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あの夜から、なんだか心の中に、ふわふわした何かが残っていた。
セシル様――あの人の名前を思い出すたびに、胸の奥があったかくなる。
舞踏会の喧騒の中、あの人の視線だけは、私をちゃんと見てくれていた。
まるで、私の孤独に気づいてくれたみたいに。
……そんなこと、あるわけないって、わかってるのに。
「ふふ……バカみたい、わたし」
誰もいない自室で、ひとりつぶやく。
でも、その笑みは、どこかうれしそうで。
こんな気持ち、久しぶりだった。
***
けれど――現実は、甘くなかった。
「なあ、アンナ。おまえ、あの夜セシルに媚びを売ってただろ?」
カーター様の怒りの声が、広間に響いた。
「そ、そんな……! してませんっ」
「うるさい! あいつが高位貴族だからって、色目使ってんじゃねえよ!」
私の髪を掴んで、カーター様はぐいっと引っ張った。
思わず悲鳴をあげそうになったけど、口をぎゅっと閉じてこらえる。
「おまえみたいな安っぽい女が、相手にされるわけねえだろうが!」
怒鳴るたびに、顔が近づく。
その息が熱くて、重たくて、ひどく怖かった。
「……っ、わたし……なにも……してないのに……!」
「黙れ!!」
その一言で、心がぷつんと切れた気がした。
怖い。怖い。
でも、それ以上に――悔しかった。
どうして……どうして、いつも私ばかり。
「わたしは……ただ……」
声が震えて、うまく言葉にならなかった。
でも、どうしても伝えたかった。
「わたしだって……ちゃんと人間なのに……!」
カーター様は、一瞬だけ驚いた顔をした。
でもすぐに、ふんっと鼻を鳴らして背を向ける。
「くだらねえ。やっぱり、おまえじゃダメだな」
その声は、まるで何かを捨てるみたいだった。
「……今日で終わりだ。俺たちの婚約、破棄してやるよ」
え……。
耳を疑った。
「……それって……ほんとに……?」
「おう。おまえみたいな出来損ない、もういらねえ」
カーター様はそう言って、にやりと笑った。
「俺にはもっといい女がいる。おまえより、ずっと美人で、おとなしくて、従順な娘がな」
がしゃん、と何かが心の中で崩れる音がした。
それが、悲しみだったのか、安堵だったのか、正直よくわからなかった。
「……わかりました」
私は、静かに頭を下げた。
「婚約破棄、受け入れます」
そのとき、カーター様の表情が、ほんの少しだけ歪んだ気がした。
まさか、私があっさり承諾すると思ってなかったのかもしれない。
でも、もうどうでもよかった。
涙も出なかった。
***
その夜、ルイーゼが部屋に飛び込んできた。
「お嬢様っ、大丈夫ですかっ!? 婚約破棄って……本当ですか!?」
「……うん。本当だよ」
私はベッドの上で、ぼんやりと天井を見上げていた。
胸の奥が、すうっと冷たくて。
「でも……変だね。泣けないの。すっごく、すっごく、つらいはずなのに……」
「お嬢様……」
ルイーゼは私のそばにひざまずいて、そっと手を握ってくれた。
「でもね、ルイーゼ。少しだけ、楽にもなったの」
「え……?」
「これでもう、カーター様に怒鳴られなくてすむ。みんなの前で叱られたり、責められたりしなくてすむんだよ」
自分でも信じられないくらい、冷静な声だった。
だけど、胸の奥には、ぽつんと小さな灯がともっていた。
それは――希望という名前の灯だった。
***
数日後、噂は瞬く間に広がっていった。
「ルーベンス家の娘が、カーター様に捨てられたらしいわよ」
「まあ……婚約破棄だなんて、よほどのことがあったのかしら」
「きっと性格に問題があったんじゃない?」
冷たい視線と、ひそひそ声。
でも私は、ただ黙って微笑んだ。
だって、その言葉はもう、私を縛る鎖じゃなかったから。
そしてそのとき――
「アンナ嬢、少しよろしいですか?」
懐かしくて、あたたかな声が、私の背中から聞こえた。
振り向くと、そこにいたのは――セシル様だった。
変わらぬ優しい瞳。
でも、その瞳の奥には、強い意志の光が宿っていた。
「少しだけ、お話ししたいのです。どうか、私の時間をいただけませんか」
私は、思わずぽかんとしてしまった。
まさか、あのセシル様が、私に……?
「……はい」
声が震えていた。
でも、私の心は少しずつ、あたたかさに満たされていった。
***
あの日、セシル様が声をかけてくださったとき、わたしの心はふしぎと穏やかだった。
胸がどきどきしていたけれど、それは恐れや不安じゃなくて……ううん、たぶん、期待だったのかもしれない。
「こちらに……どうぞ」
セシル様が案内してくださったのは、城の中庭の隅っこにある、静かな小さなベンチ。
色とりどりの花が咲いていて、小鳥のさえずりが耳に心地よい。まるで、童話の世界みたいな場所だった。
「アンナ嬢……あの夜、あなたがつらそうにしていたのを、ずっと気にしていました」
セシル様のまっすぐな声に、思わず顔を伏せてしまう。
「そんな……あれは、わたしが未熟だっただけです……」
「いいえ」
セシル様は、優しく、でもしっかりと言葉をつむいだ。
「あなたは、なにも悪くありません。理不尽な扱いを受けていた。それが、事実です」
その言葉が、心の奥にしみこんでいくのを感じた。
「……でも、もう終わったことですから。わたしのことなんて、どうかお気になさらず……」
「気にします」
え?
「だって、私は……ずっと、あなたを見ていましたから」
どきん、と心臓が跳ねた。
「……ずっと?」
「ええ。あなたがカーター殿と婚約されたと聞いたとき、本当は……心が痛みました」
セシル様の声が、ほんの少しだけ震えた。
その表情に、思わず目を見開いてしまう。
「でも私は、あなたの幸せを願っていました。たとえ、それが私ではなかったとしても……」
「セシル様……」
涙が、頬をつうっと伝った。
自分でも気づかないうちに、溢れていた。
「わたし……わたしなんか……誰にも必要とされてないって、思ってました……」
「そんなこと、絶対にありません」
セシル様が、そっとわたしの手を握った。
その手はあたたかくて、大きくて……ふるえるわたしの指を、やさしく包みこんでくれた。
「アンナ嬢。もしよければ……もう一度、信じてみませんか? 自分自身を。そして……人を」
わたしは、彼の瞳をじっと見つめた。
まっすぐで、濁りのない、やさしい光。
その瞳に映る自分が、少しだけ……ほんの少しだけ、誇らしく見えた。
「……はい」
小さくうなずいたその瞬間、心の中に小さな灯がまた一つ、ともった気がした。
***
その後、セシル様は何度もわたしのもとを訪れてくださった。
お茶を飲みながらお話ししたり、街の小さな花屋さんに連れて行ってくれたり。
ある日、セシル様がくれた小さな花束には、ピンクのチューリップが混ざっていた。
「この花の花言葉、ご存じですか?」
「えっと……たしか、“愛の芽ばえ”……でしたっけ?」
「正解です。まさに、今の私たちにぴったりだと思って」
そう言って笑うセシル様に、わたしは顔が真っ赤になるのを止められなかった。
「も、もう……そういうの、ずるいですっ……!」
「ふふ、失礼」
そのとき、ふと思ったの。
――ああ、わたし、笑えてる。
カーター様といた頃は、笑うことなんてなかったのに。
今はこうして、笑っていられる。セシル様のそばで。
「……ねえ、セシル様」
「はい?」
「もし……もしも、また誰かに傷つけられたり、つらい思いをしたりしたら、そのときは、そばにいてくれますか?」
セシル様は、すぐに答えてくれた。
「もちろんです。あなたを守ると、誓います」
その言葉が、とても、とても嬉しくて。
胸が、きゅっと締めつけられるように、あたたかかった。
そう、これはきっと――
わたしの新しい人生のはじまり。
そして、誰かを信じるという、小さな奇跡のはじまり。
***
だけど――
そんな幸せな日々が続くと思っていた矢先。
わたしの前に、またしても“あの人”が現れた。
「……久しぶりだな、アンナ」
あの嫌な声。
振り向くと、そこには、以前とまったく変わらない傲慢な顔の――カーター様が立っていた。
「会いたかったぜ。……やっぱり、おまえじゃないと、ダメなんだよ」
わたしの心に、再び嵐の気配が近づいていた。
セシル様――あの人の名前を思い出すたびに、胸の奥があったかくなる。
舞踏会の喧騒の中、あの人の視線だけは、私をちゃんと見てくれていた。
まるで、私の孤独に気づいてくれたみたいに。
……そんなこと、あるわけないって、わかってるのに。
「ふふ……バカみたい、わたし」
誰もいない自室で、ひとりつぶやく。
でも、その笑みは、どこかうれしそうで。
こんな気持ち、久しぶりだった。
***
けれど――現実は、甘くなかった。
「なあ、アンナ。おまえ、あの夜セシルに媚びを売ってただろ?」
カーター様の怒りの声が、広間に響いた。
「そ、そんな……! してませんっ」
「うるさい! あいつが高位貴族だからって、色目使ってんじゃねえよ!」
私の髪を掴んで、カーター様はぐいっと引っ張った。
思わず悲鳴をあげそうになったけど、口をぎゅっと閉じてこらえる。
「おまえみたいな安っぽい女が、相手にされるわけねえだろうが!」
怒鳴るたびに、顔が近づく。
その息が熱くて、重たくて、ひどく怖かった。
「……っ、わたし……なにも……してないのに……!」
「黙れ!!」
その一言で、心がぷつんと切れた気がした。
怖い。怖い。
でも、それ以上に――悔しかった。
どうして……どうして、いつも私ばかり。
「わたしは……ただ……」
声が震えて、うまく言葉にならなかった。
でも、どうしても伝えたかった。
「わたしだって……ちゃんと人間なのに……!」
カーター様は、一瞬だけ驚いた顔をした。
でもすぐに、ふんっと鼻を鳴らして背を向ける。
「くだらねえ。やっぱり、おまえじゃダメだな」
その声は、まるで何かを捨てるみたいだった。
「……今日で終わりだ。俺たちの婚約、破棄してやるよ」
え……。
耳を疑った。
「……それって……ほんとに……?」
「おう。おまえみたいな出来損ない、もういらねえ」
カーター様はそう言って、にやりと笑った。
「俺にはもっといい女がいる。おまえより、ずっと美人で、おとなしくて、従順な娘がな」
がしゃん、と何かが心の中で崩れる音がした。
それが、悲しみだったのか、安堵だったのか、正直よくわからなかった。
「……わかりました」
私は、静かに頭を下げた。
「婚約破棄、受け入れます」
そのとき、カーター様の表情が、ほんの少しだけ歪んだ気がした。
まさか、私があっさり承諾すると思ってなかったのかもしれない。
でも、もうどうでもよかった。
涙も出なかった。
***
その夜、ルイーゼが部屋に飛び込んできた。
「お嬢様っ、大丈夫ですかっ!? 婚約破棄って……本当ですか!?」
「……うん。本当だよ」
私はベッドの上で、ぼんやりと天井を見上げていた。
胸の奥が、すうっと冷たくて。
「でも……変だね。泣けないの。すっごく、すっごく、つらいはずなのに……」
「お嬢様……」
ルイーゼは私のそばにひざまずいて、そっと手を握ってくれた。
「でもね、ルイーゼ。少しだけ、楽にもなったの」
「え……?」
「これでもう、カーター様に怒鳴られなくてすむ。みんなの前で叱られたり、責められたりしなくてすむんだよ」
自分でも信じられないくらい、冷静な声だった。
だけど、胸の奥には、ぽつんと小さな灯がともっていた。
それは――希望という名前の灯だった。
***
数日後、噂は瞬く間に広がっていった。
「ルーベンス家の娘が、カーター様に捨てられたらしいわよ」
「まあ……婚約破棄だなんて、よほどのことがあったのかしら」
「きっと性格に問題があったんじゃない?」
冷たい視線と、ひそひそ声。
でも私は、ただ黙って微笑んだ。
だって、その言葉はもう、私を縛る鎖じゃなかったから。
そしてそのとき――
「アンナ嬢、少しよろしいですか?」
懐かしくて、あたたかな声が、私の背中から聞こえた。
振り向くと、そこにいたのは――セシル様だった。
変わらぬ優しい瞳。
でも、その瞳の奥には、強い意志の光が宿っていた。
「少しだけ、お話ししたいのです。どうか、私の時間をいただけませんか」
私は、思わずぽかんとしてしまった。
まさか、あのセシル様が、私に……?
「……はい」
声が震えていた。
でも、私の心は少しずつ、あたたかさに満たされていった。
***
あの日、セシル様が声をかけてくださったとき、わたしの心はふしぎと穏やかだった。
胸がどきどきしていたけれど、それは恐れや不安じゃなくて……ううん、たぶん、期待だったのかもしれない。
「こちらに……どうぞ」
セシル様が案内してくださったのは、城の中庭の隅っこにある、静かな小さなベンチ。
色とりどりの花が咲いていて、小鳥のさえずりが耳に心地よい。まるで、童話の世界みたいな場所だった。
「アンナ嬢……あの夜、あなたがつらそうにしていたのを、ずっと気にしていました」
セシル様のまっすぐな声に、思わず顔を伏せてしまう。
「そんな……あれは、わたしが未熟だっただけです……」
「いいえ」
セシル様は、優しく、でもしっかりと言葉をつむいだ。
「あなたは、なにも悪くありません。理不尽な扱いを受けていた。それが、事実です」
その言葉が、心の奥にしみこんでいくのを感じた。
「……でも、もう終わったことですから。わたしのことなんて、どうかお気になさらず……」
「気にします」
え?
「だって、私は……ずっと、あなたを見ていましたから」
どきん、と心臓が跳ねた。
「……ずっと?」
「ええ。あなたがカーター殿と婚約されたと聞いたとき、本当は……心が痛みました」
セシル様の声が、ほんの少しだけ震えた。
その表情に、思わず目を見開いてしまう。
「でも私は、あなたの幸せを願っていました。たとえ、それが私ではなかったとしても……」
「セシル様……」
涙が、頬をつうっと伝った。
自分でも気づかないうちに、溢れていた。
「わたし……わたしなんか……誰にも必要とされてないって、思ってました……」
「そんなこと、絶対にありません」
セシル様が、そっとわたしの手を握った。
その手はあたたかくて、大きくて……ふるえるわたしの指を、やさしく包みこんでくれた。
「アンナ嬢。もしよければ……もう一度、信じてみませんか? 自分自身を。そして……人を」
わたしは、彼の瞳をじっと見つめた。
まっすぐで、濁りのない、やさしい光。
その瞳に映る自分が、少しだけ……ほんの少しだけ、誇らしく見えた。
「……はい」
小さくうなずいたその瞬間、心の中に小さな灯がまた一つ、ともった気がした。
***
その後、セシル様は何度もわたしのもとを訪れてくださった。
お茶を飲みながらお話ししたり、街の小さな花屋さんに連れて行ってくれたり。
ある日、セシル様がくれた小さな花束には、ピンクのチューリップが混ざっていた。
「この花の花言葉、ご存じですか?」
「えっと……たしか、“愛の芽ばえ”……でしたっけ?」
「正解です。まさに、今の私たちにぴったりだと思って」
そう言って笑うセシル様に、わたしは顔が真っ赤になるのを止められなかった。
「も、もう……そういうの、ずるいですっ……!」
「ふふ、失礼」
そのとき、ふと思ったの。
――ああ、わたし、笑えてる。
カーター様といた頃は、笑うことなんてなかったのに。
今はこうして、笑っていられる。セシル様のそばで。
「……ねえ、セシル様」
「はい?」
「もし……もしも、また誰かに傷つけられたり、つらい思いをしたりしたら、そのときは、そばにいてくれますか?」
セシル様は、すぐに答えてくれた。
「もちろんです。あなたを守ると、誓います」
その言葉が、とても、とても嬉しくて。
胸が、きゅっと締めつけられるように、あたたかかった。
そう、これはきっと――
わたしの新しい人生のはじまり。
そして、誰かを信じるという、小さな奇跡のはじまり。
***
だけど――
そんな幸せな日々が続くと思っていた矢先。
わたしの前に、またしても“あの人”が現れた。
「……久しぶりだな、アンナ」
あの嫌な声。
振り向くと、そこには、以前とまったく変わらない傲慢な顔の――カーター様が立っていた。
「会いたかったぜ。……やっぱり、おまえじゃないと、ダメなんだよ」
わたしの心に、再び嵐の気配が近づいていた。
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