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勝負の時
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徒競走の順藩待ち中のグローリアちゃんは、もうやる気満々の様子でストレッチとかしている。
測定かねての徒競走にここまでやる気になれるとは。
何にでも一生懸命な素直さ、いいと思います!
まぁ、やる気の理由がザマァでプゲラするためってのはいただけませんな。
つーわけで、こっちも本気じゃい!
「次の人、位置についてくださーい」
測定の子に来ばれてスタートラインに立つ。
ふふふ。
元男子高校生(注・もやし)を舐めないでいただきたい。
ちなみにここで重要なのは(注・もやし)のところである。
不肖、俺は(注・もやし)であるがゆえに運動との相性は最悪であった。
相性最悪ゆえに敬遠してはいたのだが、多少のあこがれはあり、また体育でできるだけ恥をかかないようにとしようとした結果。
身に付いたのは、走りに最適なフォームや素早いスタートの切り方の知識である!
現代日本におけるスポーツ知識によるチート能力。
グローリアちゃん、君はこれに勝てるのかね!?
「よーい」
さすがにクラウチングスタートは誰もやってないし目立ちすぎるので、ここはステンディングスタートで。
効き足を後ろに、重心を低く……
「スタート!」
測定の子がさっと腕をあげたと同時、俺とグローリアちゃんは飛び出した。
ぬぁ!?
グローリアちゃん、完璧なスタートをきり、美しいフォームで走る俺と互角だと。
お互いに驚きに目をみはる。
負けてられるか!
しっかりと地面を踏みしめ、加速!
「ふんっ」
だが、グローリアちゃんも加速!
「うぬぬっ」
どちらも譲らずコースを走り抜け、ゴールをぶっちぎる!
えー。
付け焼き刃なスポーツ知識でチートなどできるわけがないことは、もやし仲間ならみな知っていることと思います。
だが、先ほど俺は2つの人生において最速の走りを行いました。
これらはひとえにレティシアの身体能力によるみのです。
なぜ二年もの間、呪いで寝ていたレティシアがこんなに足が速いのか?
その疑問にお答えしましょう。
俺がこの学校へ復学することへの情熱を燃やし、根性でリハビリを頑張ったから!!
ってのは理由のひとつでしかない。
これは後で気が付いたことなのだが、あの病院はアスリートのトレーニング施設として非常に優秀であったのだ。
リハビリのためのトレーニングマシンの充実。
健康的かつ、筋肉を作るために理想的な食事の提供。
エダのマッサージによる疲労回復。
そして、何より――回復魔法の存在である。
回復魔法にはいくつかの系統があるようだが、俺がお世話になっていたのは細胞を活性化させて回復を早めるタイプである。
さて、超回復という言葉を聞いたことがあるだろうか?
スポーツもののマンガを読んでると、よく出てくるアレ。
トレーニングした後、一日か二日休むことによって筋肉量がより増えるってアレである。
おそらくだがその超回復が、回復魔法により一晩で済んでしまったのだ。
普通なら二日かかるところを一晩で超回復!
最初は根性のみでやっていたリハビリメニューが体力と筋力を取り戻すにつれて、看護師さんがノリで作ったトレーニングメニューに変わっていくのは当然のことなのだ。
レティシア・ファラリス。
実は……腹筋割れております!!
まぁ、うっすらぐらいですけどね。
「はっ、はー。どっち!?」
はー、ふーっ。
グローリアちゃん元気だな~。
こっちは全力出しすぎて、すぐに声なんか出ないよ。
「ええーっと、タイムは――」
「タイムよりどっちが先だったの!?」
「えーっと、それは」
「どっち!?」
「んんー? たぶん……同着、かな?」
「なんですってぇ!?」
あー、もしかしたらそうかなー。とは思ってたんだよね。
すごくギリギリを競ってたし。
生徒の目測じゃあ、同着ってことになるよなぁ。
だけど、それじゃ収まらないのがグローリアちゃんだ。
「くぅぅ。ならっ、もう一度よ!」
「ふー、はぁぁ……私は構わないのだけど、まだ全員の測定が終わってないし、今度にしない?」
「みんなが終わったらっ、もう一度よ!!」
わー、グローリアちゃん元気だなぁ。
俺はちょっと疲れたから、二回戦目は不利な感じがするんだが。
「あのぅ、グローリアさん。いいかなぁ」
と、ピリピリなグローリアちゃんに、クラスメイトのこが遠慮がちに声をかけてきた。
「ん? どうしたの?」
くるりと振り向いたグローリアちゃんの声は、俺に向けるのとは違うきりっとはしてるけど優しい声だ。
うんうん、そっちの方がいいよ。
やっぱいじめとかの相談してると、声とか顔に険が出るもん。
「ソフィーさんが足をひねっちゃって。ソフィーさん保健委員だから」
「あら、保健委員はもう一人ているでしょ? えっと、たしか、サマンサさん」
「サマンサさんもうすぐ測定で、その」
「そっか。わかったわ。私が保健室まで連れていくわね」
くるっとこちらを向き、
「勝負はお預けよ!」
「え、ええ」
わー。
これで勝ったと思わないで、に続いてなかなか生では聞けない台詞を聞いてしまった気がする。
しかし、グローリアちゃん。
けっこう人気者ではないですか。
考えてもみれば委員長に選ばれている時点で人望があるんだよな。
面倒見もいいし。
ただし、ブラコンこじらせてるせいで、俺にだけ風当たりが強いんだよな。
むぅ。
そろそろ俺も、お兄さんとの結婚には乗り気でないことを伝えて仲良くしたいけど。
……まず落ち着いて話を聞いてもらうってことが、けっこうハードル高そうだ。
測定かねての徒競走にここまでやる気になれるとは。
何にでも一生懸命な素直さ、いいと思います!
まぁ、やる気の理由がザマァでプゲラするためってのはいただけませんな。
つーわけで、こっちも本気じゃい!
「次の人、位置についてくださーい」
測定の子に来ばれてスタートラインに立つ。
ふふふ。
元男子高校生(注・もやし)を舐めないでいただきたい。
ちなみにここで重要なのは(注・もやし)のところである。
不肖、俺は(注・もやし)であるがゆえに運動との相性は最悪であった。
相性最悪ゆえに敬遠してはいたのだが、多少のあこがれはあり、また体育でできるだけ恥をかかないようにとしようとした結果。
身に付いたのは、走りに最適なフォームや素早いスタートの切り方の知識である!
現代日本におけるスポーツ知識によるチート能力。
グローリアちゃん、君はこれに勝てるのかね!?
「よーい」
さすがにクラウチングスタートは誰もやってないし目立ちすぎるので、ここはステンディングスタートで。
効き足を後ろに、重心を低く……
「スタート!」
測定の子がさっと腕をあげたと同時、俺とグローリアちゃんは飛び出した。
ぬぁ!?
グローリアちゃん、完璧なスタートをきり、美しいフォームで走る俺と互角だと。
お互いに驚きに目をみはる。
負けてられるか!
しっかりと地面を踏みしめ、加速!
「ふんっ」
だが、グローリアちゃんも加速!
「うぬぬっ」
どちらも譲らずコースを走り抜け、ゴールをぶっちぎる!
えー。
付け焼き刃なスポーツ知識でチートなどできるわけがないことは、もやし仲間ならみな知っていることと思います。
だが、先ほど俺は2つの人生において最速の走りを行いました。
これらはひとえにレティシアの身体能力によるみのです。
なぜ二年もの間、呪いで寝ていたレティシアがこんなに足が速いのか?
その疑問にお答えしましょう。
俺がこの学校へ復学することへの情熱を燃やし、根性でリハビリを頑張ったから!!
ってのは理由のひとつでしかない。
これは後で気が付いたことなのだが、あの病院はアスリートのトレーニング施設として非常に優秀であったのだ。
リハビリのためのトレーニングマシンの充実。
健康的かつ、筋肉を作るために理想的な食事の提供。
エダのマッサージによる疲労回復。
そして、何より――回復魔法の存在である。
回復魔法にはいくつかの系統があるようだが、俺がお世話になっていたのは細胞を活性化させて回復を早めるタイプである。
さて、超回復という言葉を聞いたことがあるだろうか?
スポーツもののマンガを読んでると、よく出てくるアレ。
トレーニングした後、一日か二日休むことによって筋肉量がより増えるってアレである。
おそらくだがその超回復が、回復魔法により一晩で済んでしまったのだ。
普通なら二日かかるところを一晩で超回復!
最初は根性のみでやっていたリハビリメニューが体力と筋力を取り戻すにつれて、看護師さんがノリで作ったトレーニングメニューに変わっていくのは当然のことなのだ。
レティシア・ファラリス。
実は……腹筋割れております!!
まぁ、うっすらぐらいですけどね。
「はっ、はー。どっち!?」
はー、ふーっ。
グローリアちゃん元気だな~。
こっちは全力出しすぎて、すぐに声なんか出ないよ。
「ええーっと、タイムは――」
「タイムよりどっちが先だったの!?」
「えーっと、それは」
「どっち!?」
「んんー? たぶん……同着、かな?」
「なんですってぇ!?」
あー、もしかしたらそうかなー。とは思ってたんだよね。
すごくギリギリを競ってたし。
生徒の目測じゃあ、同着ってことになるよなぁ。
だけど、それじゃ収まらないのがグローリアちゃんだ。
「くぅぅ。ならっ、もう一度よ!」
「ふー、はぁぁ……私は構わないのだけど、まだ全員の測定が終わってないし、今度にしない?」
「みんなが終わったらっ、もう一度よ!!」
わー、グローリアちゃん元気だなぁ。
俺はちょっと疲れたから、二回戦目は不利な感じがするんだが。
「あのぅ、グローリアさん。いいかなぁ」
と、ピリピリなグローリアちゃんに、クラスメイトのこが遠慮がちに声をかけてきた。
「ん? どうしたの?」
くるりと振り向いたグローリアちゃんの声は、俺に向けるのとは違うきりっとはしてるけど優しい声だ。
うんうん、そっちの方がいいよ。
やっぱいじめとかの相談してると、声とか顔に険が出るもん。
「ソフィーさんが足をひねっちゃって。ソフィーさん保健委員だから」
「あら、保健委員はもう一人ているでしょ? えっと、たしか、サマンサさん」
「サマンサさんもうすぐ測定で、その」
「そっか。わかったわ。私が保健室まで連れていくわね」
くるっとこちらを向き、
「勝負はお預けよ!」
「え、ええ」
わー。
これで勝ったと思わないで、に続いてなかなか生では聞けない台詞を聞いてしまった気がする。
しかし、グローリアちゃん。
けっこう人気者ではないですか。
考えてもみれば委員長に選ばれている時点で人望があるんだよな。
面倒見もいいし。
ただし、ブラコンこじらせてるせいで、俺にだけ風当たりが強いんだよな。
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