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私たちの答え 6
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こんな偉そうなことを会長に言って私は何をしてるんだろう。
でも言葉が止まらなかった。
私は知ってる。
麗華さんが会社を想って自分の気持ちを隠そうとしたことを。
伊織くんが私たちの未来のためにこの案を考えてくれたことを。
お義父さんたちが自分たちと同じ道を歩ませないように努力してくれたことを。
「心春の言う通りです。あなたはもう過去の人間だ。今は父さんと母さんと俺たちがこの会社を守っているんです。確かにあなたがこの会社をここまで大きくしてくれた。でもそのやり方じゃこれからは無理なんですよ」
「⋯⋯⋯」
「俺たちは俺たちのやり方でこの会社を成長させ守ってみせます。あなたとは違うやり方で」
おじい様や如月の会長は私たちの言葉を黙って聞いている。
どんな感情で聞いてくれているのかは分からないが、何も言い返してこないことが意外だった。
「おじい様方の意見が分からないわけじゃないです。でも実際ここに麗華さんや社長たちが来なかったのが答えなんだと思います」
「あいつらも余計な話に絆されやがってしょうもない」
「麗華さんが、あなたのお孫さんが今までどのように生きてきたかご存知ですか?私は彼女を尊敬してます。自分の意思を曲げてでも如月のために生きてきたことに」
初めての反抗なんだと思う。
今までずっと言いなりに生きてきた彼女にとって勇気がいる行動だったと思うし怖かったに違いない。
それでも彼女は自分で選んだ。
大切な人と一緒に如月を背負っていくことを。
そしてそれをご両親は認めてくれた。
「もっと大きな視野で会社を守ろうとしているみんなの姿を見てあげるべきではないでしょうか」
「⋯⋯⋯」
おじい様や如月の会長相手にこんなふうに大口叩いて私の未来が心配になってきた。
でも頭ごなしに否定してくることに私は腹が立ったんだ。
それぞれがどんな思いでこういう選択をしようとしているのか、どんな思いで今まで会社のために行動してきたのかこの人たちは知るべきだと思う。
「お父さん、もう伊織たちは大人なんですよ。心配しなくたってこの会社を守っていってくれる。伊織や心春ちゃんだってこの会社を守りたい気持ちに嘘はないんですから。俺たちは若い世代にそれを受け継ぎ見守って支えてあげるべきなんじゃないでしょうか」
しばらく黙っていたおじい様が顔を上げて私たちを見つめる。
その表情は不機嫌そうではあるが怒ってはいないようにも思えた。
「⋯⋯会社の利益になるかどうかの判断はお前の出す資料を見てからだ。だがまだ成果を出していない。成果を出せなければこちらのやり方でやらせてもらう。いいな?」
おじい様は不服ながらも伊織くんの提出する資料を見る意思は持ってくれたようだ。
如月の会長もおじい様の言葉に意見はないようで静観している。
きっとそれもおじい様の根底にある思いは伊織くんやお義父さんたちと同じだからだろう。
会社の成長、利益のために行動していることは変わらない。
だからこそ伊織くんの提案をこの短時間で精査した結果、試してみる価値があると判断したんだろう。
それだけ柔軟性があり会社の成長を第1に考えられる人だから、ここまで東雲ホールディングスを大きくできたに違いない。
「結果を出せ伊織。そうじゃなければ認めん」
この場を乗り越えるには十分な提案をできたみたいで、おじい様や如月の会長は伊織くんの提案に試す価値あると判断してくれた。
大変なのはこれからだ。
成果を出すために案を進めなくてはいけないし、そして結果を残す必要がある。
それでも一段階目をクリアできたことにとても安心できた。
お義父さんたちはもう少しおじい様たちと話をするとのことでこの場に残るらしいが、私たちは宴会会場へと戻る。
「よかった⋯まずは凌げて」
「心春かっこよすぎたぞ。あのセリフは痺れた」
「そうだ⋯!私おじい様に失礼な態度取っちゃって、どうしよう⋯ごめん伊織くん!」
「なんで謝る?心春が言わなかったら俺が言おうと思ってたし、嬉しかったよ。東雲のことをまるで自分の事のように考えてくれて」
いつの間にか私はただの東雲伊織の妻ではなく、大企業の次期社長である東雲伊織の妻になれていたようだ。
少しでも伊織くんの力になれたことが嬉しいし、そう言ってもらえることが本当の意味で彼の妻になれた気がした。
「心春が俺の妻で本当によかった」
「私こそだよ。ずっと支えるからこの会社のことも私たちのことも一緒に頑張ろう」
「そうだな。あの人たちにぐうの音も出ない成果を見せてやろう」
宴会会場に戻り私たちは再び参加している重役たちと会話を楽しんだり挨拶を繰り返す。
そのままパーティーの終了時間まで2人で寄り添いながら過ごした。
でも言葉が止まらなかった。
私は知ってる。
麗華さんが会社を想って自分の気持ちを隠そうとしたことを。
伊織くんが私たちの未来のためにこの案を考えてくれたことを。
お義父さんたちが自分たちと同じ道を歩ませないように努力してくれたことを。
「心春の言う通りです。あなたはもう過去の人間だ。今は父さんと母さんと俺たちがこの会社を守っているんです。確かにあなたがこの会社をここまで大きくしてくれた。でもそのやり方じゃこれからは無理なんですよ」
「⋯⋯⋯」
「俺たちは俺たちのやり方でこの会社を成長させ守ってみせます。あなたとは違うやり方で」
おじい様や如月の会長は私たちの言葉を黙って聞いている。
どんな感情で聞いてくれているのかは分からないが、何も言い返してこないことが意外だった。
「おじい様方の意見が分からないわけじゃないです。でも実際ここに麗華さんや社長たちが来なかったのが答えなんだと思います」
「あいつらも余計な話に絆されやがってしょうもない」
「麗華さんが、あなたのお孫さんが今までどのように生きてきたかご存知ですか?私は彼女を尊敬してます。自分の意思を曲げてでも如月のために生きてきたことに」
初めての反抗なんだと思う。
今までずっと言いなりに生きてきた彼女にとって勇気がいる行動だったと思うし怖かったに違いない。
それでも彼女は自分で選んだ。
大切な人と一緒に如月を背負っていくことを。
そしてそれをご両親は認めてくれた。
「もっと大きな視野で会社を守ろうとしているみんなの姿を見てあげるべきではないでしょうか」
「⋯⋯⋯」
おじい様や如月の会長相手にこんなふうに大口叩いて私の未来が心配になってきた。
でも頭ごなしに否定してくることに私は腹が立ったんだ。
それぞれがどんな思いでこういう選択をしようとしているのか、どんな思いで今まで会社のために行動してきたのかこの人たちは知るべきだと思う。
「お父さん、もう伊織たちは大人なんですよ。心配しなくたってこの会社を守っていってくれる。伊織や心春ちゃんだってこの会社を守りたい気持ちに嘘はないんですから。俺たちは若い世代にそれを受け継ぎ見守って支えてあげるべきなんじゃないでしょうか」
しばらく黙っていたおじい様が顔を上げて私たちを見つめる。
その表情は不機嫌そうではあるが怒ってはいないようにも思えた。
「⋯⋯会社の利益になるかどうかの判断はお前の出す資料を見てからだ。だがまだ成果を出していない。成果を出せなければこちらのやり方でやらせてもらう。いいな?」
おじい様は不服ながらも伊織くんの提出する資料を見る意思は持ってくれたようだ。
如月の会長もおじい様の言葉に意見はないようで静観している。
きっとそれもおじい様の根底にある思いは伊織くんやお義父さんたちと同じだからだろう。
会社の成長、利益のために行動していることは変わらない。
だからこそ伊織くんの提案をこの短時間で精査した結果、試してみる価値があると判断したんだろう。
それだけ柔軟性があり会社の成長を第1に考えられる人だから、ここまで東雲ホールディングスを大きくできたに違いない。
「結果を出せ伊織。そうじゃなければ認めん」
この場を乗り越えるには十分な提案をできたみたいで、おじい様や如月の会長は伊織くんの提案に試す価値あると判断してくれた。
大変なのはこれからだ。
成果を出すために案を進めなくてはいけないし、そして結果を残す必要がある。
それでも一段階目をクリアできたことにとても安心できた。
お義父さんたちはもう少しおじい様たちと話をするとのことでこの場に残るらしいが、私たちは宴会会場へと戻る。
「よかった⋯まずは凌げて」
「心春かっこよすぎたぞ。あのセリフは痺れた」
「そうだ⋯!私おじい様に失礼な態度取っちゃって、どうしよう⋯ごめん伊織くん!」
「なんで謝る?心春が言わなかったら俺が言おうと思ってたし、嬉しかったよ。東雲のことをまるで自分の事のように考えてくれて」
いつの間にか私はただの東雲伊織の妻ではなく、大企業の次期社長である東雲伊織の妻になれていたようだ。
少しでも伊織くんの力になれたことが嬉しいし、そう言ってもらえることが本当の意味で彼の妻になれた気がした。
「心春が俺の妻で本当によかった」
「私こそだよ。ずっと支えるからこの会社のことも私たちのことも一緒に頑張ろう」
「そうだな。あの人たちにぐうの音も出ない成果を見せてやろう」
宴会会場に戻り私たちは再び参加している重役たちと会話を楽しんだり挨拶を繰り返す。
そのままパーティーの終了時間まで2人で寄り添いながら過ごした。
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