現世で死んだ俺は新たな世界へと生まれ変わる途中で邪神に拐われました。ありがとう! 感謝します邪神様っ!

夜夢

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第1章 再誕

07 そうだ、魔物狩りに行こう!

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 時刻は深夜、辺りは漆黒の闇に包まれ月明かりもない。俺は全身を黒で統一し、高速移動を使い町の中を疾走する。そして眠そうに欠伸をしていた門番の横を全速で駆け抜けた。

「ふあぁぁ~あ? 今何か通ったか?」
「さぁ~。風が吹いただけじゃね?」
「だよな。あ~……だる……」

 何ともやる気のない門番だった。

 俺は町から街道へと飛び出し、この門番から見えない位置まで移動してから高速移動を止めた。 

「ちょろいな。このスキル案外使えるじゃん。あのクソ女には感謝しないとなぁ~。さて……」

 俺の目の前には現在森が広がっている。どうやら聖地【ユグドール】は森を切り開いた中にあるらしい。

「よし、さっそく森に入ろう。今度はちゃんと部屋に書き置きも残してきたし多少帰るのが遅くなっても大丈夫だろ」

 ──その頃ジェイドの部屋では。

「ま、またお出掛けになられたのかぁっ!? ん? 書き置き?」

 モーリーはジェイドの書き置きを手に取り目を通す。

「なになに……魔物とやらと遊んでくる。帰りはいつになるかわからないので後は全てモーリーに任せる。PS.探さないで下さい……」

 モーリーの手から紙が落ちる。

「ま、ままままさか森に行かれたのか!? あそこは全てのランクの魔物が出る森たぞっ!? あの四騎士ですら単独では入らない魔の森っ! い、いや待て……。まだどちらの森に入ったかわからん……。もし北なら全ての魔物が現れるが……。南ならランクCまでしか現れない。……果たしてどちらに行かれたのか……」

 ──そして現在の森。

「火炎弾」
「「「「ピキィィィィィィィッ!」」」」

 俺はスライム相手に火炎弾を放っていた。そして魔物からもスキルが奪える事がわかった。魔物から奪えるスキルは【魔技】というもので、これまでにスライムから【溶解液】、ゴブリンから【かみつき】、ワイルドウルフから【危機察知】を得ていた。なぜ魔物の名前がわかるかというと。

「お、新しい魔物だな。【鑑定:レベル1】」

 俺は新しく現れた魔物を鑑定する。この鑑定は貧民街にいた誰かから奪ったスキルだ。ちなみに誰から奪ったかなど覚えてすらいない。

「こんな有能なスキルを持ってても聖神教じゃ上にいけないんだな。いや、違うな。使い方がわかってなかったんだな。まさか魔物のランクとスキルが見えるとは思わなかったんだろう」

 貧民街の住人は低レベルの者ばかりだった。そして戦う術も持っていなかったため、森には来なかった。この鑑定も食べ物が食えるかどうかくらいにしか使ってなかったのだろう。実にもったいない。

「フォレストスパイダー、ランクE。スキル【蜘蛛の糸】か。ありがたくいただいておこう」
「ギギギギギギ!」
「火炎弾」
「ギギュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!?」

《魔技スキル【蜘蛛の糸】を奪いました》

 俺はこの北の森に入ってすぐの場所で順調に魔物を狩り新たなスキルを奪いつつ、レベルを上げていた。

「結構狩ったつもりだが中々レベルが上がらないな。もしかすると人間狩った方がレベル上がりやすいのか?」

 人間はレベル1の奴でも簡単にレベルが上がった。対し、魔物はレベル5~10にも関わらず、結構な数を狩っても中々レベルが上がらない。

「ふ~む……。こうなると逆に効率が悪い気もするな。魔物のスキルが奪えるのは良いがレベルが上がりにくいとなると……。仕方ないな、目的はスキル集めにしよう」

 そうして俺は目的をレベル上げからスキル集めに変更し、新しい魔物を見つけては殺し、スキルを奪い続けた。スキルが増えれば戦いの幅も広がる。と言うか、一人の人間が魔技を使うなどこの世界では有り得ないはなしであり、これほどスキルが多彩な人物も存在しない。

「お、フォレストアント! ランクはEか」
《魔技スキル【穴掘り】を奪いました》
「お次は……ん? なん……だありゃ?」

 少し離れた空中をふよふよと漂う何かがいた。

「……おかしいな。クスリには手を出しちゃいないんだが。幻覚か?」

 少し近付いて鑑定してみる。

「……なんだ、魔物か。種族はピクシー。なっ!? ランクBだとっ!? こんな街道に近い場所にあんなのがいるのか!?」

  その時だった。こちらに気付いたピクシーがその表情を歪め、口角を吊り上げて嗤う。そして凄まじい速度でこちらに向かい飛んでくる。

「くっ! 火炎弾っ!!」

 しかし火炎弾は当たらない。ピクシーは火の玉をひらりと躱わし、俺の顔に張り付いた。

「むごぉぉぉっ!?」
「ピピッ! ピュ~イ」
「は、離れろこいつっ!」
「ピピッ? ピ~……」
「あれ?」

 ピクシーは何故か大人しく離れた。

「なんだ?」
「ピ~! ピ~!」

 何を言っているのかサッパリわからない。小さすぎて声帯も小さいために人には聞き取れないのだろう。だがどうやら俺の言葉は通じるらしい。通じるばかりか何故か俺の言葉に従っている。

「……あぁ、もしかしてスキル【話術】の効果か!」

 これも貧民から奪ったスキルだ。スキル【話術】とは、口の上手さの事だ。レベルが上がると相手を仲間にする事が出来るようになるかもしれない。会話するだけでレベルは上がるが、入手経験値が極少のため、なかなかレベルは上がらないのだそうだ。

「……もしかして……仲間になりたいのか?」

 ここからはピクシーの本音も入ります。

「ピュ~イ(んなわけないじゃん、栄養よこせ)!」
「……ほ~ん。ならちょっとその服脱いでみ?」
「ピピッ(あれ、通じたのかな? ラッキー)!」

 ピクシーは言われた通り葉っぱの服を脱いだ。

「ピ~(良いわよ、ほら早く栄養栄養)?」
「くっ、ちいせぇ……! い、良いかピクシー。ちょっとこれ……」
「ピピ(おぉ~! 超立派!)!」

 俺は小さい子が大好きだ。俺は仲間になったと思われるピクシーに奉仕させる事にした。

「……はぁぁぁ。ここは天国か……」
「ピュ~……(んふ~。ウマウマ)。ピ、ピピッ(おっと仲間も呼んじゃお。一人じゃ飲みきれないわ)!」
「あん? ふぉっ!?」

 奉仕していたピクシーからフェロモンでも出ていたのだろうか、森の奥から次々とピクシーが集まってくる。

「ピピッ(お~い、餌があるわよ~)!」
「「「「ピ~(先っぽ代わってよ)!」」」」
「ふぉぉぉぉっ!?」

 小さいピクシーが次々と葉っぱを脱ぎ捨て奉仕をし始めた。

「こ、こんな事があって良いのかっ! 来て良かった北の森っ! ふぉぉぉぉぉぉぉぉいっ!」

 俺はこの小さいピクシー達相手にハッスルしまくるのであった。

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