現世で死んだ俺は新たな世界へと生まれ変わる途中で邪神に拐われました。ありがとう! 感謝します邪神様っ!

夜夢

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第2章 改革

26 邪神教は新たなステージへ

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 エンバッハ帝国の制圧を完了した俺はグラムヘイズ王国の王城へと報告に向かった。

「ってなわけで、戦は終了。エンバッハは俺のモンになったから」
「ちょっ!? 何を勝手に! 戦を仕掛けられたのはグラムヘイズですよ!? その俺の許可もなく……」
「あん?」
「うっ……」

 俺はリーゼを睨み付ける。 

「戦に勝った時点で俺には約束通り特権が発生している。俺はその特権を行使し、エンバッハを奪ったまでだ。まさか今さら特権はやれないとか言わないよなぁ? この国は嫌いじゃないんだ。ほぼ全ての民は邪神教徒だし、出来れば潰したくはない。あまり俺を怒らせんなよ。なぁ?」
「うっ……、わ、わかり……ました。国に損害がなかっただけでも有難い。エンバッハは……あなたが治めて結構です……っ」 

 国土を増やす機会を失いリーゼは悔しそうにそう言った。だが、ここで欲をかけば一千万もの軍勢を一人で圧倒したジェイドが敵に回ってしまう。それだけはなんとしても避けなければと涙を呑んだのだ。

「ああ、そうだ。俺もしばらくはエンバッハの再編成に忙しいからさ、こっちはこっちで好きにやってくれ。それと、俺の力をあてにして他国に戦は仕掛けるなよ? そんな事しやがったら気に入ってようが容赦なく叩き潰すからな」
「わ、わかっている! だがまた宣戦布告されたらその時は……」
「その時は協力してやるよ。だから裏切るなよ?」
「……ああ」

 報告を終えた俺は魔都デルモートに飛んだ。そしてモーリー達を集め同じく報告をする。

「えっと……つまり魔王様はこれからエンバッハ帝国にずっといらっしゃると?」
「まぁな。あそこは俺の国になっちまったからな。これから俺はあの土地を拠点に活動していく」
「ジェイド、妾は?」
「デルモートは……引き続きモーリーを助けてやってくれ。こいつら滅茶苦茶弱いからさ。ま、俺は転移もあるし、ちょくちょく顔は出すけどな」
「ふむ。この地の人間は大体入団し終えたからのう。新たな信者を獲得するためには致し方ない。あまりハメを外すでないぞ?」
「わかってんよ。すぐに信者を今の数倍にしてやっからこっちは頼むわ」
「ああ」

 そして俺は王都に戻りまずナビリア商会へと向かう。

「これはジェイド様。いかがなされました?」
「ああ、話がある。お前んとこさ、エンバッハ帝国と繋がりはあったか?」
「エンバッハ帝国? いえ、あそこは睨みがキツくて……」
「なかったのな。なら新しく販路拡大してくれ。あの国は俺のモンになったからよ」
「……はっ? はぁっ!? な、なぜに!?」
「戦で俺が勝ったからに決まってんだろ。俺はしばらくあの国で暮らすからよ。品物はあっちに届けて欲しいんだ」
「な、なるほど……。あいや、わかりました。あの地を起点にすれば大陸の全てに向かえますからな。今までは避けておりましたが、今後は利用させていただきますよ」
「そうしてくれ。何かあったらエンバッハの城まで来な。話くらいは聞いてやるよ」
「ははぁっ」

 その後、俺はブラウン伯爵領へと飛び女達を回収。王都によりミーニャ達を回収し、エンバッハ帝国へと戻る。

「主様、その者達は……」
「俺の女だ。これからこの城で暮らさせる。彼女達の事は俺だと思って接してくれ。もし何かあったらお前らの命で償ってもらうからな」
「はっ! 畏まりました!」

 辺境伯婦人は突然の城暮らしに戸惑いを隠せないようだ。

「何か落ち着きませんわね……」

 ブラウン伯爵婦人とその娘は目を輝かせていた。

「さすがジェイド様ですね!」
「すごい出世ですっ!」

 ミーニャはさっそく自分の縄張りを確保に向かい、少女達もそれについていく。

 こうして俺はグラムヘイズ王国で仲良くなった者達を手元に置きつつ、エンバッハ帝国の平定に立ち上がる。

 だがそれはまだ少し先の話だ。この国に女がどれだけいるかまだ把握すらしていない。まずはこの国の事を知らなければならない。全てはそれからだ。

 俺はメイド達を会議室へと呼び出し、この国の事を聞き出す。

「まず、エンバッハ帝国の国土はグラムヘイズ王国の約四倍です。町はここ首都【ノール】を中心とし、東西南北に一つずつ、村は七つくらいでしょうか。いえ、先日全ての男を処分したのでいくつか減ったかも知れません」
「ふむ。村は全て廃棄。住民は最寄りの町に転居させておけ」 
「畏まりました。では続きまして冒険者の話に。先日冒険者のみ生かしてあります。冒険者はこの国の国民ではありませんので」
「あ? 甘い。殺さずとも国から追い出せ。ああ、女の冒険者は残しておいて良いぞ」 
「畏まりました」

 とまぁ、俺はこのメイド部隊のリーダーと話を詰めていく。

「では最後に貧民についてですが」
「そうだな。貧しい者には財を与えよう。引き続き国内の清掃活動を行いつつ、希望者を募ってくれ。それと、これも国民に流布してくれ」

 ここで俺は勧誘を始める。

《邪神教団に入れば税をなくし、俺の庇護下に迎える》

 これを受けメイド達がざわつき始める。

「主様、それは……。税収がなければ国は機能しませんよ? なぜ守る側に金銭を与えてまで大切に? 守られる側が代償を支払うのは当然では?」
「じゃあ守られるって言うがよ、国民はどう守られてるかちゃんと実感してるか? もし守られてるって言うなら貧民なんているのはおかしいだろ」
「それは……人には才覚というものが……。働けるのに働かない者もおりますし……」
「男を失った今そうも言ってられないだろ。死にたくなければ働くか、邪神教徒になるかの二択だ。邪神教徒になれば今まで通り……いや、今以上の生活を約束する。ま、強制はしない。この言葉を全国民に伝えるのだ。そして、この首都は邪神教徒のみ住む事を許可する。他の者は別の町に移せ」
「畏まりました」

 こうして俺の手により新生エンバッハ帝国がスタートするのであった。
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