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side正義(父)
数日後。
しおりを挟む市井くんが私の秘書業務を始めて数日後の昼休憩、市井くんに誘われてランチに出た。
「唐所長、昇進祝いありがとうございました。」
「あ、届いたんだね。
昇進おめでとう。
これからもよろしくね。」
「あの・・・ちょっと質問ですが・・・
何で相撲のヌイグルミだったんですか?」
「あれ?弟くんが欲しがってるのって相撲部屋の親方と女将さんのヌイグルミじゃなかったっけ?」
「・・・ありがとうございます。
弟がもの凄く喜んで玄関に飾りました・・・」
市井くんは、たまに遠い目をするよね。
弟くん喜んでくれたんだね、良かった。
「ところで、亮太くんの告白、どうなりましたか?」
今、丁度ソレを市井くんに相談しようと思っていたところなんだ。
「ソレなんだよ。
Otome gameの資料を読んだらね、Otome gameの男性陣は、主人公の女性に会っては 身分(王族)と高級志向をひけらかしているように見えるんだ。
・・・コレは正解なんだろうか。」
主人公のピンチ(?)に馬に乗って助けに来てたんだ。
乗馬はできるが馬は持ってない。
移動手段として車があるのに、馬は要らないだろうと考えていたが・・・
・・・熊の次は馬か。
「メンズは超セレブのエリート(生徒会)設定ですもんね。
そうだな、考え方によっては、演出の一つですよ。
受け取る側は “ 君のためにこれだけ準備したよ。” を知る事で感動が増えますから。
“自分の為に、ハイランクの相手がどれだけ心や資産を割いてくれたか。”は女性のステータスになるようですよ。」
「成る程。」
「あっ!亮太くん高校生ですもんね!
ゲームは誇張して作られてますから!
散財しろとか、相手に貢げとか、着飾れとか、動物(ペルシャ猫)を飼えとか、そんな必要は無いんだとしっかり教えてあげて下さい!
つまり、“ 告白 ”には、相手に自分の気持ちを “ 物理的に見せる演出 ” が必要だと考えるのが正解ですよ!
動物(ペルシャ猫) じゃ無いですよ!」
「そうか、ありがとう。
動物(馬)を買うのはやめるよ。
亮太に伝えるね。
情報提供ありがとう。」
話が終わり、ランチも済んだので退店する流れになった。
さ、昼からも研究を頑張るか。
だが、ラボへ帰る道で市井くんがチラチラこちらを見る。
何か気になることでも?と市井くんに視線を向ける。
「唐所長・・・ちょっとした興味なんですが、質問いいですか?」
「うん。どうしたの?」
「もし唐所長が告白するってなったら、熊、持って来ますか?」
・・・そんなに期待した目で見つめられて申し訳ないけれども、私の告白プランはそんなに変わってない。
そもそも市井くんに聞いたのは “ 告白の時の熊(本物)の扱い ” であって、それが必要ないのならもう問題は無い。
「あぁ私なら、正装してホテルのレストランでディナー中にでもするかな、と考えてたんだ。
熊が縁起物ならインテリアにでもしようと思って。」
と言うか、鶴と亀と熊の置物は市井くんに相談する前、ホテルを手配した時点でそこに届くよう頼んじゃったし。
縁起物はあっても困らないし、ちゃんと“ハネムーン仕様に”って注文もしたから、ホテルのスタッフがどうにかしといてくれるだろう。
「・・・唐所長の考察がプロポーズの正解に近いところに着地してるのが悔しいです。」
あ、やっぱりこれで良かったんだね。
あれ?悔しいの?
「・・・なんで?」
「熊連れて墓前で告白とか言うの期待してたのに・・・」
流石、市井くん。
私は仏壇を思い浮かべたから、概ね正解だよ!
言わないけど。
※唐父は、市井兄に昇進祝いを送っています。
ただ送るときにはもう、『弟くんはウエルカムベアが欲しい。』を忘れていました。
そして運良く『女将さんのヌイグルミ』だけを思いだした唐父。
そこから『2体1セットのヌイグルミだった気がする。』、に辿り着き、相撲部屋の親方(回し)と女将さん(着物)のヌイグルミ(セミオーダーの高級品)が市井家に届く災難発生。
クオリティの高さにドン引きの兄とは対照的に、市井弟が超気に入って家の玄関ホールに飾る二次災害に。
※市井兄が知っている『金持ち学園系の乙女ゲーム』では、王子様キャラ(生徒会副会長)がペルシャ猫を飼っていました。
それで市井兄は『唐所長、息子の為に猫飼うとか言い出しそう!!』と先回り否定のつもりで言ってます。
応援ありがとうございます!
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