現世で死んだ俺は新たな世界へと生まれ変わる途中で邪神に拐われました。ありがとう! 感謝します邪神様っ!

夜夢

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第1章 再誕

06 この世界の平均レベル

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 ひとまずレベルを20まで上げ、いくつかのスキルを奪った俺はほくほく顔でアジトへと帰還した。

「あぁ……楽しかったなぁ~」
「ま、魔王様っ! 御無事でしたかっ!」
「あ~ん?」

 そう叫び駆け寄ってきたのはこの教団の元トップである【モーリー】だった。

「部屋を訪ねた際もぬけの殻で! 外出の際はお声掛け下さい、魔王様っ!」
「はいはい。せっかく良い気分で帰って来たんだ、水を差すなよ」
「良い気分? お酒でも飲まれ……おや? その服の染みはワインでしょうか?」 
「いや、返り血だな。貧民街の奴らを皆殺しにしてきた」
「……へっ?」

 モーリーは口を開けたまま固まっていた。

「ああ、後女騎士っぽい奴が来たんでそれも殺っておいたぞ」
「は……はぁぁっ!? せ、聖騎士を殺った!? 本当ですか!?」
「ああ。レイピア使いで高速移動をする奴だ。知ってるか?」

 それを聞いたモーリーは目玉が飛び出さんばかりに驚愕していた。  

「う、嘘でしょう!? そいつはレベル15! 勝つなんて不可能ですよ!?」
「雑魚だったぞ。あぁ、おかげで俺のレベルは20になったな」
「に、にににに……20っ!?」
「……いや、何かおかしいな。おい、レベル20ってのは強いのか?」

 モーリーは顎が外れそうなくらい開いた口を戻し、俺にこう言ってきた。

「そうでしたね、魔王様は違う世界からやって来られたので知らないのでした。んんっ、では私からレベルについて御説明を……」

 モーリーの話だとこの世界の人間の平均レベルは20くらいなのだそうだ。理由はわからないが人間にはそれぞれ限界レベルが存在するらしい。その限界は人により様々だが、平均すると20くらいになるそうだ。

「平均が20だと? 低すぎじゃないか。そんなレベルじゃ魔物なんて狩れないだろう」

 あのジジィは最初俺を魔物にするとか言っていたのでおそらく魔物も存在すると俺は考えていた。

「はい。我々人間はすべからく魔物の餌です。弱い魔物なら何とか狩れますが、レベル20以上の魔物は見たら死ぬしかありません。魔物はF~Sランクに分類されており、Cランクの魔物の平均レベルが20となっております」
「Cランクで20……か」
「はい。さらにその上には災害級と呼ばれる魔物もいると言われており……」
「言われている?」
「はい。見た者は大体死ぬので情報がないのです」
「……そうか。とりあえず魔物のランクについてはわかった」

 ここから考えると人間はおそろしく弱いと言う事になる。

「人間は弱い生き物なんだな」
「はい。まぁ弱くてもどんどん増えますから」
「なるほど」

 どうやらこの世界の人間は魔物の餌としての役割しかないらしい。

「まぁそれでもスキル次第ではレベルが上の相手にも勝てます」
「ほう?」
「例えば、聖神教が抱える聖女のスキル【聖浄化】はゴーストや死屍系の魔物が相手ならば百パーセント勝てます」
「聖女か」
「人間には効果はありませんがね。他にも警戒すべき相手が四人、聖神教にいます」

 話を聞くとその四人はそれぞれ火、水、風、地の攻撃スキルを有しているのだそうだ。

 まず火。紅騎士【フレイ】。真っ赤な鎧に身を包み、スキル【灼熱】を操る者。性格はかなり好戦的。限界レベルは40。
 次に水。蒼騎士【コルド】。蒼天の鎧をまとい、スキル【絶対零度】を操る者。性格は常にクール。限界レベルは38。
 そして碧騎士【ウッド】。碧の鎧をまとい、スキル【暴風】を操る者。性格はまるで子ども。限界レベルは35。
 最後に黄金騎士【アース】。黄金の鎧をまとい、スキル【大地震】を操る者。性格は汚い大人。限界レベルは50。これが今確認されている限界レベルの上限値らしい。 

 どうやらこの四人が中心となり聖神教をまとめているようだ。

「ああ、最後に一番危険な人物を」
「まだいるのか」
「はい。最後は教皇【ヒール】です。あいつは死者すら蘇生できるスキル【治癒神】を操ります。教皇はこのスキルを使い信者を瞬く間に増やしてきたのです」
「ほ~う」
「このスキルは子に遺伝するらしく、教皇は日夜子作りに励んでいるのだとか。信者も喜んで股を開くそうですよ」

 どうやらクソみたいな奴らしいな。

「とまぁ、聖女、教皇を含めたこの六名が聖神教の中でもとにかく危険な人物となっております。教皇自体に攻撃スキルはありませんが、四騎士がレベル差をものともしない力を持っているのですよ」
「そうか。注意すべきはその四騎士だな」
「はい。魔王様、どうか御身を大切になさって下さいませ。あなた様が我々に託された唯一の希望なのです」

 大げさな奴だ。

 俺は部屋に戻り情報の整理を始めた。 

「教皇、聖女、それと四騎士か。四騎士を倒すには骨が折れそうだな。不老不死の俺にはなんて事ないがな。そして女狂いの教皇か。次代の教皇を産ませるためとは言え……おそらくクズだな。こいつは最後で良いだろう。となると……」

 俺はベッドの上でむくりと身体を起こす。

「最初に狙うは聖女だな。幽霊やらグールなんて魔物は今の俺じゃどうやっても倒せそうにない。グールなら燃やせば何とかなりそうだが、ゴーストは無理だ。実体のない者は倒せん。とりあえず、レベルを上げて聖女より強くならなきゃな」

 他に聞いた話だと、どういうわけか魔物は町には入って来ないらしい。それと整備された街道も避けて近寄らないのだそうだ。

「魔物は人工物を嫌う性質でもあるのか、または束になった人間からの反撃を恐れているのか……。ま、なんにせよ次の目標は俺のレベル上げだな。50以上まで上げておけばスキルも全部奪える。明日から大忙しだなぁ……」

 俺は次の目標を魔物狩りとし、ベッドに転がるのであった。


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