Family 〜愛の歌〜

帆希和華

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ごめんね

半分のミルク

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 5月4日早朝まで、生まれた仔犬たち、アネラのことが気になり、眠れなかった。
 とくに、生まれたときへその緒が千切れ病院へ連れて行ったアロハと名付けた子が、気がかりじゃなかった。
 なぜなら、真夜中に仮眠をして起きた時、ソファーから降りようと足元を見ました。すると、アロハが他の子たちのいるシーツの上から離れ、フローリングに転げていました。別のときも転げているというか、何度かアネラのそばを離れているときもあったので、この子はちょっとどんくさい子なのかなと思っていました。
 すぐにアネラのところに戻してやり、ホッと一安心。でも、なんだか元気がないようにも感じました。おっぱいも吸っていたはずだし、きっと眠いだけだろう。そのときは、そんな軽い気持ちでした。
 そこから早朝まで子犬の鳴き声、世話をする音に耳を傾けたり、アネラに水や、栄養補給のためにミルクをあげたりしていました。
 そして、5:00amアロハが再びアネラや兄妹犬から離れていました。ちゃんとおっぱいを吸えているのかな? そういえば、あと2匹は食いつくようにおっぱいを吸っていたのに、アロハはそんな勢いがなかった気がすると思い返しました。
 体も少し冷えているし、きっとお腹が空いているはずだと思い、人口哺乳をすることにしました。もしものことがあっても嫌だし、ちゃんとやれることはやらなくちゃいけないよね? そう心に問いかけました。
 ですが、なかなかうまく飲めず、小指の先に少量つけてやり、ゆっくりと飲ませました。ときより指に吸い付いてきたので安堵していました。それでも飲んだ量は規定の量の半分くらいです。
 少ないけど飲めたんだから、もう大丈夫だね! よかった。これで心配はいらないと、アネラのところに返して、眠りにつきました。
 それから、8:00am頃に目が覚めました。子犬たちの様子が気になりソファーの下をチラッと見たら、アロハがアネラと兄妹犬よりも離れた場所にいました。またかと思い持ち上げた瞬間、自分の手に伝わる感覚が信じられませんでした。
 すでに呼吸はなく、冷たくなっていました。
 何度もトントンと叩いたり、背中をさすりました。でも、息を吹き返すことはありませんでした。
 本当に後悔しかありません。もっともっと早く気づいてあげていたら、自分が温めてあげていたら、ミルクをもっと早くからあげていたら……
 早朝のミルクのあげ方が悪かったのかな? 喉に詰まっていたのかな? 余計なことをしなければこんなことにならなかったんじゃないのかな? 自分のせいで、自分の安易な行動のせいで、アロハは死んじゃったのかもしれない。
 アロハを手で優しく持ち上げて、透明なビニール袋の中にそっと入れました。あとでモアニを埋めたところに一緒に入れてあげるために。
 涙が止まらずにボロボロと流れてきました。後悔しても後悔しても仕切れない。
 病院で止血したとき、はじめに使った止血剤では効果がなく、きつめの止血剤を使うことになりました。
 この薬は火傷の痕みたいになるけど、そんなこと言ってられないから使いますと言われて、すいませんとやってもらいました。
 血が止まるまで、気づけば1時間以上かかっていました。その間ずっとア~ア~と大きな声で鳴いていました。傷が痛かったのか、怖かったのか、あんな小さい体で力一杯生きる主張をしていました。
 
 
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