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現実
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「行ってきまーす!」
ドアを開けたのは午前8時のことだった。建ち並ぶ無機質な高層ビルの間を今日もまた駆けていく。この世界の住人と他愛もない会話をすることはない。通り過ぎる他人を横目に見て心で卑しむだけである。
空虚と憎悪が入り混じるこの世界はとても生き苦しい。
照りつける太陽に輝きなんてないし、空が青いのはきっと大気汚染だ。俺はそう思うまでにひどくこの世界を嫌っていた。
「出欠をとるぞ。池田...宇治...小嶋...武田...」
俺はこの学校にいる生徒1200人のうちの一人でしかないし、さらに言えばこの国民1億2000万人のうちのたった一人でしかない。この世界では単なるモブキャラ、いやモブキャラにもなれなかった“その他大勢”に属しているだろう。
俺がここまで卑屈になったのも誰のせいだろう。親だろうか。友達だろうか。それとも...社会....。
そうだ。これは全てこの社会が悪いんだ。
・・・こんな世界、なくなってしまえ
「本当にそう思う?」
赤い髪の色を持つ長髪の少女が目の前に立っていた。
「わ、わああ!!聞こえたのかよ!!」
聞こえたのかよ?聞こえるはずがない。俺はそう思っただけなんだ。呟いてもいないさ。まて、その子はまだ俺がどう思ってるとか何も言ってないじゃないか、なんだよこの全てを見透かされたような気分は。
「聞こえてるよ。君の想い。"この世界”が嫌いなんだよね?それはなんで?あなたが"その他大勢”に属しているから?言わなくてもわかるよ。君は認めたくないんだろう?ここが現実であの世界が夢の世界でしかないことを。」
「えっ・・・。」
その通りだった。
俺の生きがいであるあの世界は夢でしかないのだ。起きても自分の体に影響はないし、痛みも感じない。
ここ最近この世界が夢であの世界が現実なら良いのにと思うことが増えてきた。
「君は誰なんだ!?」
「私?私に名前はないよ。あるのは管理者という役職だけ。」
俺は頭がおかしくなったのだろうか。あの世界でもよく耳にする言葉だ。もう夢と現実がわからない。"一人"教室の中で頭を抱えた。
「俺に何の用なんだ、管理者。」
「繋いであげるよ。君の夢と現実を。」
「へっ?」
「今は君が寝たら君の頭の中であの世界に行くでしょう?そうじゃなくてちゃんとゲートを通ってあの世界に行けば、起きてこっちの世界に来ることもないのよ。こっちの世界の時間は止まったままで戻って来れば時間が進むわ。ただし、条件が一つあるのだけれど...。」
そう言って赤い髪の少女は通行券を渡した。
ドアを開けたのは午前8時のことだった。建ち並ぶ無機質な高層ビルの間を今日もまた駆けていく。この世界の住人と他愛もない会話をすることはない。通り過ぎる他人を横目に見て心で卑しむだけである。
空虚と憎悪が入り混じるこの世界はとても生き苦しい。
照りつける太陽に輝きなんてないし、空が青いのはきっと大気汚染だ。俺はそう思うまでにひどくこの世界を嫌っていた。
「出欠をとるぞ。池田...宇治...小嶋...武田...」
俺はこの学校にいる生徒1200人のうちの一人でしかないし、さらに言えばこの国民1億2000万人のうちのたった一人でしかない。この世界では単なるモブキャラ、いやモブキャラにもなれなかった“その他大勢”に属しているだろう。
俺がここまで卑屈になったのも誰のせいだろう。親だろうか。友達だろうか。それとも...社会....。
そうだ。これは全てこの社会が悪いんだ。
・・・こんな世界、なくなってしまえ
「本当にそう思う?」
赤い髪の色を持つ長髪の少女が目の前に立っていた。
「わ、わああ!!聞こえたのかよ!!」
聞こえたのかよ?聞こえるはずがない。俺はそう思っただけなんだ。呟いてもいないさ。まて、その子はまだ俺がどう思ってるとか何も言ってないじゃないか、なんだよこの全てを見透かされたような気分は。
「聞こえてるよ。君の想い。"この世界”が嫌いなんだよね?それはなんで?あなたが"その他大勢”に属しているから?言わなくてもわかるよ。君は認めたくないんだろう?ここが現実であの世界が夢の世界でしかないことを。」
「えっ・・・。」
その通りだった。
俺の生きがいであるあの世界は夢でしかないのだ。起きても自分の体に影響はないし、痛みも感じない。
ここ最近この世界が夢であの世界が現実なら良いのにと思うことが増えてきた。
「君は誰なんだ!?」
「私?私に名前はないよ。あるのは管理者という役職だけ。」
俺は頭がおかしくなったのだろうか。あの世界でもよく耳にする言葉だ。もう夢と現実がわからない。"一人"教室の中で頭を抱えた。
「俺に何の用なんだ、管理者。」
「繋いであげるよ。君の夢と現実を。」
「へっ?」
「今は君が寝たら君の頭の中であの世界に行くでしょう?そうじゃなくてちゃんとゲートを通ってあの世界に行けば、起きてこっちの世界に来ることもないのよ。こっちの世界の時間は止まったままで戻って来れば時間が進むわ。ただし、条件が一つあるのだけれど...。」
そう言って赤い髪の少女は通行券を渡した。
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