【R18/TL】ハイスペックな元彼は私を捉えて離さない

春野カノン

文字の大きさ
113 / 136

私を捉えて離さない(2)

しおりを挟む
私たちはハンバーグ屋さんを出てまた手を繋いで次の目的地である複合施設へと向かう。
ブランドからリーズナブルなショップまで揃うためいろいろなものを見れそうだ。


まず私たちは服屋さんに向かった。
お店のチョイスも理玖くんがしてくれて私の好きそうな服がたくさんあるお店だ。


中に入ると理玖くんはわくわくしながらいろんな服を私の身体に合わせてくれる。
次々と当てられ、どれが似合うか吟味しているようだ。


「陽葵ちゃんワンピースとかも似合うと思うんだよね」

「そうかな?」

「うん。これから寒くなるし長袖のワンピースとかどうだろ。これとか!」


私の身体に当てられたワンピースは黒いニットワンピでタイトめに作られていた。
露出はほとんどない長めなスカートのため肌が見えることはなさそうだ。


「ん~でもやっぱこっちかな」


次に理玖くんが持ってきたのは腰の部分にベルトがついており、スカート部分だけ切り返してあり生地感も上半身と違うものが使われているワンピースだ。
普段から着ることができそうな服のため、鏡を見る自分の表情が自然と明るくなった。


それに気づいた理玖くんがニコリと満足そうに微笑む。
まるで私の気持ちを全て知ったような笑顔だった。


「これ可愛いよね。陽葵ちゃんに1番似合ってると思う」

「うん、これ可愛い」

「この服着て陽葵ちゃんとデートするのを想像するだけでニヤニヤできるもん。これ買おう」

「うん!ありがとう!」


理玖くんは選んでくれたワンピースをそのままレジへと運んでくれてスマートに支払いまで済ませてくれた。
あっという間の出来事で私は理玖くんのその横顔を見つめることしかできない。


私の服を買ってくれているというのに彼の横顔はとてもニコニコしていて幸せそうだ。
そんな笑顔を見ていると私まで幸せな気持ちになり、心がじんわり温かくなる。


「陽葵ちゃんにすごい似合うワンピース見つけられたね」

「プレゼントしてくれてありがとう理玖くん。すごく嬉しい」

「俺は陽葵ちゃんに喜んでもらえるのが1番嬉しいから、ありがとうってそうやって笑ってくれるのが俺の幸せだよ」

「理玖くんからいっぱい幸せもらって、私こんなに幸せ者でいいのかな」

「⋯⋯陽葵ちゃん。ちょっとこっちおいで」


理玖くんは私のぎゅっと握るとそのまま無言でスタスタと歩き出す。
突然の行動に意味を理解できず、私はそのまま彼の後について行った。


すると理玖くんはあるジュエリーショップの前で立ち止まる。
誰もが知る有名なブランドで、婚約指輪や結婚指輪が入口に飾ってあった。


「理玖くんどうしたの?」

「陽葵ちゃんはさっき、こんなに幸せ者でいいのかなって言ってくれたけど、それは俺のセリフなんだよ。俺の元に戻ってきてくれて俺に可愛い笑顔向けてくれて、俺の方こそこんなに幸せでいいのかなってずっと思ってた」

「理玖くん⋯⋯」

「でもさ、俺たちの人生はまだまだこれからでしょ?俺はこの先もずっと陽葵ちゃんと一緒にいるつもりだし、今よりももっと陽葵ちゃんを幸せにするつもりだよ」


指輪たちを真っ直ぐ見つめながら呟く理玖くんの横顔はとても綺麗でかっこいい。
私の彼氏は顔だけでなく性格まで最高にかっこいい人だ。


「陽葵ちゃん。いずれ一緒に結婚指輪、見つけに来ようね」

「えっ⋯⋯」

「俺、陽葵ちゃんと最期の時まで共に歩みたいと思ってるから。今言うつもりなんてなかったんだけど、陽葵ちゃんがすごく嬉しいこと言ってくれるから、つい零れちゃった」

「理玖くんってほんとかっこいいよね」

「え、そう?陽葵ちゃんにかっこいいって言われるのは嬉しいな~」


私の手を握る力がぎゅっと強まる。
その指先から理玖くんの想いが伝わってくるようで、じわじわと涙が滲みそうになった。


「プロポーズはまたちゃんとさせて。俺しっかりやりたいから。陽葵ちゃんのこと喜ばせたいし」

「ふふっ、うん。待ってる」


理玖くんの言葉はなんとなく未来を約束してくれたようで私の心臓はバクバクと暴れていた。
だけどそれは幸せな感情で、理玖くんも私と同じように思ってくれているのがその言葉から伝わってくる。


(私もずっと一緒にいたい⋯理玖くんの隣で、特別な立場で⋯⋯)


「ねぇ理玖くん」

「なーに?どうしたの?」

「私を絶対に理玖くんのお嫁さんにしてね?」

「なっ⋯⋯!」

「待ってるからね」

「ちょ、陽葵ちゃん?!爆弾発言なんだけど!可愛すぎる、何それ!わー、ちょっとここ外なのに、抱き締めたい!」

「外だからだめだよ~」

「言い逃げはずるいんだけど!もーほんと陽葵ちゃんは俺を喜ばせる天才だよね」


私は元彼である理玖くんに再会して運命が変わった。
理玖くんは私の心を捉えてどこまでも甘やかしてずぶずぶに蕩けさせてくれる。


そんな砂糖のように甘く逃れられない溺愛の海にいつの間にか私は捕らわれていたようだ。
だけど彼と一緒にいれば絶対未来は幸せだと断言できる。


それくらい理玖くんは私にたくさんの愛情を注いでくれた。
ハイスペックな元彼は私を捉えて離さない。


私の幸せは理玖くんと共に続いていく───。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。

海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。 ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。 「案外、本当に君以外いないかも」 「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」 「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」 そのドクターの甘さは手加減を知らない。 【登場人物】 末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。   恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる? 田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い? 【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

恋に異例はつきもので ~会社一の鬼部長は初心でキュートな部下を溺愛したい~

泉南佳那
恋愛
「よっしゃー」が口癖の 元気いっぱい営業部員、辻本花梨27歳  ×  敏腕だけど冷徹と噂されている 俺様部長 木沢彰吾34歳  ある朝、花梨が出社すると  異動の辞令が張り出されていた。  異動先は木沢部長率いる 〝ブランディング戦略部〟    なんでこんな時期に……  あまりの〝異例〟の辞令に  戸惑いを隠せない花梨。  しかも、担当するように言われた会社はなんと、元カレが社長を務める玩具会社だった!  花梨の前途多難な日々が、今始まる…… *** 元気いっぱい、はりきりガール花梨と ツンデレ部長木沢の年の差超パワフル・ラブ・ストーリーです。

包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~

吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。 結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。 何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。

甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・

希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!? 『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』 小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。 ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。 しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。 彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!? 過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。 *導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。 <表紙イラスト> 男女:わかめサロンパス様 背景:アート宇都宮様

処理中です...