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カルデラ王妃
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「顔が青くてよ、キャロライン?………いえ、ポートニー=ミース男爵令嬢、と言った方がいいかしら?皆が騙されてもわたくしは騙されませんよ。私の結婚前の名前は、カルデラ=アンジェリカ=ユーカリ。先の王弟である大神官の娘。でもね、私にはその前の名前があるのよ…。」
陛下は王妃の手をそっと握り、二人は手を繋いだ。
「私の名前は、本当の名前は…ラデル=クレイ。貴方に唆された当時の騎士団長の息子、ザンに切りつけられ、瀕死の重傷を負った。この段階では、まだ私の冤罪は充分に晴れていなかったわ。それに、生き延びたとしても傷物になって、噂をされて、辛い目にあうだろうって先代の陛下と妃殿下の勧めでクレイ公爵家から養女に行ったの。表向きは死んだことにして…。」
「私は、兄の婚約者だったラデルを愛していた。兄が許せなかった。ただのはしたない女に騙されて、婚約者を殺そうとした兄が。」
「ケン=ホワイト?いえ、ただのケンとお呼びすべきかしら?………あなたもこんな女に騙されて、おかわいそうにね。」
「……なっ、なによ!ラデルはそんなに美人じゃなかったわ!」
「彼女は元々美人だったよ。お前などよりよほど。磨き方がよく分かっていなかっただけだ。」
陛下が王妃の前に立つ。
「何よ…………死んでいなかったならザンは人殺しじゃないじゃない!私だって!」
「罰が軽かったとでも?殺意を持って襲ったのだから殺人未遂でも罪は大きい。ましてこの国の妃になるために、邪魔なラデルを排除しようと企んだことなのだから。男爵令嬢が複数の男をたらし込み、王家に連なる公爵令嬢を害し妃になろうなど。だが、確かに未遂だ。だから、あの時は命までは奪われなかった。兄も幽閉になり、お前は娼館に送られるだけで済んだし、ザンも廃嫡され平民になるだけで済んだ。もっとも、お前は名前と化粧を変えてすぐに逃げ出したようだが、ザンの手引きかな?」
ぐっ、とキャロラインは陛下を睨んだ。
「キャロライン?お前は………キャロラインだよな?私が妻との生活に悩んでいた時、通っていた食堂で給仕をして………私を慰めてくれたじゃないか!あの悪女だったなんて嘘だよな!?」
「ケン。およしなさい。王家の調べはついています。彼女は貴族に返り咲きたかった。ザンもね。その日暮らしの用心棒や冒険者をして、平民に使われるのは我慢がならなかったのでしょう。貴族がお忍びで通う食堂に勤めて、入り込めそうな家を物色していたのよ。貴方はまんまと釣り上げられたということよ。」
騎士が二枚の調査書をケンに渡す。
それには、スザンナが自分の子ではないこと。
リリーが自分とマリーの子どもで間違いないことが書かれていた。
「そんな……………。でも、私たちは……。」
「侯爵は酷い潔癖症で、直に何かと触れることが出来ない体質だった。だが愛する其方との子は欲しい。だから、帝国の技術で子を産んだ。種だけを求められたことはあった筈だ。」
「ああ…………。」
言われてみれば、そんなことを言われた気がする。
ケンは頭を抱えてへたりこんだ。
陛下は王妃の手をそっと握り、二人は手を繋いだ。
「私の名前は、本当の名前は…ラデル=クレイ。貴方に唆された当時の騎士団長の息子、ザンに切りつけられ、瀕死の重傷を負った。この段階では、まだ私の冤罪は充分に晴れていなかったわ。それに、生き延びたとしても傷物になって、噂をされて、辛い目にあうだろうって先代の陛下と妃殿下の勧めでクレイ公爵家から養女に行ったの。表向きは死んだことにして…。」
「私は、兄の婚約者だったラデルを愛していた。兄が許せなかった。ただのはしたない女に騙されて、婚約者を殺そうとした兄が。」
「ケン=ホワイト?いえ、ただのケンとお呼びすべきかしら?………あなたもこんな女に騙されて、おかわいそうにね。」
「……なっ、なによ!ラデルはそんなに美人じゃなかったわ!」
「彼女は元々美人だったよ。お前などよりよほど。磨き方がよく分かっていなかっただけだ。」
陛下が王妃の前に立つ。
「何よ…………死んでいなかったならザンは人殺しじゃないじゃない!私だって!」
「罰が軽かったとでも?殺意を持って襲ったのだから殺人未遂でも罪は大きい。ましてこの国の妃になるために、邪魔なラデルを排除しようと企んだことなのだから。男爵令嬢が複数の男をたらし込み、王家に連なる公爵令嬢を害し妃になろうなど。だが、確かに未遂だ。だから、あの時は命までは奪われなかった。兄も幽閉になり、お前は娼館に送られるだけで済んだし、ザンも廃嫡され平民になるだけで済んだ。もっとも、お前は名前と化粧を変えてすぐに逃げ出したようだが、ザンの手引きかな?」
ぐっ、とキャロラインは陛下を睨んだ。
「キャロライン?お前は………キャロラインだよな?私が妻との生活に悩んでいた時、通っていた食堂で給仕をして………私を慰めてくれたじゃないか!あの悪女だったなんて嘘だよな!?」
「ケン。およしなさい。王家の調べはついています。彼女は貴族に返り咲きたかった。ザンもね。その日暮らしの用心棒や冒険者をして、平民に使われるのは我慢がならなかったのでしょう。貴族がお忍びで通う食堂に勤めて、入り込めそうな家を物色していたのよ。貴方はまんまと釣り上げられたということよ。」
騎士が二枚の調査書をケンに渡す。
それには、スザンナが自分の子ではないこと。
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「そんな……………。でも、私たちは……。」
「侯爵は酷い潔癖症で、直に何かと触れることが出来ない体質だった。だが愛する其方との子は欲しい。だから、帝国の技術で子を産んだ。種だけを求められたことはあった筈だ。」
「ああ…………。」
言われてみれば、そんなことを言われた気がする。
ケンは頭を抱えてへたりこんだ。
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