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ナタリーの幼少期
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「ブロッサム公爵婦人、ご懐妊おめでとうございます」
次々とお祝いの言葉を述べられるのは、現当主である妻のブロッサム公爵婦人。
夫であるクロード大公と共に皇宮に出向いていた。
クロード大公は、ブロッサム公爵婦人
絶賛悪阻中の妻の身体を支えながら謁見の間に入ると
現在の君主、皇帝に呼ばれる。
「クロード大公並びにブロッサム公爵婦人
よくぞ参られた。
ああ、ブロッサム婦人はゆっくり椅子に座るといい」
悪阻中の身体を労るように、クロード大公はブロッサム婦人にゆっくり椅子に座らせる。
「大丈夫か?」
「ええ」
口元をハンカチで抑えながら、椅子に座るブロッサム。
ブロッサムが椅子に座るのを確認すると
「今日は、他でもない
クロード大公よ、ブロッサム婦人がご懐妊したと聞いてな」
イヤな予感がすると思ったクロードは、その予感が当たるのをこの目で確認することになる。
「私の息子、イーサンをそなたの娘と婚約者に連名する」
ピキッと青筋が立ちそうな気配が夫からするのを見過ごせないブロッサムは
「クロード...」と小さな声でクロードの手を握る。
ブロッサムから握る手を、安心しろとでも言うかのようにそっと握り返す。
「お待ちください皇帝
まだ私の妻の子が娘と決まったわけではないのですが」
その言葉を待っていたかのように皇帝は
心の中でほくそ笑む。
「忘れたわけではあるまい?
大公の義務と謁見に呼んだ意味を」
「!!」
その言葉を聞いた瞬間、クロードとブロッサムは
青ざめる。
大公の義務、それは聖女が産まれてくるまで
トルネード大国の皇太子と大公の娘が政略結婚をし
世継ぎの存続を続けること。
そして、皇宮の謁見の間である意味とは
それは、非公式ではなく皆に知らせる為認識させる為の公式の場であると言う意味を指す。
「クソが...」とクロードは青筋を立てている。
一番の武家である大公は代々皇族である皇帝を護ってきた。
ユナイデットトルネード大国に於いて、クロレッチ家とは一番の武家であり皇族の盾でもある。
遥か昔、ユナイデットトルネード大国になる前に
二人の若者がいた。
一人は国を護る剣として、もう一人は国を護る盾として二人はひとつだった。
聖女がいる国といない国では、魔物の数が違う。
その為、二人は協力して魔物からトルネード国を護ってきた英雄の名を貰い受け
一人は国民を導く皇帝となりその英雄の親友でもあり盾でもあるクロレッチ家は、大公の名を賜る。
その話は英雄伝として今でも物語として
広く民衆に伝わっている。
「その英雄二人から子が産まれ、どちらが娘であった場合もう一人の英雄の子と結婚すれば
ずっと安泰だ」
誰かの言葉が文献に記載されたおかげで
大公の義務となった。
次々とお祝いの言葉を述べられるのは、現当主である妻のブロッサム公爵婦人。
夫であるクロード大公と共に皇宮に出向いていた。
クロード大公は、ブロッサム公爵婦人
絶賛悪阻中の妻の身体を支えながら謁見の間に入ると
現在の君主、皇帝に呼ばれる。
「クロード大公並びにブロッサム公爵婦人
よくぞ参られた。
ああ、ブロッサム婦人はゆっくり椅子に座るといい」
悪阻中の身体を労るように、クロード大公はブロッサム婦人にゆっくり椅子に座らせる。
「大丈夫か?」
「ええ」
口元をハンカチで抑えながら、椅子に座るブロッサム。
ブロッサムが椅子に座るのを確認すると
「今日は、他でもない
クロード大公よ、ブロッサム婦人がご懐妊したと聞いてな」
イヤな予感がすると思ったクロードは、その予感が当たるのをこの目で確認することになる。
「私の息子、イーサンをそなたの娘と婚約者に連名する」
ピキッと青筋が立ちそうな気配が夫からするのを見過ごせないブロッサムは
「クロード...」と小さな声でクロードの手を握る。
ブロッサムから握る手を、安心しろとでも言うかのようにそっと握り返す。
「お待ちください皇帝
まだ私の妻の子が娘と決まったわけではないのですが」
その言葉を待っていたかのように皇帝は
心の中でほくそ笑む。
「忘れたわけではあるまい?
大公の義務と謁見に呼んだ意味を」
「!!」
その言葉を聞いた瞬間、クロードとブロッサムは
青ざめる。
大公の義務、それは聖女が産まれてくるまで
トルネード大国の皇太子と大公の娘が政略結婚をし
世継ぎの存続を続けること。
そして、皇宮の謁見の間である意味とは
それは、非公式ではなく皆に知らせる為認識させる為の公式の場であると言う意味を指す。
「クソが...」とクロードは青筋を立てている。
一番の武家である大公は代々皇族である皇帝を護ってきた。
ユナイデットトルネード大国に於いて、クロレッチ家とは一番の武家であり皇族の盾でもある。
遥か昔、ユナイデットトルネード大国になる前に
二人の若者がいた。
一人は国を護る剣として、もう一人は国を護る盾として二人はひとつだった。
聖女がいる国といない国では、魔物の数が違う。
その為、二人は協力して魔物からトルネード国を護ってきた英雄の名を貰い受け
一人は国民を導く皇帝となりその英雄の親友でもあり盾でもあるクロレッチ家は、大公の名を賜る。
その話は英雄伝として今でも物語として
広く民衆に伝わっている。
「その英雄二人から子が産まれ、どちらが娘であった場合もう一人の英雄の子と結婚すれば
ずっと安泰だ」
誰かの言葉が文献に記載されたおかげで
大公の義務となった。
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