3 / 26
ミステリアスな麗人
しおりを挟む
「はあ。はあ。はあ。」
野を駆け、山を駆け。青年は走る。
とうに供を失い、仕立ての良い服を捨て、旅装束に身をやつして。
明るい金髪を茶色に染め、魔法で目の色をヘーゼルに変える。
服の中。胸元には唯一、彼の身を証すペンダント。
ジュエリー王国に隣接するカラット王国は、かつては豊かな鉱脈に恵まれていた。
煌めく清流。鉱脈に恵まれながら、広い国土の中で恵まれた土壌により質の良い小麦の出荷量を誇る農業国だった。
彼の父親が婚約者である王弟殿下の巫女姫と婚約破棄をして、男爵令嬢と結婚するまでは。
巫女姫を国外追放してしまうまでは。
国は衰退し、父親――――陛下と王妃は処刑された。
はあ。はあ。はあ。
赤い。
視界が赤い。
「先生!先生!」
ん…………
揺さぶられ、目を覚ますと美しい生徒が心配気に私を覗き込んでいた。
プラチナブロンドがきらきらしている。
ミステリアスな麗人。
そうか。
ここはジュエリー王国の学園。
私はアーサー=プライドとして教師になったのだった。
一人生き残って………。
「お疲れですか?もうすぐ授業ですが……。」
「ありがとう、リリー伯爵令息。すぐ向かうよ。ところで君はなぜここに………。」
こちらは私の資料室で教室から離れているはずだが。
彼は僅かに目を泳がし、伏せた。
「…………すみません。迷いこんでしまって。」
外には複数の足音が聞こえた。
野を駆け、山を駆け。青年は走る。
とうに供を失い、仕立ての良い服を捨て、旅装束に身をやつして。
明るい金髪を茶色に染め、魔法で目の色をヘーゼルに変える。
服の中。胸元には唯一、彼の身を証すペンダント。
ジュエリー王国に隣接するカラット王国は、かつては豊かな鉱脈に恵まれていた。
煌めく清流。鉱脈に恵まれながら、広い国土の中で恵まれた土壌により質の良い小麦の出荷量を誇る農業国だった。
彼の父親が婚約者である王弟殿下の巫女姫と婚約破棄をして、男爵令嬢と結婚するまでは。
巫女姫を国外追放してしまうまでは。
国は衰退し、父親――――陛下と王妃は処刑された。
はあ。はあ。はあ。
赤い。
視界が赤い。
「先生!先生!」
ん…………
揺さぶられ、目を覚ますと美しい生徒が心配気に私を覗き込んでいた。
プラチナブロンドがきらきらしている。
ミステリアスな麗人。
そうか。
ここはジュエリー王国の学園。
私はアーサー=プライドとして教師になったのだった。
一人生き残って………。
「お疲れですか?もうすぐ授業ですが……。」
「ありがとう、リリー伯爵令息。すぐ向かうよ。ところで君はなぜここに………。」
こちらは私の資料室で教室から離れているはずだが。
彼は僅かに目を泳がし、伏せた。
「…………すみません。迷いこんでしまって。」
外には複数の足音が聞こえた。
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
194
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる