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第1章 再誕
17 冒険者組合
登録終了後、俺は冒険者とは何かについて講義を受けていた。話を要約すると、冒険者とは社員のようなもので、社員は商品を会社に納める。会社はその商品を買い取り、市場に流通させる。会社は社員には査定も甘くするが、飛び込みのセールスなどからはぼったくれるだけばったくる。聞いた話だとこんな感じだ。
特にノルマなどがあるわけでもなく、ランクがあるわけでもない。会社は商品を買い取るのみ。それだけだ。
他にも、町の住民から依頼を受け、それを戦えない冒険者に斡旋する仕事もしている様だ。
「以上が冒険者の仕事となります。何か御質問は?」
「いや、特にないな。要は魔物の素材を持ち込んだら組合員は高値で買い取ってくれて、非組合員は安値で買い叩く。そう言う事だろ?」
「ははは、我々も商売ですからね。ではこちらを」
そう言い、組合の職員は俺に腰袋を渡してきた。
「これは?」
「魔法の袋です。重さに関係なく、生物以外ならなんでも百個まで入るようになってます」
「ほ~う?」
「それは全組合員に渡してありますので、まず、その袋に血を一滴垂らしてみて下さい」
俺は渡された針で指を突き、袋に血を一滴垂らした。
「結構です。これでその袋はあなた以外には使えなくなりました。紛失してもただの袋になってしまいます」
生体認証か。結構技術進んでんだな。
「では御健闘をお祈りいたします。ああ、最後に。仮に魔物討伐の際に死んだとしても、我々には一切の責任はございません。全ては組合員の自己責任となっておりますので御理解下さい」
「はいはい。じゃあさっそく狩りに行ってくるわ。たんまり金用意しておけよ」
「いってらっしゃいませ」
俺は登録したその足で真っ直ぐ北の森へと向かった。
「そういや……北の森じゃ冒険者なんて見掛けた事もなかったな」
ある程度強い奴は大体聖神教に入り、そこで成り上がりを目指して働く。その方が稼ぎも良いし、危険も少ないからだ。だがそれも俺が現れる前までの話。実際今一番危険な場所が聖神教だ。理由は俺が狩り尽くすから。何せデルモートを喚ぶためにまだ九十九万近くも狩らなきゃならない。深夜、暇を見て町に繰り出し聖騎士を狩っては焼け石に水だ。まったくカウントが進まない。
まぁ、言うなら冒険者は聖騎士にもなれない弱者の集まりって事だ。それだけ弱いなら北の森には近付きもしないだろう。
「って事で、狩ってみました。ファイアーバード。ついでにワイバーン、オークキングも」
どの魔物もAランク以上だ。俺はそいつらをキッチリ百体、袋の限界まで収納し、翌朝組合へと戻った。
「買い取りを頼む」
「あ、ジェイドさん! 買い取りですか? では素材を見せていただけますか?」
「ここで?」
「え? はい。どうかしましたか?」
本当にここで出しても良いのだろうか。この木製のカウンターなんて潰れてしまうぞ。だがまぁ出しても良いのなら出してやろうじゃないか。
「じゃあまずはロックタートルから行くぞ」
「……え? あわわわわっ!?」
カウンターが軋む。
「次はサイクロプスな」
「ス、ストーーーーップ!! 待ってぇぇぇっ! そんなに出されたら壊れちゃいますぅぅぅぅぅぅぅっ!」
カウンターがだぞ。お前ら前屈みになってんなよ。
俺はそう周りの冒険者達に目で訴えた。
「ち、地下に解体場がありますから! 大型の魔物なら言って下さいよジェイドさぁぁぁん!」
「すまんな。何せ初めてだったからな。案内してくれ」
「うぅぅ……、こちらです……」
俺は再びロックタートルを袋にしまい、受付に案内されて地下へと降りた。
(ああ、アジトの変な形はこれがあったからか。邪魔くさいな)
邪神教のアジトも地下にある。どうやら邪神教はこの解体場を避けて作ったようだ。
「はい、こちらにお願いします」
「お? 久しぶりに大型が入ったか?」
「ん?」
そう声を掛けてきたのはバカデカい包丁を持った筋骨粒々のオッサンだ。頭部は乏しい。
「グロスさん。はい、こちらのジェイドさんが先ほど上でロックタートルを出してしまって……」
「ロックタートルだぁ? ありゃあここらじゃ北の森にしかいねぇはずだが……」
「俺の狩り場は北の森だからな。そろそろ出していいか? 査定に時間もかかるだろ」
「あ、それは大丈夫ですよ。グロスさんは鑑定持ちですので」
「ほ~う」
オッサンが言った。
「俺ぁ鑑定と解体、剛力持ちでな。なんだって解体してやるぜ」
「それは頼もしいな。じゃあ全部で百体、よろしく頼むわ」
「「えっ?」」
俺は袋から次々魔物を取り出しては床に並べていった。それらは全て大型。オッサンは固まり、受付の女は腰を抜かしていた。
「おいおいおいおい……、なんだこの量は……。全部大型じゃねぇか……。あ、亜竜種のワイバーンまでいやがる……」
「う、うそぉ……。え? 昨日登録したばかりよ? 一日でこんなにいっぱい……?」
俺は魔物を取り出しながら受付の女に言った。
「ちゃんと書類に書いただろ? 長所強い、短所強すぎるってな。ほい、これでラストだ」
「お……おぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!? オーク……エンペラー……だとっ!? こんなん四騎士でも狩れねぇぞ……」
ついにオッサンまで腰を抜かした。
「さ、これで全部だ。査定が終わるまで上で待ってるからさ。後はよろしくな」
そう告げ、俺は上の待合室で査定完了を待つのであった。
特にノルマなどがあるわけでもなく、ランクがあるわけでもない。会社は商品を買い取るのみ。それだけだ。
他にも、町の住民から依頼を受け、それを戦えない冒険者に斡旋する仕事もしている様だ。
「以上が冒険者の仕事となります。何か御質問は?」
「いや、特にないな。要は魔物の素材を持ち込んだら組合員は高値で買い取ってくれて、非組合員は安値で買い叩く。そう言う事だろ?」
「ははは、我々も商売ですからね。ではこちらを」
そう言い、組合の職員は俺に腰袋を渡してきた。
「これは?」
「魔法の袋です。重さに関係なく、生物以外ならなんでも百個まで入るようになってます」
「ほ~う?」
「それは全組合員に渡してありますので、まず、その袋に血を一滴垂らしてみて下さい」
俺は渡された針で指を突き、袋に血を一滴垂らした。
「結構です。これでその袋はあなた以外には使えなくなりました。紛失してもただの袋になってしまいます」
生体認証か。結構技術進んでんだな。
「では御健闘をお祈りいたします。ああ、最後に。仮に魔物討伐の際に死んだとしても、我々には一切の責任はございません。全ては組合員の自己責任となっておりますので御理解下さい」
「はいはい。じゃあさっそく狩りに行ってくるわ。たんまり金用意しておけよ」
「いってらっしゃいませ」
俺は登録したその足で真っ直ぐ北の森へと向かった。
「そういや……北の森じゃ冒険者なんて見掛けた事もなかったな」
ある程度強い奴は大体聖神教に入り、そこで成り上がりを目指して働く。その方が稼ぎも良いし、危険も少ないからだ。だがそれも俺が現れる前までの話。実際今一番危険な場所が聖神教だ。理由は俺が狩り尽くすから。何せデルモートを喚ぶためにまだ九十九万近くも狩らなきゃならない。深夜、暇を見て町に繰り出し聖騎士を狩っては焼け石に水だ。まったくカウントが進まない。
まぁ、言うなら冒険者は聖騎士にもなれない弱者の集まりって事だ。それだけ弱いなら北の森には近付きもしないだろう。
「って事で、狩ってみました。ファイアーバード。ついでにワイバーン、オークキングも」
どの魔物もAランク以上だ。俺はそいつらをキッチリ百体、袋の限界まで収納し、翌朝組合へと戻った。
「買い取りを頼む」
「あ、ジェイドさん! 買い取りですか? では素材を見せていただけますか?」
「ここで?」
「え? はい。どうかしましたか?」
本当にここで出しても良いのだろうか。この木製のカウンターなんて潰れてしまうぞ。だがまぁ出しても良いのなら出してやろうじゃないか。
「じゃあまずはロックタートルから行くぞ」
「……え? あわわわわっ!?」
カウンターが軋む。
「次はサイクロプスな」
「ス、ストーーーーップ!! 待ってぇぇぇっ! そんなに出されたら壊れちゃいますぅぅぅぅぅぅぅっ!」
カウンターがだぞ。お前ら前屈みになってんなよ。
俺はそう周りの冒険者達に目で訴えた。
「ち、地下に解体場がありますから! 大型の魔物なら言って下さいよジェイドさぁぁぁん!」
「すまんな。何せ初めてだったからな。案内してくれ」
「うぅぅ……、こちらです……」
俺は再びロックタートルを袋にしまい、受付に案内されて地下へと降りた。
(ああ、アジトの変な形はこれがあったからか。邪魔くさいな)
邪神教のアジトも地下にある。どうやら邪神教はこの解体場を避けて作ったようだ。
「はい、こちらにお願いします」
「お? 久しぶりに大型が入ったか?」
「ん?」
そう声を掛けてきたのはバカデカい包丁を持った筋骨粒々のオッサンだ。頭部は乏しい。
「グロスさん。はい、こちらのジェイドさんが先ほど上でロックタートルを出してしまって……」
「ロックタートルだぁ? ありゃあここらじゃ北の森にしかいねぇはずだが……」
「俺の狩り場は北の森だからな。そろそろ出していいか? 査定に時間もかかるだろ」
「あ、それは大丈夫ですよ。グロスさんは鑑定持ちですので」
「ほ~う」
オッサンが言った。
「俺ぁ鑑定と解体、剛力持ちでな。なんだって解体してやるぜ」
「それは頼もしいな。じゃあ全部で百体、よろしく頼むわ」
「「えっ?」」
俺は袋から次々魔物を取り出しては床に並べていった。それらは全て大型。オッサンは固まり、受付の女は腰を抜かしていた。
「おいおいおいおい……、なんだこの量は……。全部大型じゃねぇか……。あ、亜竜種のワイバーンまでいやがる……」
「う、うそぉ……。え? 昨日登録したばかりよ? 一日でこんなにいっぱい……?」
俺は魔物を取り出しながら受付の女に言った。
「ちゃんと書類に書いただろ? 長所強い、短所強すぎるってな。ほい、これでラストだ」
「お……おぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!? オーク……エンペラー……だとっ!? こんなん四騎士でも狩れねぇぞ……」
ついにオッサンまで腰を抜かした。
「さ、これで全部だ。査定が終わるまで上で待ってるからさ。後はよろしくな」
そう告げ、俺は上の待合室で査定完了を待つのであった。
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