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第七章 火竜討伐
#165 火炎
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十分な魔力で張られた結界は、火竜の攻撃を危なげなく跳ね返す。ガリガリと火竜の鋭い鉤爪で結界が削られる音を聞きながら、フェーリエは火竜に襲われ掛けた騎士に近づく。どうやら腰が向けて立てないようだった。
風を発生させ、騎士を前線から離す。先程から、ずっとこの作業を続けている。
クローが邪気を浄化し終えなければ、思い切って攻撃できない。かといって、火竜に騎士を殺させる訳にもいかない。
クローが浄化をしている間、他のヒトがすることは騎士のフォローだった。騎士に火竜を殺させないように、そして火竜に騎士を殺させないように。とは言え、ほんの少しの攻撃で腰を抜かす騎士ばかりで、到底火竜を倒せそうにない。この程度の実力で、良くもまぁあれほど威張れたものだ。
フェーリエは小さく嘆息する。これが終わったら、王命に逆らった事で何か咎があるかも知れない。捕まる前に、殴っても良いだろうか。いや、捕まる時点で家に迷惑が掛かる。それだけは、避けたい。
だが、ここで投げ出すことは、決して父も兄も許さないだろう。自分で決めた事は最後まで成し遂げろ。それが彼らの口癖だ。
クローのお陰で希望が見えているとは言え、絶対に成功するとは限らない。火竜に理性が戻っても、騎士を止めなければ意味が無い。だからこそ、騎士達に犠牲があってはならない。
(出来る出来ないじゃない……やるか、やらないか、ただそれだけよね)
フェーリエは心の中で自分を鼓舞する。ここにある命を取りこぼすことの無いよう、攻撃を見極めるのだ。
今のところ火竜は、爪や尾と言った、自分の身体での攻撃しか行ってこない。魔力を使われれば、魔法障壁程度では簡単に破られるだろう。この状況でも、火竜は抗っているのだと感じる。ヒトを傷つけないように、自制しているのだ。
(でも、これ以上のダメージを与えれば、それも保っていられない筈……)
ここで不自然に攻撃を辞めるのも、騎士達の疑心を買うだろう。何より、一番攻撃的な副団長が黙っていない。
騎士達の中で火竜に一番攻撃を与えているメディオは、今も一心不乱に攻撃を繰り返している。
火竜の防御が高くとも、連続で攻撃されればダメージは通る。火竜が魔力を使うのも時間の問題だった。
(お願いクロー!早く……早く……!)
心の中で祈る。自分が祈ったところで状況が改善される訳ではないが、祈らずには居られなかった。
「とっとと死ね!火竜よ!!」
罵声を吐いたメディオが、火竜の首に剣を振り下ろした。その攻撃箇所に、しまった、とフェーリエは頭を押さえた。
『アアアァァァァァアアアアアアア!!!!!??????』
脳に直接響く叫び声に、蹲る。初めよりも大音量のそれは、フェーリエの脳を震わせ思考を一時的に奪った。
フェーリエ以外のヒトは、流石に耳を押さえてはいるがフェーリエ程の衝撃は無い。アレを耳だけで拾えるなんて贅沢な奴らだ。フェーリエにとって、これは防御出来ない効果抜群の攻撃だった。
だからこそ、フェーリエはソレへの反応が遅れてしまった。再び咆哮を上げた火竜は、鋭い牙が生える口元に、魔力を集め始めた。その咆哮は、不思議と脳には響かなかったが、まだ収まっていなかったフェーリエはそれに気づけなかった。
火竜は魔力を炎に変え、前方に吐き出した。それは、動けないフェーリエが居る方向で。
次第に近くなっていく熱さに、目を開ける。目前に迫った火炎は、ゲームの様に赤と橙に揺らめいていた。魅入られた様に炎を見るフェーリエは、遠くから、酷く焦るユースの声を聞いた気がした。
風を発生させ、騎士を前線から離す。先程から、ずっとこの作業を続けている。
クローが邪気を浄化し終えなければ、思い切って攻撃できない。かといって、火竜に騎士を殺させる訳にもいかない。
クローが浄化をしている間、他のヒトがすることは騎士のフォローだった。騎士に火竜を殺させないように、そして火竜に騎士を殺させないように。とは言え、ほんの少しの攻撃で腰を抜かす騎士ばかりで、到底火竜を倒せそうにない。この程度の実力で、良くもまぁあれほど威張れたものだ。
フェーリエは小さく嘆息する。これが終わったら、王命に逆らった事で何か咎があるかも知れない。捕まる前に、殴っても良いだろうか。いや、捕まる時点で家に迷惑が掛かる。それだけは、避けたい。
だが、ここで投げ出すことは、決して父も兄も許さないだろう。自分で決めた事は最後まで成し遂げろ。それが彼らの口癖だ。
クローのお陰で希望が見えているとは言え、絶対に成功するとは限らない。火竜に理性が戻っても、騎士を止めなければ意味が無い。だからこそ、騎士達に犠牲があってはならない。
(出来る出来ないじゃない……やるか、やらないか、ただそれだけよね)
フェーリエは心の中で自分を鼓舞する。ここにある命を取りこぼすことの無いよう、攻撃を見極めるのだ。
今のところ火竜は、爪や尾と言った、自分の身体での攻撃しか行ってこない。魔力を使われれば、魔法障壁程度では簡単に破られるだろう。この状況でも、火竜は抗っているのだと感じる。ヒトを傷つけないように、自制しているのだ。
(でも、これ以上のダメージを与えれば、それも保っていられない筈……)
ここで不自然に攻撃を辞めるのも、騎士達の疑心を買うだろう。何より、一番攻撃的な副団長が黙っていない。
騎士達の中で火竜に一番攻撃を与えているメディオは、今も一心不乱に攻撃を繰り返している。
火竜の防御が高くとも、連続で攻撃されればダメージは通る。火竜が魔力を使うのも時間の問題だった。
(お願いクロー!早く……早く……!)
心の中で祈る。自分が祈ったところで状況が改善される訳ではないが、祈らずには居られなかった。
「とっとと死ね!火竜よ!!」
罵声を吐いたメディオが、火竜の首に剣を振り下ろした。その攻撃箇所に、しまった、とフェーリエは頭を押さえた。
『アアアァァァァァアアアアアアア!!!!!??????』
脳に直接響く叫び声に、蹲る。初めよりも大音量のそれは、フェーリエの脳を震わせ思考を一時的に奪った。
フェーリエ以外のヒトは、流石に耳を押さえてはいるがフェーリエ程の衝撃は無い。アレを耳だけで拾えるなんて贅沢な奴らだ。フェーリエにとって、これは防御出来ない効果抜群の攻撃だった。
だからこそ、フェーリエはソレへの反応が遅れてしまった。再び咆哮を上げた火竜は、鋭い牙が生える口元に、魔力を集め始めた。その咆哮は、不思議と脳には響かなかったが、まだ収まっていなかったフェーリエはそれに気づけなかった。
火竜は魔力を炎に変え、前方に吐き出した。それは、動けないフェーリエが居る方向で。
次第に近くなっていく熱さに、目を開ける。目前に迫った火炎は、ゲームの様に赤と橙に揺らめいていた。魅入られた様に炎を見るフェーリエは、遠くから、酷く焦るユースの声を聞いた気がした。
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