13 / 77
私の婚約者を発表します
しおりを挟む
「貴族の子女の諸君、本日はデビュタントおめでとう。今日から大人の貴族の一員として、君たちが活躍することを願う。民は宝、民のために働くのが貴族である。それを忘れないで欲しい。さて…。」
コア=ラー=ユーカリ陛下は小柄な体を威厳で大きく見せながら、穏やかな表情で会場の子女を見やった。
もう中年に差し掛かるが、若い頃は紅顔の美少年と呼ばれた金髪碧眼で童顔な王の隣には、長身でスラリとした知的美人のカルデラ王妃。
王妃は陛下より2歳年上で、本来は陛下の兄の婚約者だった。
男爵令嬢に悪役令嬢扱いされ、婚約破棄された出来の良い彼女は、クレイ公爵家の令嬢だった。
甥にあたるミスリル同様、銀髪にブルーグレーの瞳は一見冷たく見えるが、本当は暖かい人である。
その王妃は、今、扇子の影で一点を見つめていた。
かつて、自分を陥れた男爵令嬢がそこにいる。
化粧を変えて髪を染めたって、わたくしが気づかないはずはないでしょう?
何よりあの娘は、あなたにそっくりよ。
そう、『聖女』だからとうっかり婚約者候補に入れてしまった夫を諫め、探る様に勧めたのは王妃だった。
陛下と2人、見つめあって、そして息子に合図をした。
「陛下の許可を得ましたので、このお集まりの機会に、私から私の婚約者を発表いたします。」
金髪碧眼だが、王妃に似た知的な容姿の知的な佇まい。
気品あふれる所作で、カーグ王子が前に出た。
スザンナは、鼻を膨らませて、周りの令嬢を蹴散らし、前に一歩出る。
<いよいよだわ…!!>
「私の婚約者は――――――――
ドリス=チェイサー嬢に決定いたしました!」
は???
スザンナは醜く顔を歪めた。
王子が優雅にドリスの前に進み、手をとって口づける。
「……本当に、わたくしを選んでくださったのですね…。」
ドリスは、涙で瞳を潤ませ、涙を拭うために一瞬、眼鏡を取った。
その顔は凛として、誰よりも美しく。
白い水仙のようで。
「あたりまえだ。元々、婚約者は君だったのだ。あとから候補が増えただけで。君は王太子妃教育も終えている。誰より妃に相応しいのは君だ。僕が愛しているのも、君だけだ。」
「酷いですわ!!!私を弄んだのですね!!!!」
わざと可憐に、か弱い乙女のように、スザンナが叫ぶ。
周囲がざわつくが構うことなく、ドリスを後ろに隠し、カーグ王子はスザンナに冷ややかな視線を向けた。
「人聞きの悪い。『聖女』は国が大切にまもらなければならない。他国に奪われないためにも、『聖女』が生まれたならば、王子が娶る、そういう風習がある。だから、元々ドリスだけが婚約者だったところに君も婚約者候補として入って来た。候補者として、私は君ともお茶会で交流はしていたが、君にドレスや宝飾品を送ったことがあっただろうか?エスコートしたことは?二人っきりで会ったことがあったかな?常に侍女や侍従が一緒ではなかった?因みに、ドリスの今日のドレスは私が選んで贈ったものだよ?私色の空色のドレスに黄色いコサージュだろう?私がいつ、君と婚約すると言った?弄ぶだなんて酷いな。」
「『聖女』は王子と結婚するんでしょう?!」
「本当の、『聖女』ならな?お前は聖女を騙った偽物で人殺しと娼婦の娘で平民だ。かつて、陛下の兄や兄の側近を誑かし、全員を破滅させた希代の悪女の娘よ。お前の母は、重ねて先代のマリー=ホワイト侯爵を殺害した重罪人だ。」
会場のどよめきが大きくなる。
母親のキャロラインは青い表情で爪を齧り、ケンは考えが追いついていないようだ。
スザンナ自身も飲み込めないのか、母親を振り返った。
カーグ王子と陛下と王妃は、会場をぐるりと見まわした。
コア=ラー=ユーカリ陛下は小柄な体を威厳で大きく見せながら、穏やかな表情で会場の子女を見やった。
もう中年に差し掛かるが、若い頃は紅顔の美少年と呼ばれた金髪碧眼で童顔な王の隣には、長身でスラリとした知的美人のカルデラ王妃。
王妃は陛下より2歳年上で、本来は陛下の兄の婚約者だった。
男爵令嬢に悪役令嬢扱いされ、婚約破棄された出来の良い彼女は、クレイ公爵家の令嬢だった。
甥にあたるミスリル同様、銀髪にブルーグレーの瞳は一見冷たく見えるが、本当は暖かい人である。
その王妃は、今、扇子の影で一点を見つめていた。
かつて、自分を陥れた男爵令嬢がそこにいる。
化粧を変えて髪を染めたって、わたくしが気づかないはずはないでしょう?
何よりあの娘は、あなたにそっくりよ。
そう、『聖女』だからとうっかり婚約者候補に入れてしまった夫を諫め、探る様に勧めたのは王妃だった。
陛下と2人、見つめあって、そして息子に合図をした。
「陛下の許可を得ましたので、このお集まりの機会に、私から私の婚約者を発表いたします。」
金髪碧眼だが、王妃に似た知的な容姿の知的な佇まい。
気品あふれる所作で、カーグ王子が前に出た。
スザンナは、鼻を膨らませて、周りの令嬢を蹴散らし、前に一歩出る。
<いよいよだわ…!!>
「私の婚約者は――――――――
ドリス=チェイサー嬢に決定いたしました!」
は???
スザンナは醜く顔を歪めた。
王子が優雅にドリスの前に進み、手をとって口づける。
「……本当に、わたくしを選んでくださったのですね…。」
ドリスは、涙で瞳を潤ませ、涙を拭うために一瞬、眼鏡を取った。
その顔は凛として、誰よりも美しく。
白い水仙のようで。
「あたりまえだ。元々、婚約者は君だったのだ。あとから候補が増えただけで。君は王太子妃教育も終えている。誰より妃に相応しいのは君だ。僕が愛しているのも、君だけだ。」
「酷いですわ!!!私を弄んだのですね!!!!」
わざと可憐に、か弱い乙女のように、スザンナが叫ぶ。
周囲がざわつくが構うことなく、ドリスを後ろに隠し、カーグ王子はスザンナに冷ややかな視線を向けた。
「人聞きの悪い。『聖女』は国が大切にまもらなければならない。他国に奪われないためにも、『聖女』が生まれたならば、王子が娶る、そういう風習がある。だから、元々ドリスだけが婚約者だったところに君も婚約者候補として入って来た。候補者として、私は君ともお茶会で交流はしていたが、君にドレスや宝飾品を送ったことがあっただろうか?エスコートしたことは?二人っきりで会ったことがあったかな?常に侍女や侍従が一緒ではなかった?因みに、ドリスの今日のドレスは私が選んで贈ったものだよ?私色の空色のドレスに黄色いコサージュだろう?私がいつ、君と婚約すると言った?弄ぶだなんて酷いな。」
「『聖女』は王子と結婚するんでしょう?!」
「本当の、『聖女』ならな?お前は聖女を騙った偽物で人殺しと娼婦の娘で平民だ。かつて、陛下の兄や兄の側近を誑かし、全員を破滅させた希代の悪女の娘よ。お前の母は、重ねて先代のマリー=ホワイト侯爵を殺害した重罪人だ。」
会場のどよめきが大きくなる。
母親のキャロラインは青い表情で爪を齧り、ケンは考えが追いついていないようだ。
スザンナ自身も飲み込めないのか、母親を振り返った。
カーグ王子と陛下と王妃は、会場をぐるりと見まわした。
90
あなたにおすすめの小説
【完結】塩対応の同室騎士は言葉が足らない
ゆうきぼし/優輝星
BL
騎士団養成の寄宿学校に通うアルベルトは幼いころのトラウマで閉所恐怖症の発作を抱えていた。やっと広い二人部屋に移動になるが同室のサミュエルは塩対応だった。実はサミュエルは継承争いで義母から命を狙われていたのだ。サミュエルは無口で無表情だがアルベルトの優しさにふれ少しづつ二人に変化が訪れる。
元のあらすじは塩彼氏アンソロ(2022年8月)寄稿作品です。公開終了後、大幅改稿+書き下ろし。
無口俺様攻め×美形世話好き
*マークがついた回には性的描写が含まれます。表紙はpome村さま
他サイトも転載してます。
不遇の第七王子は愛され不慣れで困惑気味です
新川はじめ
BL
国王とシスターの間に生まれたフィル・ディーンテ。五歳で母を亡くし第七王子として王宮へ迎え入れられたのだが、そこは針の筵だった。唯一優しくしてくれたのは王太子である兄セガールとその友人オーティスで、二人の存在が幼いフィルにとって心の支えだった。
フィルが十八歳になった頃、王宮内で生霊事件が発生。セガールの寝所に夜な夜な現れる生霊を退治するため、彼と容姿のよく似たフィルが囮になることに。指揮を取るのは大魔法師になったオーティスで「生霊が現れたら直ちに捉えます」と言ってたはずなのに何やら様子がおかしい。
生霊はベッドに潜り込んでお触りを始めるし。想い人のオーティスはなぜか黙ってガン見してるし。どうしちゃったの、話が違うじゃん!頼むからしっかりしてくれよぉー!
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
異世界で聖男と呼ばれる僕、助けた小さな君は宰相になっていた
k-ing /きんぐ★商業5作品
BL
病院に勤めている橘湊は夜勤明けに家へ帰ると、傷ついた少年が玄関で倒れていた。
言葉も話せず、身寄りもわからない少年を一時的に保護することにした。
小さく甘えん坊な少年との穏やかな日々は、湊にとってかけがえのない時間となる。
しかし、ある日突然、少年は「ありがとう」とだけ告げて異世界へ帰ってしまう。
湊の生活は以前のような日に戻った。
一カ月後に少年は再び湊の前に現れた。
ただ、明らかに成長スピードが早い。
どうやら違う世界から来ているようで、時間軸が異なっているらしい。
弟のように可愛がっていたのに、急に成長する少年に戸惑う湊。
お互いに少しずつ気持ちに気づいた途端、少年は遊びに来なくなってしまう。
あの時、気持ちだけでも伝えれば良かった。
後悔した湊は彼が口ずさむ不思議な呪文を口にする。
気づけば少年の住む異世界に来ていた。
二つの世界を越えた、純情な淡い両片思いの恋物語。
序盤は幼い宰相との現実世界での物語、その後異世界への物語と話は続いていきます。
【完結】冷酷騎士団長を助けたら口移しでしか薬を飲まなくなりました
ざっしゅ
BL
異世界に転移してから一年、透(トオル)は、ゲームの知識を活かし、薬師としてのんびり暮らしていた。ある日、突然現れた洞窟を覗いてみると、そこにいたのは冷酷と噂される騎士団長・グレイド。毒に侵された彼を透は助けたが、その毒は、キスをしたり体を重ねないと完全に解毒できないらしい。
タイトルに※印がついている話はR描写が含まれています。
誓いを君に
たがわリウ
BL
平凡なサラリーマンとして過ごしていた主人公は、ある日の帰り途中、異世界に転移する。
森で目覚めた自分を運んでくれたのは、美しい王子だった。そして衝撃的なことを告げられる。
この国では、王位継承を放棄した王子のもとに結ばれるべき相手が現れる。その相手が自分であると。
突然のことに戸惑いながらも不器用な王子の優しさに触れ、少しずつお互いのことを知り、婚約するハッピーエンド。
恋人になってからは王子に溺愛され、幸せな日々を送ります。
大人向けシーンは18話からです。
【完結】討伐される魔王に転生したので世界平和を目指したら、勇者に溺愛されました
じゅん
BL
人間領に進撃許可を出そうとしていた美しき魔王は、突如、前世の記憶を思い出す。
「ここ、RPGゲームの世界じゃん! しかもぼく、勇者に倒されて死んじゃうんですけど!」
ぼくは前世では病弱で、18歳で死んでしまった。今度こそ長生きしたい!
勇者に討たれないためには「人と魔族が争わない平和な世の中にすればいい」と、魔王になったぼくは考えて、勇者に協力してもらうことにした。本来は天敵だけど、勇者は魔族だからって差別しない人格者だ。
勇者に誠意を試されるものの、信頼を得ることに成功!
世界平和を進めていくうちに、だんだん勇者との距離が近くなり――。
※注:
R15の回には、小見出しに☆、
R18の回には、小見出しに★をつけています。
花街だからといって身体は売ってません…って話聞いてます?
銀花月
BL
魔導師マルスは秘密裏に王命を受けて、花街で花を売る(フリ)をしていた。フッと視線を感じ、目線をむけると騎士団の第ニ副団長とバッチリ目が合ってしまう。
王命を知られる訳にもいかず…
王宮内で見た事はあるが接点もない。自分の事は分からないだろうとマルスはシラをきろうとするが、副団長は「お前の花を買ってやろう、マルス=トルマトン」と声をかけてきたーーーえ?俺だってバレてる?
※[小説家になろう]様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる