20 / 30
3章 旅する少年
5.蝶の花
しおりを挟む
「生と死の堺をふらふらしている奴なら、何か知っているかもしれない」
魔物の言葉を頼りに、少年は蝶を探すことにした。
けれど、それはただの蝶ではない。
魔物の言う、『生と死の堺をふらふらしている奴』――つまり、そういう特別な蝶を探さなければならない。
少年は、どうすればその特別な蝶に会えるか考えた。
そしてまずは、普通の蝶を探すことにした。
同じ蝶なら、何か知っているかもしれない。
特別な蝶に繋がる手がかりを掴めるかもしれない。
そう思って旅を続けた少年だったけど、何日経っても、どこまで歩いても、少年が蝶に巡り合えることはなかった。
特別な蝶どころか、普通の蝶でさえ、少年の前には現れない。
どうしてだろう。
そうして考えていたところに、少年は森を切り拓こうとしている人たちに出会った。
話を聞くと、森を切り拓いて、新しい村としてそこに住むことにしたらしい。
その話を聞いて、少年は愕然とした。
蝶が住める場所がなくなっているのだということに気づいたから。
この長い旅の中、少年はいろいろな場所を巡っていたけれど、どこも人の手が加えられていた。
一見、緑の生い茂る森のように見えても少なからず人の出入りがあった。
かつて森だった場所も切り拓かれて人が住み着いて、草も花も踏み荒らされる。
そんな場所ばかりでは、蝶が安心して住んでいられるはずがない。
出会えるわけがなかった。
少年の目の前にいる人たちは、何のためらいもなく木を切り倒していく。
草も花も平気で踏みつけていく。
これでは、蝶たちが居場所を失くして滅んでしまう。
「おじさん」
少年は、目の前のひとりに声をかけた。
「いらないのなら、その花を僕にください」
魔物の言葉を頼りに、少年は蝶を探すことにした。
けれど、それはただの蝶ではない。
魔物の言う、『生と死の堺をふらふらしている奴』――つまり、そういう特別な蝶を探さなければならない。
少年は、どうすればその特別な蝶に会えるか考えた。
そしてまずは、普通の蝶を探すことにした。
同じ蝶なら、何か知っているかもしれない。
特別な蝶に繋がる手がかりを掴めるかもしれない。
そう思って旅を続けた少年だったけど、何日経っても、どこまで歩いても、少年が蝶に巡り合えることはなかった。
特別な蝶どころか、普通の蝶でさえ、少年の前には現れない。
どうしてだろう。
そうして考えていたところに、少年は森を切り拓こうとしている人たちに出会った。
話を聞くと、森を切り拓いて、新しい村としてそこに住むことにしたらしい。
その話を聞いて、少年は愕然とした。
蝶が住める場所がなくなっているのだということに気づいたから。
この長い旅の中、少年はいろいろな場所を巡っていたけれど、どこも人の手が加えられていた。
一見、緑の生い茂る森のように見えても少なからず人の出入りがあった。
かつて森だった場所も切り拓かれて人が住み着いて、草も花も踏み荒らされる。
そんな場所ばかりでは、蝶が安心して住んでいられるはずがない。
出会えるわけがなかった。
少年の目の前にいる人たちは、何のためらいもなく木を切り倒していく。
草も花も平気で踏みつけていく。
これでは、蝶たちが居場所を失くして滅んでしまう。
「おじさん」
少年は、目の前のひとりに声をかけた。
「いらないのなら、その花を僕にください」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
冷遇妃マリアベルの監視報告書
Mag_Mel
ファンタジー
シルフィード王国に敗戦国ソラリから献上されたのは、"太陽の姫"と讃えられた妹ではなく、悪女と噂される姉、マリアベル。
第一王子の四番目の妃として迎えられた彼女は、王宮の片隅に追いやられ、嘲笑と陰湿な仕打ちに晒され続けていた。
そんな折、「王家の影」は第三王子セドリックよりマリアベルの監視業務を命じられる。年若い影が記す報告書には、ただ静かに耐え続け、死を待つかのように振舞うひとりの女の姿があった。
王位継承争いと策謀が渦巻く王宮で、冷遇妃の運命は思わぬ方向へと狂い始める――。
(小説家になろう様にも投稿しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる