23 / 42
22話
しおりを挟む
相模部長との話を終えた俺は後日の予定を変更して集まって今後の事を話し合った。とは言っても特にこれだっと決める事はあまり無かったように思う。
正直、ただ単に相模部長から言われた事を伝えて今後は人が増えたり、何かしらのノルマが課せられるかもしれないと話しただけだし。
「あれ、なんで人事部からメールが届いてるんだ?」
幸たちの話し合いを思い出しながらいつものようにメール確認してみると珍しいところからメールが届いているのに気が付く。
受信したのは木曜日の午後だから当たり前に俺はダンジョン内にいたからそれも知らなかった訳で……と内容は新卒採用の合同説明会についてか……。
開発部も製品化した商品をこじんまりとながら展示するし、写真のパネルを何枚か用意するから探索者部門としても写真を用意してほしいか。まぁ、説明会に参加してくれとか装備を貸してくれとかじゃないなら問題は無いけど、どんな写真を提出すれば良いか分からないな。
ダンジョン内での写真撮影なんて未だに成功したって聞いたこと無いし、もしできてたらもっと話題になってるだろうから開発すらされてないんだろう。
「って事は適当に装備とか身に着けた状態で写真撮影すれば良いかな……?」
一応、確認の為に人事部にメールを返信した方が良さそうだな。あとは明日の探索前に幸たちに話して何枚か撮れば良いだろう。
で、次は明日から持ち込むテスト品を選ばないといけないんだけど……。
「どうかしたか、羽生?」
「そうだぞ」
「何か気になる事でも有るの?」
「……次はこれ」
モニターから顔を上げた俺を待っていたのは先輩たちの互いに牽制しあう声だった。……相変わらず風間先輩はマイペースに紙を差し出してきたけど。
「待て、風間!」
「またなの、貴女」
「それはいかんぞ!」
「……ちっ」
差し出していた紙を他の先輩たちに奪われるのは嫌なのか直ぐに引っ込めて機会を伺い始めた風間先輩にちょっとだけほっとしながらどうしたものかと頭を悩ませる。
一応、既に先輩たちのテスト品は偏りが出ないように複数回ダンジョンで使っているからそこまで誰かのを持っていかないといけないってのは無いから良いけど。
四人以外の先輩方はデスクに用意された書類入れに入れてくれていたから仕分けした時に軽く目を通したけど、今回はこっちから選びたいと思ったのがいくつか有ったんだよね。
「あ、あの先輩、申し訳ないんですが今回はこっちに有るのから選ばさせて貰いたいんですが……」
「「「「はっ?」」」」
「いや、大変申し訳ないんですが、先輩たちのばかりテストしてては色々と問題になりますし」
「ちっ、どんなのを持ってくつもりなんだ?」
「……仕方ないわね。見せてみなさい」
「お前らは……」
「……これは」
火野先輩の言葉に差し出した書類は直ぐに風間先輩が取っていき、慌てて火野先輩たちも覗き込むように中身を確認し始める。
どうにか納得してくれると助かるんだけど。
正直、さっきから俺にテスト品の書類を渡した他の先輩たちから視線が集まってるんだよね。まぁ、気持ちは分からなくはないんだけど。
「……分かった。今回は諦める」
「ちょっと、まだ私は見終わってないわよ」
「俺も今回は良いかな」
風間先輩が残念そうにしながら俺に返そうと書類を差し出したのを水野先輩が慌てて横から取って再度見始める。
どうやら風間先輩も土田先輩も言葉通りに今回は諦めたようで自分のデスクへと向かっていった。
残ったのは火野先輩と水野先輩だけだがこの様子だと二人も諦めてくれそうで時より考え込む仕草は見せたが直ぐに書類を返してくれた。
「しゃーないな、俺も今回は諦める」
「私もね。正直、これを見たら新しく考えたいのが出来たし」
「ありがとうございます。じゃあ、今回はこれにします」
あっさりと戻っていく二人を見送った俺はテスト品を借りるために動き出した。
視界内でガッツポーズする人や満面の笑みを浮かべる人たちの中の一人と話すために。
正直、ただ単に相模部長から言われた事を伝えて今後は人が増えたり、何かしらのノルマが課せられるかもしれないと話しただけだし。
「あれ、なんで人事部からメールが届いてるんだ?」
幸たちの話し合いを思い出しながらいつものようにメール確認してみると珍しいところからメールが届いているのに気が付く。
受信したのは木曜日の午後だから当たり前に俺はダンジョン内にいたからそれも知らなかった訳で……と内容は新卒採用の合同説明会についてか……。
開発部も製品化した商品をこじんまりとながら展示するし、写真のパネルを何枚か用意するから探索者部門としても写真を用意してほしいか。まぁ、説明会に参加してくれとか装備を貸してくれとかじゃないなら問題は無いけど、どんな写真を提出すれば良いか分からないな。
ダンジョン内での写真撮影なんて未だに成功したって聞いたこと無いし、もしできてたらもっと話題になってるだろうから開発すらされてないんだろう。
「って事は適当に装備とか身に着けた状態で写真撮影すれば良いかな……?」
一応、確認の為に人事部にメールを返信した方が良さそうだな。あとは明日の探索前に幸たちに話して何枚か撮れば良いだろう。
で、次は明日から持ち込むテスト品を選ばないといけないんだけど……。
「どうかしたか、羽生?」
「そうだぞ」
「何か気になる事でも有るの?」
「……次はこれ」
モニターから顔を上げた俺を待っていたのは先輩たちの互いに牽制しあう声だった。……相変わらず風間先輩はマイペースに紙を差し出してきたけど。
「待て、風間!」
「またなの、貴女」
「それはいかんぞ!」
「……ちっ」
差し出していた紙を他の先輩たちに奪われるのは嫌なのか直ぐに引っ込めて機会を伺い始めた風間先輩にちょっとだけほっとしながらどうしたものかと頭を悩ませる。
一応、既に先輩たちのテスト品は偏りが出ないように複数回ダンジョンで使っているからそこまで誰かのを持っていかないといけないってのは無いから良いけど。
四人以外の先輩方はデスクに用意された書類入れに入れてくれていたから仕分けした時に軽く目を通したけど、今回はこっちから選びたいと思ったのがいくつか有ったんだよね。
「あ、あの先輩、申し訳ないんですが今回はこっちに有るのから選ばさせて貰いたいんですが……」
「「「「はっ?」」」」
「いや、大変申し訳ないんですが、先輩たちのばかりテストしてては色々と問題になりますし」
「ちっ、どんなのを持ってくつもりなんだ?」
「……仕方ないわね。見せてみなさい」
「お前らは……」
「……これは」
火野先輩の言葉に差し出した書類は直ぐに風間先輩が取っていき、慌てて火野先輩たちも覗き込むように中身を確認し始める。
どうにか納得してくれると助かるんだけど。
正直、さっきから俺にテスト品の書類を渡した他の先輩たちから視線が集まってるんだよね。まぁ、気持ちは分からなくはないんだけど。
「……分かった。今回は諦める」
「ちょっと、まだ私は見終わってないわよ」
「俺も今回は良いかな」
風間先輩が残念そうにしながら俺に返そうと書類を差し出したのを水野先輩が慌てて横から取って再度見始める。
どうやら風間先輩も土田先輩も言葉通りに今回は諦めたようで自分のデスクへと向かっていった。
残ったのは火野先輩と水野先輩だけだがこの様子だと二人も諦めてくれそうで時より考え込む仕草は見せたが直ぐに書類を返してくれた。
「しゃーないな、俺も今回は諦める」
「私もね。正直、これを見たら新しく考えたいのが出来たし」
「ありがとうございます。じゃあ、今回はこれにします」
あっさりと戻っていく二人を見送った俺はテスト品を借りるために動き出した。
視界内でガッツポーズする人や満面の笑みを浮かべる人たちの中の一人と話すために。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
46
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる