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7 残念令嬢、決心する。

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 「ねえ、アルフィー聞きたいんだけど」

 「うん?」

 「私がこんなに綺麗になれたのは、メイクや衣装の選び方一つだってことは分かったのだから、これから活かしていきたいとは思うのよ」

 「うん??」


 リリーが言いたい事がイマイチ分からないアルフィーは首を傾げる。


 「でも、今迄散々ほぼ素顔を晒してきたのに急に見た目が変わったら、ヤッパリ変だって思われるんじゃないかな・・・」


 自分が美しく変われるということが分かって、嬉しいという気持ちは確かにリリーにはあるのだ。

 けれど今迄散々『残念』だの『地味』だの悪口を言われてきた彼女は周りの女性の目が怖いのだろう。いや、既に性別は関係ないのかもしれない。

 そこに思い当たったアルフィー。


 「あ~、成る程なあ・・・ 却って注目を浴びそうで嫌だよなぁ」


 その言葉にコクリと頷くリリー。

 アルフィーが頭をガシガシ掻くと、そのまま流したロングヘアがふわふわ揺れる。


 「じゃあ、いっそ俺みたいに性別を変えてみるか?」

 「え?」

 「男装するんだよ」

 「えええ~、役者じゃあるまいし・・・」


 急な提案に驚くリリーだが


 「そうだよ役者になるのさ。違う人間になろうとするんだからね。寧ろそれなら誰もリリーに気が付かないからもっと自由に過ごせるんじゃないかな? 因みに俺はそうしたんだよ。自分が変わりたかったからね」

 「え? 変わりたかったから?」

 「ああ。女装した切っ掛けは今迄の自分から変わりたかったからだよ。これが意外にハマっちゃったんだけどさ。カフェのマスターだってその役をしてる役者みたいなもんだろ? 今迄の俺の事思い出してみなよ」


 確かにカフェを始める以前のアルフィーはどちらかというと大人しくて自己主張はあまりしない、口調の柔らかな協調性のある優等生だった。

 まさかの客商売、しかも女装なんて出来るとは思わなかったというのがリリーの正直な感想だ。
 しかも口調は以前と比べてもかなり男らしい。偶に女らしくなるが・・・


 「生まれ変わるつもりで全然別人になってさ、人の目に触れる事で自信が付いたんだよ。それと、あれ? 人って意外に他人を気にしないんだなって思った。繰り返すうちにね。まぁそのやり方が俺には合ってたってだけで、リリーに最適かどうかは分かんないけどな」


 ハハハ、と笑うアルフィーを眩しいと思ったのはリリーが切実に変わりたいと思っていたからかも知れない。

 それとも散々バカにされて来た自分がどこまで変われるかを知りたかったのか。


 「やるわ。アルフィー。私変わりたいの」


 兎に角公爵令嬢リリーは、その日生まれ変わる決意をしたのは間違い無い。





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