ギャルゲーの世界に転生した俺はヒロインからモブまで全てを愛す!

夜夢

文字の大きさ
49 / 81

第49話 異変

しおりを挟む
 ゲームを攻略し、戻ってきた主人公は足元を見て困惑していた。

「……え? なにこれ?」

 主人公足元では白い服に身を包んだ男が一人、床に頭をつけ土下座していた。

「申し訳ないっ! どうか許して欲しいっ!」
「は? な、何? なんなの?」

 土下座していた男が顔をあげ、自身の素性からゲームについて、そして土下座の理由を主人公に説明し始めた。

「なるほど。するとお前は主神とやらで、俺はゲームを起動させた瞬間に死んでいると」
「うむっ!」
「……で、現実にゲームキャラを持ち帰れると言ったのは実は地球じゃなく、お前の管理する世界だと」
「そ、そうだっ!」
「……さらに、今その世界では人口が激減し、信仰の減少したお前は消えかけていると。そのために俺が解放した魂を勝手に自分の管理する世界に送った。そう言ったか?」
「うむ」

 主人公はぶち切れた。 

「おまっ! 神だかなんだか知らんがふざけんなよっ!? あいつらは俺が丹精込めて孕ませた嫁だぞっ!? それを勝手に現地に送られて黙ってられるかっ! あいつらは俺のだぞっ!」
「わ、わかっておる! だから解放された魂には不老不死のスキルを与え、隔絶された大地に送っておる! そこは男のおらぬ土地だ。そこは全てのゲームを攻略した特典でお前が行くはずだった世界なのだ。だが……原住民が戦争を始めおってな……。にしても……死んだと知った割には冷静なのだな」
「薄々気付いていたからな。んな事よりだ! 嫁を返せよ!」

 主神は首を横にふった。

「それは無理だ! 私が消えてしまう!」
「知らんがな!? こうしている間にも嫁たちは混乱しているかも知れない!」
「ああ、それは大丈夫だ。女たちを送った先の世界での一秒がここでの一年。お前がゲームに行っている間、ここの時間は止まる。せめてもの罪滅ぼしにそう言う仕組みにした。だからお前は引き続きゲームを攻略し、魂を解放してやって欲しい」


 それを聞き主人公は冷静になった。

「ここの一年があっちの一秒か。なら仮に全てのゲームを攻略したとしても……」
「あちらでは数秒だ。ただ、あまりゲームを選択する時間は使えないが」
「……はぁ。なんて事をしてくれたんだ。残るゲームはまだ四桁だぞ? 俺が途中で諦めたらどうすんだよ」
「それでも構わない。諦めたとしてもお前の魂は私の管理する世界に送る。本来は消滅させるのだが、今回の件では迷惑をかけた。だから特別にリタイアした場合でも次の人生を約束する」

 主人公はそれに条件をつけた。

「それプラス、得た力はそのままにしろ。そしたらこのまま魂の解放は続ける」
「おぉっ! やってくれるか!」
「ああ。話を聞かされた時は驚いたが、困っていたなら仕方ない。今の条件を呑んでくれたら引き続きゲームを攻略し、できるだけ魂の解放を続ける。そしてリタイアしたくなったら言う」
「わ、わかった! 本当に申し訳なかった!」

 主神は再び床に頭を打ち付け、主人公に感謝と謝罪を行った。主人公は今まで集めた嫁を失ったが、いずれまた会えるならと割りきる事にした。しかし、会うためには後九千以上のゲームを攻略しなければならない。だが、今回付けた条件でいつでも神の管理する世界とやらに行く事が出来るようになった。

「で、では私はこれで……。引き続き魂の解放を頼む」
「ああ」

 神はひたすら低姿勢で元いた場所へと帰って行った。主人公はそれを気にもとめず、どのゲームを選ぶか悩んでいた。

「チートも手に入ったし、そろそろ好みに走るとしますかねぇ……。となると、次はこれだな」

 主人公は新たなゲームを選択し、そのゲームの中へとダイブするのであった。

 そして神は……。

「ふぅっ……、何とかなったか。これも他のゲーマーが使えなさすぎるから起こったのだ! もう田中さえいれば良い! ばら蒔いたゲームは全て回収するとしよう」

 これで次の挑戦者が来る事はなくなった。残す挑戦者は主人公のみ。神は全てを主人公に賭けるのであった。

 そして主人公はと言うと……。

「先生~、全員集まりました~」
「よし、じゃあ夏休み勉強合宿を始めよう」
「「「「はいっ! 先生っ!」」」」

 主人公が選んだゲームは【夏休み! S六年生と子作り合宿】だった。主人公は思いっきり趣味に走っていた。ちなみにこのゲームの内容は、C学受験を控えたS六年生の生徒の学力向上を目指し、夏休みの間は合宿所に二週間泊まりこみ勉強を教えると言う内容である。合宿所にいるのは生徒十人に副担任の女教師が一人だ。

 ゲームのクリア方法は単純。二週間以内にターゲットを堕とし孕ませるだけだ。だが全員真面目な生徒で異性については何も知らないといった状況だ。

「じゃあ勉強を始めようか。先生、講義を」
「はい! じゃあみんな~、テキストの一頁からいきますよ?」
「はいっ!」

 主人公はサポートに回り、生徒の様子をうかがう役目だ。だがうかがうのは勉強についてではない。うかがうのは成長期真っ只中の身体なのである。

「先生、今のこう?」
「ん? いや、こうこう……こうだな」
「あ! なるほどっ! ありがとうございますっ!」
「頑張れな?」

 今のやり取りで首もとから膨らみかけの胸にある果実を主人公は注視していた。

「……くくくっ、全員美味そうだなぁ~」

 主人公は心の中で下卑た笑みを浮かべるのであった。


 
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話

家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。 高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。 全く勝ち目がないこの恋。 潔く諦めることにした。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

美醜逆転世界の学園に戻ったおっさんは気付かない

仙道
ファンタジー
柴田宏(しばたひろし)は学生時代から不細工といじめられ、ニートになった。 トラックにはねられ転移した先は美醜が逆転した現実世界。 しかも体は学生に戻っていたため、仕方なく学校に行くことに。 先輩、同級生、後輩でハーレムを作ってしまう。

処理中です...