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本編
現実から目を背けても太陽は昇る
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貧乏貴族の息子である俺にその家との関りがあるわけない。ましてや、手紙を送られる理由もない。
俺は冷や汗をかきながら手紙を恐る恐る開けた。そこにはこう書かれていた。
『我、ノアール・スベリアはシノ・アイゼンベルクに婚約を申し込む。もし、拒否するのであればスベリア家を敵に回すと思え。』
俺が咳き込んでいる音は夜の闇に消えた。
次の日。魔研は重苦しい空気に包まれていた。理由はただ一つ。この魔法学研究所の所長であるシノ・アイゼンベルクが息を吸うようにため息を吐くからである。いつもは集中力が高く仕事中や熱中することが他の音が聞こえなくなる。しかし今はどうだろう?資料を見ても上の空。研究は失敗続き。あろうことか、フードを深くかぶり書類を顔にのせて空を仰いでいた。何やらうめき声をあげている。負のオーラをまとっている彼はまるで死神のようである。そんな彼を他の魔研のメンバーも心配そうに見ている。そんなシノにしびれを切らしたミカは声をかけた。
「あの、所長!どうかされましたか。今日体調悪いんですか?」
「、、、あぁ。。少し考えことをしてて寝不足なだけだから大丈夫。」
朝鏡を見たときそれはそれはひどい顔をしていた。隈がひどく、顔も真っ青。食欲もわかなかったため昨日の夜から何も食べてない。それにあれから寝ることができなかった。皆に心配をかけているのはわかっているが、今はそれどころではなかった。
ミカは心配そんな顔を向けてくる。他の人も聞き耳立てている。
「考え事ですか?僕でよければ相談に乗りますよ!」
いつもだったら「ありがとう」の一言で済ますはずだ。しかし、弱っている俺は可愛らしい後輩の言葉に甘えたくなった。彼だけに聞こえる声で昨日あったことを話すことにした。
「、、、実は昨日家に帰ったらこんなものが届いていてな。。。」
昨日届いた手紙をそっとミカに渡す。ミカは何だこれ?という顔をして手紙を開けた。
「うえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
ミカの驚いた声が魔研に響いたのであった。それからは仕事どころではなかった。
何が起こったかというとミカの声をきいたヨアン先輩があの手紙を奪い見た。手紙を見ているヨアン先輩の後ろで他のメンバーも見ている。そうだ、俺は公開処刑された。
魔研のメンバーにバレた。手紙を奪うこともできた。しかし、そうしなかったのは自分ではキャパオーバーだと感じたからだ。誰でもいいから話を聞いてほしかった。それに、時期に公になることだと思ったからだ。
魔研の外には乱雑に書かれた『取り込み中!入るべからず』と書かれた紙がドアに張られている。誰も入れないように鍵もかけた。
「それで、スベリア家からこういう手紙をもらう心当たりはあるの、シノ君?」
放心状態のミカを膝に乗せたヨアン先輩がそう尋ねてくる。
「ありません!俺、彼と話したこともないんですよ!!そんなのに急にこんなこと、、、」
「でもねー、これ間違いなくスベリア家のものだし。まあ、婚約お・め・で・と・う」
ヨアン先輩は何やら楽しそうである。新しい玩具を見つけた子供のようである。
「っっっ、まだ婚約を受理した覚えはありませぇん!!」
「ここに『拒否するのであればスベリア家を敵に回すと思え』と書いてあるよ。」
「、、、婚約するしかないですよ、ね。俺みたいな貧乏貴族に利用価値なんてないのに。。。しかも婚約するだけで結婚するとは限らない!婚約しても白い結婚になるに違いありません」
俺は自分にそう言い聞かせるように言い放った。
「でも、まさかあの噂の相手がこんな近くにいるとわねー」、「所長すごいです!」、「でもシノ君男だよね、、」
他の魔研のメンバーも口々に話している。そんな俺たちは外から近づいてくる音に気がつかなかった。
トンットンッ
魔法学研究所のドアが数回ノックされる音が聞こえた。しかし、今は『取り込み中』である。
「すいませーん。紙に書かれている通り今取り込み中なんでお引き取りくださーい。」誰かがそういった。
しかしノックは鳴り止まない。お客人はしつこい奴のようだ。俺は苛立ちながらドアを開けながら怒鳴った。
「取り込み中って言ってんだろうが!!お前に目ぇ、ないんです、、、、、、か」
「、、、、、すまないね。今しか時間を作ることができなくってね。」
俺は冷や汗をかきながら手紙を恐る恐る開けた。そこにはこう書かれていた。
『我、ノアール・スベリアはシノ・アイゼンベルクに婚約を申し込む。もし、拒否するのであればスベリア家を敵に回すと思え。』
俺が咳き込んでいる音は夜の闇に消えた。
次の日。魔研は重苦しい空気に包まれていた。理由はただ一つ。この魔法学研究所の所長であるシノ・アイゼンベルクが息を吸うようにため息を吐くからである。いつもは集中力が高く仕事中や熱中することが他の音が聞こえなくなる。しかし今はどうだろう?資料を見ても上の空。研究は失敗続き。あろうことか、フードを深くかぶり書類を顔にのせて空を仰いでいた。何やらうめき声をあげている。負のオーラをまとっている彼はまるで死神のようである。そんな彼を他の魔研のメンバーも心配そうに見ている。そんなシノにしびれを切らしたミカは声をかけた。
「あの、所長!どうかされましたか。今日体調悪いんですか?」
「、、、あぁ。。少し考えことをしてて寝不足なだけだから大丈夫。」
朝鏡を見たときそれはそれはひどい顔をしていた。隈がひどく、顔も真っ青。食欲もわかなかったため昨日の夜から何も食べてない。それにあれから寝ることができなかった。皆に心配をかけているのはわかっているが、今はそれどころではなかった。
ミカは心配そんな顔を向けてくる。他の人も聞き耳立てている。
「考え事ですか?僕でよければ相談に乗りますよ!」
いつもだったら「ありがとう」の一言で済ますはずだ。しかし、弱っている俺は可愛らしい後輩の言葉に甘えたくなった。彼だけに聞こえる声で昨日あったことを話すことにした。
「、、、実は昨日家に帰ったらこんなものが届いていてな。。。」
昨日届いた手紙をそっとミカに渡す。ミカは何だこれ?という顔をして手紙を開けた。
「うえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
ミカの驚いた声が魔研に響いたのであった。それからは仕事どころではなかった。
何が起こったかというとミカの声をきいたヨアン先輩があの手紙を奪い見た。手紙を見ているヨアン先輩の後ろで他のメンバーも見ている。そうだ、俺は公開処刑された。
魔研のメンバーにバレた。手紙を奪うこともできた。しかし、そうしなかったのは自分ではキャパオーバーだと感じたからだ。誰でもいいから話を聞いてほしかった。それに、時期に公になることだと思ったからだ。
魔研の外には乱雑に書かれた『取り込み中!入るべからず』と書かれた紙がドアに張られている。誰も入れないように鍵もかけた。
「それで、スベリア家からこういう手紙をもらう心当たりはあるの、シノ君?」
放心状態のミカを膝に乗せたヨアン先輩がそう尋ねてくる。
「ありません!俺、彼と話したこともないんですよ!!そんなのに急にこんなこと、、、」
「でもねー、これ間違いなくスベリア家のものだし。まあ、婚約お・め・で・と・う」
ヨアン先輩は何やら楽しそうである。新しい玩具を見つけた子供のようである。
「っっっ、まだ婚約を受理した覚えはありませぇん!!」
「ここに『拒否するのであればスベリア家を敵に回すと思え』と書いてあるよ。」
「、、、婚約するしかないですよ、ね。俺みたいな貧乏貴族に利用価値なんてないのに。。。しかも婚約するだけで結婚するとは限らない!婚約しても白い結婚になるに違いありません」
俺は自分にそう言い聞かせるように言い放った。
「でも、まさかあの噂の相手がこんな近くにいるとわねー」、「所長すごいです!」、「でもシノ君男だよね、、」
他の魔研のメンバーも口々に話している。そんな俺たちは外から近づいてくる音に気がつかなかった。
トンットンッ
魔法学研究所のドアが数回ノックされる音が聞こえた。しかし、今は『取り込み中』である。
「すいませーん。紙に書かれている通り今取り込み中なんでお引き取りくださーい。」誰かがそういった。
しかしノックは鳴り止まない。お客人はしつこい奴のようだ。俺は苛立ちながらドアを開けながら怒鳴った。
「取り込み中って言ってんだろうが!!お前に目ぇ、ないんです、、、、、、か」
「、、、、、すまないね。今しか時間を作ることができなくってね。」
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