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36 排除対象30m圏内突入?
しおりを挟む落ち込む殿下の尻を
『落ち込んでんじゃねーよッ!』
と、蹴飛ばしたくなる自分を宥めつつ、
「クヨクヨしたって仕方ないでしょッ! 早く行くわよッ 正念場なんだからシャキっとしなさいってばッ!!」
と、叱咤激励しながら何とか馬車溜まりにやってきたフロイライン。
王家の馬車に彼を詰め込み、コンフォート公爵邸に向けて何とか出発した。
但し側近候補の令息と共にフロイラインが彼の家の馬車に乗り込もうとした時に一悶着あったが。
×××
「フラウ、何で俺と一緒の馬車じゃないんだ?」
と、伯爵家の馬車に彼女が乗るのを止めようとする王子様。
これには流石に令息の方が呆れ顔になり、
「殿下。コンフォート嬢に会いに行くんですよね?」
「そうだが?」
「殿下と恋人同士って周りから思われてる女性が王家の馬車に一緒に乗って来たらコンフォート嬢だって気分悪くなりますって」
「・・・フラウとはそういう関係じゃないぞ?」
「じゃあ尚更、殿下の馬車じゃ無くても良いのでは?」
「・・・・・・」
一瞬不服そうな表情をした王子を横目にサッと令息の開けてくれたドアを潜って馬車のソファに座り溜息をつくフロイラインは、
「ジャンピング土下座でも駄目かも・・・」
と思わず遠い目をして呟いた。
×××
コンフォート公爵邸に着いて驚いたフロイライン。
「でかッ! しかも重そう・・・」
黒塗りの金属製の門は自分の身長の4倍くらいの高さで、どうやって開けるんだ? と不思議に思い首を捻る。
2番手の馬車に乗っていた側近候補の侯爵子息が門番の側に走って行って事情を話しているようだが、簡易鎧を着込んだ門番が首を横に振っているのが見える。
どうやら急な訪問を快く思われなかったらしい。
暫くすったもんだしていると黒いお仕着せを着た浅葱色の髪色の女性がやってきて何やら門番に耳打ちをすると、閉じていた大きな門が自然に開き始めた。
「魔法で開いてる?」
「そうです。人が触れているようには見えないでしょう?」
「ええ」
側近候補の1人で魔法に精通しているらしい伯爵家の長男が続けて言った。
「王城もそうですけど、公爵クラスになるとほぼ確実に正門の開閉には魔道具を使っています。というか、門そのものが魔道具ですね」
「凄いわね。世界が違うわ」
カポカポと馬車が正門をくぐり抜けると、そこは森・・・?
「ねえ、何で森なのよ? 公爵邸は?」
「「危ないですってば!」」
思わず馬車の小さな窓から身を乗り出しそうになって2人に止められた。
「コンフォート家の敷地内は、元々あった自然をそのまま取り入れてるらしいです。王都もこのあたりは昔は森だったんでしょうね。ほらタウンハウスが見えてきましたよ」
言われて窓から出した顔を前方に向けると、白亜の城と言っても過言ではない3本の尖塔を備えた白い建物が見えてきた。
正面玄関に近付いて行く途中に整えられている広大なイングリッシュガーデンに花々が咲き乱れ、蜜を求めて蝶たちがヒラヒラと舞っている。
「はぁ~ ディ◯ニー◯ーみたい・・・ まるでお城じゃん」
どこかのテーマパークを思い出して呆気にとられ、思わず口がパカンッと開いてしまった。
×××
白塗りの小型馬車の中で1人考えるのはハロルド王子である。
「リアーヌに面会した後、早急に城に帰ってコックス男爵家の内情を調べなければ・・・ フラウは養女だという確証がないと言っていたが・・・」
貞操観念ユルユルのこの国であっても、成年未成年に関わらず強制猥褻行為は犯罪だ。
知った以上はなんとしてでも彼女を保護しなければ・・・
『隣国で就活するつもりだったので』
フロイラインの言葉が彼の脳内で何度も再生され、その度に心臓のあたりがギュッとするのに首を傾げたが・・・
「急いで戸籍を調べなければ・・・って? なんだッ?」
急に正面から見えない壁に押されたように、彼の身体が馬車の座席の背もたれに押しつけられ、息が止まった。
×××
一行の馬車は全部で3台。
先頭が王家の馬車で侯爵家と伯爵家の馬車が続く。
フロイラインは最後尾の馬車に乗り、窓から顔だけ出してコンフォート公爵家の敷地の広さに目を輝かせていたが、急に馬車内が眩しくなり慌てて振り返った。
「?!」
「おわわわっ!!」
「ぎゃッ! ハロルド殿下?! 何でッ?」
「うわッ! 殿下?! どうしたんです!」
「うおぉおおおおッ!?」
・・・何故か突然ハロルド王子が空中に現れて、伯爵子息の膝の上に落下し、向かい合わせで座り・・・・
『ブチュウゥ~~~~!!』
「「「ぎゃぁあああああッ!」」」
「うわあッ! 男×男の生チューは初めて見たーーーーーーッ!」
~~~~~~~~~~~
(「`・ω・)「 王子30メーター圏内突入!
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