【R18/TL】ハイスペックな元彼は私を捉えて離さない

春野カノン

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もし許されるなら(3)

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「唯斗の好きな人、華乃子ちゃんだから」

「え?」

「私じゃない。唯斗の好きな人」

「⋯⋯ちょっと待って、それマジで言ってる?」

「マジだよ。大マジ!華乃子ちゃんのことで確かに相談されたりしてたし、同期として仲良いから2人でご飯行ったり話したりももちろんする。でも私たちがお互い好きになることなんて絶対ないから」


ずっと勘違いされていて言えなかった内容を言えたことでかなりスッキリした。
目の前で心底驚いた顔をした理玖くんはそのまま恥ずかしそうに頭を抱える。


そして深すぎるくらいのはぁというため息が聞こえてきた。
その様子を見ながら私は頼んでいた焼き鳥を口にする。


「ちょっと待ってめっちゃ恥ずかしいんだけど。俺ずっと勘違いしてたってこと?」

「そういうこと」

「え~早く言ってよ。ずっと勘違いしてめっちゃ嫉妬してたじゃん!それでキスまでしちゃったじゃん」

「会議室の時点で言おうと思ったけど理玖くんが聞いてくれないから⋯」

「うわー思い出すだけで恥ずかしい⋯⋯」


理玖くんは顔を机に突っ伏し表情を隠すように俯く。
チラッと見える耳元はびっくりするくらい赤くなっており、そんな表情を理玖くんもするんだと思わず口角が上がった。


「分かってくれた?私と唯斗はただの同期だって」

「うん。ごめん陽葵ちゃん。散々勘違いして副島くんに牽制までしちゃったよ」

「唯斗は気づいてたよ。理玖くんに牽制されたって」


赤くなった顔を隠すように理玖くんはハイボールをゴクッと飲み干し、新しいハイボールを注文した。
少しだけテンパっている理玖くんを見るのが新鮮でなんだか嬉しい。


「ねえ理玖くん。私からも聞きたいことがあるんだけど」

「なんでも聞いてください」

「どうしてずっと私のこと好きでいてくれたの?私と別れた後もずっと。理玖くんならモテモテでしょ?」

「⋯⋯⋯陽葵ちゃんと付き合う前も彼女はたくさんいた。でも大体その子たちって始まりは俺の顔だからさ、まぁ告白されて悪くないかって思って俺も了承するんだけど、付き合っていくと彼女のわがままとか嫉妬を可愛いと思えなくてめんどくさいって思っちゃうんだよね」


理玖くんの別れていた間の本心を初めて知れる気がする。
ずっと気になっていた。
振ったのは私なのに、どうしてまた好きだと言ってくれるのか。


「俺、元々付き合う彼女のことはデロデロに甘やかして俺なしじゃ生きられないくらいにしたいタイプなんですよね」

「あ、うん⋯それは、なんとなく、分かってます⋯」

「初めてだったんだよ。彼女相手にそういう感情になったのは、陽葵ちゃんが初めてだった」

「そうなんだ⋯⋯」

「陽葵ちゃん付き合ってる時、あんまりわがままとか言わなかったよね。それが逆にグッときて、甘やかしてあげたいって思ったしもっと頼って欲しいって思ったんだ」


理玖くんがそんな風に思ってるとは全く思ってもなかった。
私は2年ほど一緒にいたがまだまだ理玖くんのことを知らないことばかりだ。


素直に理玖くんの気持ちを聞くのは恥ずかしくてそれをはぐらかすように私はアルコールで喉を潤した。
ほんのり酔いが回りつつあるためか、少しだけ気持ちが大きくなっていく気がする。


「だから俺にとっての1番は陽葵ちゃんしかいないの。わがままも言って欲しいし、甘やかしたいし全部まとめて可愛いって思えたのは陽葵ちゃんだけだったから。陽葵ちゃんと別れた後、彼女を作らなかったのはそれが理由」

「⋯⋯私のこと、好きすぎじゃん」

「そうだよ。俺、陽葵ちゃんのこと大好きだから。やっと伝わった?」


甘く微笑む理玖くんの全身から私のことが好きだと伝わってくる。
その視線はむず痒く感じるものの、すごく幸せで付き合っていた頃の甘い時間を思い出した。


(理玖くんの話を聞いた後だと、ますます理玖くんへの気持ちが溢れる)


「俺からも質問いい?」

「うんどうぞ」

「俺を振った本当の理由は?」


そういえば理玖くんに私が彼を振った本当の理由は話していなかった。
理由もなく別れを告げられたのだから、それが知りたいと思うのは当然だろう。


だけどそんな立派な理由なんかじゃなくて、完全に私の気持ちの問題だ。
それを伝えるのはどこか恥ずかしいが、理玖くんがこんなにもハッキリ伝えてくれるのだから、私も応えないとフェアじゃない。


「理玖くんが大人になっていくのが寂しくて、置いてかれるみたいな気がして、それが怖くて理玖くんから言われる前に自分から言って傷つかないように逃げたの」

「⋯⋯そっか」

「社会人になった理玖くんの周りには私なんかよりずっと綺麗で素敵な女性がいるだろうし、私は当時まだ学生で、理玖くんの隣にいることが苦しくて怖くて自信がなくなった。理玖くんのことが大好きだったから振られたら立ち直れないと思って、そうなる前に自分から振ったの」
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