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私たちの答え 5
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そんなハッキリと言い切ってしまっていいのだろうか。
バチバチと散る火花をヒヤヒヤしながら見ているとその重役はプンスカ怒ってどこかへ行ってしまう。
「よかったの?」
「あんな気持ち悪い視線を心春に向ける方が悪い。殺意すら湧くくらいだ」
「え、殺意?!」
伊織くんが言うと嘘に聞こえなくてそれが逆に怖い。
相手はどこかの会社の重役だというのに、専務という立場の伊織くんがそんな私情を挟んでしまっていいのか。
そんなことを考えていると私たちの元にお義父さんたちがやって来る。
今までお義父さんたちも忙しく挨拶などをしていたようだ。
「伊織。お父さんや如月の会長が今エントランスにいるみたいだ」
「分かった。行く」
いよいよ直接対峙の時間がやってくる。
ここに麗華さんたちが来ないことを既に知っているだろうし、逆鱗に触れているのは間違いない。
歩いて4人で向かうとソファに腰を深く沈めるおじい様と如月の会長がいた。
2人の放つオーラは不機嫌極まりないものでかなりお怒りなのが伝わってくる。
「侑李!お前、何したか分かってるのか」
「父さんじゃないよ」
言葉を発したのは伊織くんでその声はとても静かだった。
怒りが収まらないのかおじい様は眉間に皺を寄せて私たちを見つめている。
「伊織、お前何したか分かってるのか。これは単なる結婚話じゃなかったん───」
「分かってる。けど、俺は心春と別れるつもりはないです」
おじい様が怒るのも無理はない。
会社のためを思っての行動をぶち壊されたのだから。
それは如月の会長も同じようで私たちへの敵意が凄まじい。
「東雲専務、これが一体どういうことか分かってるのかね」
「重々承知しております。ですので代替案を持ってきております」
これは私たちが一緒にいるために考えた方法で、それが私以外の人たちの幸せにも繋がっていると信じている。
伊織くんが考えてくれたその代替案を納得させることが、私たちがこの先も一緒にいる前提条件だ。
「東雲と如月の交換制度を提案します。我々はこの日本を背負うシステム開発のトップ2だと自負しています。その2社の優秀な人材を選抜しお互いの会社に短期間トレードしてお互いのプログラミング知識や情報を交換しあうというものです。もちろんトレード期間に得た情報や知識に見合った報酬をお互い支払う、そうすることで互いに利益を得られますしどちらにもデメリットはない。学生の交換留学制度みたいなもんですね」
「⋯⋯⋯そんなことが本当にできると思っているのか?情報管理や漏洩の可能性もある。前例がない」
「そこのセキュリティは徹底します。お互い会社の直接的な制作に関わるようなことはしないなど配慮をするつもりですし、最初はどんなことだって前例がないです。でもそうやって新しいことにチャレンジしていかないと会社は成長していかない。それは如月も同じでしょう?」
古い風習というものももちろん必要だということは分かっている。
だけど、いつまでも固定概念に囚われていてはダメだということも分かっていた。
そのことを麗華ちゃんやご両親も重々分かっていたのだろう。
またきっと私たちは成長できる。
「伊織は結果を出します。それを見てから決めてもいいんじゃないですかお父さん」
「⋯⋯⋯⋯」
「試験期間を設けたり、内容を詰めたりこれからもっとしていくつもりです。後日改めて資料にまとめて提出します。それを見てください」
「悪知恵を貸したのはお前か?」
ギロッとおじい様の鋭い視線が私に突き刺さる。
一瞬ビクッと身体が震えるが伊織くんがそれに気づいて私の腰に腕を回してくれた。
まるで大丈夫だよ、と言われているみたいですごく安心する。
そのおかげでおじい様のその視線にも堂々と見つめ返すことができた。
「代替案を提案したり、如月の娘や社長が欠席したり、全部想定外のことが起こったのはお前の仕業だな」
「みんなが幸せになるための方法を考えただけです」
「みんなが幸せだと?笑わせるな。会社を第一に考えろ、それがお前たちの立場だろ」
「逆におじい様に聞きますけど、おじい様の考えた政略結婚は会社のためになるんですか?当の本人たちの意見を無視して実行することが会社のためなんです?」
「なんだと?」
「大企業が呆れます。そんな古い風習をいつまでも守るなんて、革新も変化も何もないと思います」
バチバチと散る火花をヒヤヒヤしながら見ているとその重役はプンスカ怒ってどこかへ行ってしまう。
「よかったの?」
「あんな気持ち悪い視線を心春に向ける方が悪い。殺意すら湧くくらいだ」
「え、殺意?!」
伊織くんが言うと嘘に聞こえなくてそれが逆に怖い。
相手はどこかの会社の重役だというのに、専務という立場の伊織くんがそんな私情を挟んでしまっていいのか。
そんなことを考えていると私たちの元にお義父さんたちがやって来る。
今までお義父さんたちも忙しく挨拶などをしていたようだ。
「伊織。お父さんや如月の会長が今エントランスにいるみたいだ」
「分かった。行く」
いよいよ直接対峙の時間がやってくる。
ここに麗華さんたちが来ないことを既に知っているだろうし、逆鱗に触れているのは間違いない。
歩いて4人で向かうとソファに腰を深く沈めるおじい様と如月の会長がいた。
2人の放つオーラは不機嫌極まりないものでかなりお怒りなのが伝わってくる。
「侑李!お前、何したか分かってるのか」
「父さんじゃないよ」
言葉を発したのは伊織くんでその声はとても静かだった。
怒りが収まらないのかおじい様は眉間に皺を寄せて私たちを見つめている。
「伊織、お前何したか分かってるのか。これは単なる結婚話じゃなかったん───」
「分かってる。けど、俺は心春と別れるつもりはないです」
おじい様が怒るのも無理はない。
会社のためを思っての行動をぶち壊されたのだから。
それは如月の会長も同じようで私たちへの敵意が凄まじい。
「東雲専務、これが一体どういうことか分かってるのかね」
「重々承知しております。ですので代替案を持ってきております」
これは私たちが一緒にいるために考えた方法で、それが私以外の人たちの幸せにも繋がっていると信じている。
伊織くんが考えてくれたその代替案を納得させることが、私たちがこの先も一緒にいる前提条件だ。
「東雲と如月の交換制度を提案します。我々はこの日本を背負うシステム開発のトップ2だと自負しています。その2社の優秀な人材を選抜しお互いの会社に短期間トレードしてお互いのプログラミング知識や情報を交換しあうというものです。もちろんトレード期間に得た情報や知識に見合った報酬をお互い支払う、そうすることで互いに利益を得られますしどちらにもデメリットはない。学生の交換留学制度みたいなもんですね」
「⋯⋯⋯そんなことが本当にできると思っているのか?情報管理や漏洩の可能性もある。前例がない」
「そこのセキュリティは徹底します。お互い会社の直接的な制作に関わるようなことはしないなど配慮をするつもりですし、最初はどんなことだって前例がないです。でもそうやって新しいことにチャレンジしていかないと会社は成長していかない。それは如月も同じでしょう?」
古い風習というものももちろん必要だということは分かっている。
だけど、いつまでも固定概念に囚われていてはダメだということも分かっていた。
そのことを麗華ちゃんやご両親も重々分かっていたのだろう。
またきっと私たちは成長できる。
「伊織は結果を出します。それを見てから決めてもいいんじゃないですかお父さん」
「⋯⋯⋯⋯」
「試験期間を設けたり、内容を詰めたりこれからもっとしていくつもりです。後日改めて資料にまとめて提出します。それを見てください」
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