちはお互いに抜け駆けをしないよう協定を結びました。絹不足も助けて、お互いがお互いを監視し始めたんです」
 そうしてジャナヴァラの仕立て屋たちは横一線に王族への協力を拒む事になってしまった。
 そんな事がありえるのだろうかと疑ってしまうが、ありえてしまったから現状タルジは一人で婚礼衣装を作る羽目になってしまっている。製作に必要な生地も糸も道具もなかなか手配が進まず難航しているようだ。
「それで、お前はそれを何故ここに伝えにきた?」
 タルジの時と同様、広間に通されたイグナはタルジ以上に立場は悪いはずだったが、彼は真っすぐにアスランを見つめて覚悟を決めていた。
「おかしい、と思ったからです。本来なら材料の不足を知恵で補い、時には仕立て屋同士で助け合って王子様方の結婚式を一番に盛り上げなくてはならない私たち仕立て屋が、どうして王族を裏切らなくてはならないのかと。確かに婚礼衣装の製作は仕立て屋の夢です。そのお仕事をさせてもらえば名は上がって箔がつく。でもそれ以前に、私たちは服を作るのが仕事。欲しいと言う人がいるのを放っておいて、何が仕立て屋かと、そう、思ったんです」
 自身の主張がおかしいなら首を切られたって構わない。そんな気迫の籠った演説に感心したのはカルディアだけではなかった。衣装製作を請け負ってくれる仕立て屋を探して東奔西走してきた者たちや、彼らの苦労を知るアスランも、イグネの心意気は嬉しいものだった。
 イグネはすぐにタルジと合流し、二人で衣装製作を進めていく事になった。表立ってはいないがイグネの勤めている仕立て屋が道具や材料を手配してくれる事になり、残る問題は人手とクラムだけになった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 全8話 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。

悪役令息(Ω)に転生したので、破滅を避けてスローライフを目指します。だけどなぜか最強騎士団長(α)の運命の番に認定され、溺愛ルートに突入!

水凪しおん
BL
貧乏男爵家の三男リヒトには秘密があった。 それは、自分が乙女ゲームの「悪役令息」であり、現代日本から転生してきたという記憶だ。 家は没落寸前、自身の立場は断罪エンドへまっしぐら。 そんな破滅フラグを回避するため、前世の知識を活かして領地改革に奮闘するリヒトだったが、彼が生まれ持った「Ω」という性は、否応なく運命の渦へと彼を巻き込んでいく。 ある夜会で出会ったのは、氷のように冷徹で、王国最強と謳われる騎士団長のカイ。 誰もが恐れるαの彼に、なぜかリヒトは興味を持たれてしまう。 「関わってはいけない」――そう思えば思うほど、抗いがたいフェロモンと、カイの不器用な優しさがリヒトの心を揺さぶる。 これは、運命に翻弄される悪役令息が、最強騎士団長の激重な愛に包まれ、やがて国をも動かす存在へと成り上がっていく、甘くて刺激的な溺愛ラブストーリー。

「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。

キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ! あらすじ 「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」 貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。 冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。 彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。 「旦那様は俺に無関心」 そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。 バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!? 「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」 怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。 えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの? 実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった! 「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」 「過保護すぎて冒険になりません!!」 Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。 すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話

降魔 鬼灯
BL
 ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。  両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。  しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。  コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。  

処理中です...