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雷の番がやってきました。
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しかし、炎の魔法が長い。
まぁ、半分以上炎だからね。
けど、炎っても結構バリエーションがあって楽しい。
ファイヤー・ボール的にってか、ファイヤー・ボールなんだろうな、火球を投げつけたり、目標に火柱を立てたり、火炎放射的なのとか。
そして、どれもちょっぴりしょんぼり。
いや、あの子たちがダメなわけじゃないんだ。
あれが普通なの。
しょんぼりだなぁって思ってしまう理由は、レティシアの記憶にある。
端的に言えば、リゼットちゃんはとっても優秀!!
一年だった頃のリゼットちゃんの炎の魔法と比べるとどうしてもね。
給食室のどでかいかまどに火を入れて一気に温度を上げてふっくらパンを焼きあげたり。
でっかい肉の塊を皮はカリカリ中はしっとりおいしく焼いたり。
お風呂をささっと適温にしたり。
手で撫でるだけで、ブラウスのシワを伸ばしたり。
ドンっと派手なのから、地味で制御がめんどくさいのまで、リゼットちゃんはさらっとやっちゃうのだ。
リゼットちゃんもレティシアと同じく辺境領主の娘だが、そんなに裕福ではなかったので、小さな時から魔法を使って手伝いをしていたそうだ。
なので、魔法よりもダンスだ歌だマナーだと叩き込まれてきたお嬢様より、できて当然。
と、言っていたが、そんだけじゃねぇよ。
絶対にすんごい優秀だよ。
レティシアの時には設備がまだまだだったから、実技の授業はろくになかったけど、あったら首席はぶっちぎりでリゼットちゃんだったろうなぁ。
リゼットちゃんとの思い出に浸っているうちに炎の子たちが終わり、雷の子たちに。
イルマちゃんがひらひらと手を振ってくるので、こちらも振り返す。
「いくっすよ!」
おおっ?
パリパリとはぜる音がここまで聞こえる。
イルマちゃんはサンダー・ボール系ですか。
黄色い光が爆ぜてとても華やか。
暗いところで見たらすごいきれいなんだろうな。
ちょっと後のラウラちゃんもサンダー・ボール系。
だけどイルマちゃんに比べてボールは小さ目。
けど、光り方は強くてぎゅっと詰まってるって感じだ。
魔法にも個性って出るんだな。
あ、何がどうして炎がわいたり発電されたりするのかって疑問に関しては、俺はとっくに考えることを放棄している。
魔法を科学する!
みたいなかっこいいのは、別の転生者とか転移者にお任せしたい。
俺は、
『魔法ってそんなもんなんだなー』
って全部済ませる。
考えるだけ無駄無駄無駄!
人間には向き不向きかあって俺がそれに向いていないのは、俺が一番よく知っているのだ。
そしてとうとうグローリアちゃんの番がやってきた。
小さい頃に物置ひとつふっ飛ばしたという、彼女の実力やいかに!
グローリアちゃんはゴム人形の方へ行き、三メートルほど距離を取る。
すうっと深呼吸をして、ぐっと体に力をこめた。
ぱちぱちと小さな音がして、金髪ツインテがぶわっと広がる。
柔らかい素材のスカーフも静電気にふわりと持ち上げられた。
グローリアちゃんの体の周りで青白いスパークが走る。
それは見る間に多くなり、グローリアちゃんは光の繭に包まれているようだ。
これからどうなるんだ!?
「えーーっい!」
グローリアちゃんはそのままゴム人形に突進、体当たり!!
……まさかの肉弾。
スパークはグローリアちゃんがゴム人形に触れたとたんに大きくはじける!
講師の先生たちが素早く動くと、魔法障壁なのか、空中に薄い光の壁のようなものが現れて、スパークを防ぐ。
グローリアちゃんはゴム人形にはねとばされて尻もちをついた。
大丈夫か?
俺が駆け寄る前に、リゼットちゃんが助け起こし、講師の先生からは拍手が起きた。
あ、あれすごいのか。
「さすがヴェロネージェ家ですね。勇者一行の直系なだけはあります」
エリヴィラちゃんがほうと息を吐く。
勇者?
あまりにファンタジーな単語に、レティシアの記憶を掘り返す。
……この国の王様、元勇者の子孫か。
そんで貴族の人たちは、勇者の仲間たち。
まぁ、勇者パーティにいたメンバーから、各地でサポートした人たちまでひっくるめて仲間だから、レティシアみたいに戦闘向きでない貴族もいるんだな。
そこで退屈そうにしてるメフティルトちゃんなんかは、パーティのメインメンバーの子孫だな。
だから侯爵家。
グローリアちゃんの家は、サブメンバーって感じかな。
有利属性の時に引っ張り出されるタイプの。
「お義姉さま! 見ていただけました!?」
グローリアちゃんがパタパタと走ってくる。
「ええ、見てたわよ。すごいわね」
実際どう凄いのかはいまいちわからないが、今まで見た中で一番派手だったのは確かだ。
まだ髪とかはぱちぱち言ってるけど、飛びついてくる前にハンカチを出して体をぬぐうようにすると、それらはすっと消えた。
グローリアちゃんの静電気、精神的なものが大きかったんだろうな。
制御できるって自信と、落ち着くためのちょっとした儀式で何とかなるのがその証拠だ。
「ヴェロネージェ家に伝わる技なんですよ。一番効率的に魔力を目標まで運ぶことができるんです!」
「それはわかるけど、けがには気を付けてね? 転んでたけど平気?」
「はい。あのくらいなら何でもありません」
いい笑顔だけど、俺ちょっと心配だなぁ。
必殺技が体当たりとか。
「今のところの全力はあのくらいですけど、あたしもっと強くなりますから。お義姉さまを守れるぐらいに」
「ふふふ。期待してるわ。でも、無理せずに」
「はぁい」
「………」
ニコニコしてるグローリアちゃんの後ろで、エリヴィラちゃんは何かを考えてる様子。
順番が近づいてきたから、緊張してるのかな?
まぁ、半分以上炎だからね。
けど、炎っても結構バリエーションがあって楽しい。
ファイヤー・ボール的にってか、ファイヤー・ボールなんだろうな、火球を投げつけたり、目標に火柱を立てたり、火炎放射的なのとか。
そして、どれもちょっぴりしょんぼり。
いや、あの子たちがダメなわけじゃないんだ。
あれが普通なの。
しょんぼりだなぁって思ってしまう理由は、レティシアの記憶にある。
端的に言えば、リゼットちゃんはとっても優秀!!
一年だった頃のリゼットちゃんの炎の魔法と比べるとどうしてもね。
給食室のどでかいかまどに火を入れて一気に温度を上げてふっくらパンを焼きあげたり。
でっかい肉の塊を皮はカリカリ中はしっとりおいしく焼いたり。
お風呂をささっと適温にしたり。
手で撫でるだけで、ブラウスのシワを伸ばしたり。
ドンっと派手なのから、地味で制御がめんどくさいのまで、リゼットちゃんはさらっとやっちゃうのだ。
リゼットちゃんもレティシアと同じく辺境領主の娘だが、そんなに裕福ではなかったので、小さな時から魔法を使って手伝いをしていたそうだ。
なので、魔法よりもダンスだ歌だマナーだと叩き込まれてきたお嬢様より、できて当然。
と、言っていたが、そんだけじゃねぇよ。
絶対にすんごい優秀だよ。
レティシアの時には設備がまだまだだったから、実技の授業はろくになかったけど、あったら首席はぶっちぎりでリゼットちゃんだったろうなぁ。
リゼットちゃんとの思い出に浸っているうちに炎の子たちが終わり、雷の子たちに。
イルマちゃんがひらひらと手を振ってくるので、こちらも振り返す。
「いくっすよ!」
おおっ?
パリパリとはぜる音がここまで聞こえる。
イルマちゃんはサンダー・ボール系ですか。
黄色い光が爆ぜてとても華やか。
暗いところで見たらすごいきれいなんだろうな。
ちょっと後のラウラちゃんもサンダー・ボール系。
だけどイルマちゃんに比べてボールは小さ目。
けど、光り方は強くてぎゅっと詰まってるって感じだ。
魔法にも個性って出るんだな。
あ、何がどうして炎がわいたり発電されたりするのかって疑問に関しては、俺はとっくに考えることを放棄している。
魔法を科学する!
みたいなかっこいいのは、別の転生者とか転移者にお任せしたい。
俺は、
『魔法ってそんなもんなんだなー』
って全部済ませる。
考えるだけ無駄無駄無駄!
人間には向き不向きかあって俺がそれに向いていないのは、俺が一番よく知っているのだ。
そしてとうとうグローリアちゃんの番がやってきた。
小さい頃に物置ひとつふっ飛ばしたという、彼女の実力やいかに!
グローリアちゃんはゴム人形の方へ行き、三メートルほど距離を取る。
すうっと深呼吸をして、ぐっと体に力をこめた。
ぱちぱちと小さな音がして、金髪ツインテがぶわっと広がる。
柔らかい素材のスカーフも静電気にふわりと持ち上げられた。
グローリアちゃんの体の周りで青白いスパークが走る。
それは見る間に多くなり、グローリアちゃんは光の繭に包まれているようだ。
これからどうなるんだ!?
「えーーっい!」
グローリアちゃんはそのままゴム人形に突進、体当たり!!
……まさかの肉弾。
スパークはグローリアちゃんがゴム人形に触れたとたんに大きくはじける!
講師の先生たちが素早く動くと、魔法障壁なのか、空中に薄い光の壁のようなものが現れて、スパークを防ぐ。
グローリアちゃんはゴム人形にはねとばされて尻もちをついた。
大丈夫か?
俺が駆け寄る前に、リゼットちゃんが助け起こし、講師の先生からは拍手が起きた。
あ、あれすごいのか。
「さすがヴェロネージェ家ですね。勇者一行の直系なだけはあります」
エリヴィラちゃんがほうと息を吐く。
勇者?
あまりにファンタジーな単語に、レティシアの記憶を掘り返す。
……この国の王様、元勇者の子孫か。
そんで貴族の人たちは、勇者の仲間たち。
まぁ、勇者パーティにいたメンバーから、各地でサポートした人たちまでひっくるめて仲間だから、レティシアみたいに戦闘向きでない貴族もいるんだな。
そこで退屈そうにしてるメフティルトちゃんなんかは、パーティのメインメンバーの子孫だな。
だから侯爵家。
グローリアちゃんの家は、サブメンバーって感じかな。
有利属性の時に引っ張り出されるタイプの。
「お義姉さま! 見ていただけました!?」
グローリアちゃんがパタパタと走ってくる。
「ええ、見てたわよ。すごいわね」
実際どう凄いのかはいまいちわからないが、今まで見た中で一番派手だったのは確かだ。
まだ髪とかはぱちぱち言ってるけど、飛びついてくる前にハンカチを出して体をぬぐうようにすると、それらはすっと消えた。
グローリアちゃんの静電気、精神的なものが大きかったんだろうな。
制御できるって自信と、落ち着くためのちょっとした儀式で何とかなるのがその証拠だ。
「ヴェロネージェ家に伝わる技なんですよ。一番効率的に魔力を目標まで運ぶことができるんです!」
「それはわかるけど、けがには気を付けてね? 転んでたけど平気?」
「はい。あのくらいなら何でもありません」
いい笑顔だけど、俺ちょっと心配だなぁ。
必殺技が体当たりとか。
「今のところの全力はあのくらいですけど、あたしもっと強くなりますから。お義姉さまを守れるぐらいに」
「ふふふ。期待してるわ。でも、無理せずに」
「はぁい」
「………」
ニコニコしてるグローリアちゃんの後ろで、エリヴィラちゃんは何かを考えてる様子。
順番が近づいてきたから、緊張してるのかな?
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