続・無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……✩✩旅を選んだ娘とその竜の物語

タマ マコト

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第16話 『竜を禁ずる国』

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 その国境には、妙な静けさがあった。

 石造りの関所。
 槍を持った兵士たち。
 どこの国にもあるような風景──のはずなのに。

 空気が、張り詰めている。

 笑い声が小さい。
 馬の嘶きも、どこか抑えられて聞こえる。

 何より。

(空を見ている人が、ひとりもいない)

 エリーナは、小さく息を呑んだ。

 普通なら、国境を越える旅人は、遠くの山並みを眺めたり、空を飛ぶ鳥に目をやったりする。

 けれどこの国の兵士たちは、誰一人として空を見ない。
 ただ、目の前と足元だけを見ている。

 空にいるものを、見たくないかのように。

「次」

 関所の兵士が、短く呼んだ。

 カイが一歩前に出る。

「はい。隣国からの旅人です。滞在は数日、通過するだけの予定で」

「身分証は」

「リューン魔導院の身分証明書があります」

 カイが差し出したカードを、兵士が無表情に受け取る。

 光に透かし、印章を確認し、淡く魔力を流して真贋を確かめる。

「……魔導院、か」

 その言葉に、周囲の兵士たちの視線が微かに動いた。

 警戒。
 猜疑。
 揶揄。

「ここでは、魔導院の肩書きが“免罪符”にはならない」

「分かっています。あくまで身分の証明として」

 カイは、落ち着いた声で返す。

「この国の法律には従います。
 禁じられている術式や研究には手を出しません」

「言葉では何とでも言える」

 兵士は、じろりとカイを見たあと、エリーナに視線を移した。

「そちらは?」

「わたしは……」

 一瞬、喉が詰まる。

(“竜の主です”なんて言った瞬間、首が飛ぶよね)

 この国について、入る前にカイから散々聞かされてきた。

 ──ここは、「竜を禁ずる国」だ、と。

 かつて竜の襲撃で国土の一部を失い、王都すら一度半壊した。
 その結果、王が「竜に関するあらゆるものを忌避する」と宣言し、
 竜の像も、竜の伝承も、竜に関する学問も、すべて禁じられた。

 竜に関わる者は、厳しい罰を受ける。

 竜を信仰する者は、異端として処刑される。

 だから──

「ただの旅人です」

 エリーナは、はっきりと言った。

「名は、エリナ。
 少し魔法が使えますけど、攻撃職じゃないです。
 護身程度です」

 “エリナ”は、エリーナが他国でよく使う仮名だ。

 カルヴェルトの姓も、竜の紋章も、今は隠している。

 兵士は、彼女の瞳をじっと覗き込んだ。

 嘘を見抜こうとするような視線。

(落ち着いて。息止めない。心拍数上げない)

 胸の奥で、竜との紋章がじわりと熱を帯びる。

 そこから、遠く離れた山の稜線にいるはずのアークヴァンの気配が、ふっと滲んだ。

『主、問題はないか』

(今はだいじょうぶ……喋らないで。ちょっとでも魔力漏れたらバレる)

『了解した』

 気配が、ふっと遠のく。

 兵士はしばらく彼女を観察したあと、つまらなそうに視線を外した。

「……通れ」

「ありがとうございます」

 カイが深く頭を下げる。

 エリーナもそれに倣い、静かに礼をした。

 そのまま、二人は関所を抜ける。

 振り返れば、遠くの山の上。

 雲の切れ間の向こうに、かすかな白銀の影が見えた。

 そこにいる竜は、この国の誰にも見えない。



 最初の街に入って、エリーナは息を呑んだ。

 違和感は、すぐに分かる。

 広場。
 噴水。
 石畳。
 市場。

 いろんな国を旅してきた中で、どこでも似たようなものを見てきた。

 でも──ここには、「あるはずのもの」が一つもなかった。

「……竜の像が、ない」

 ぽつりと呟く。

 ふつう、この規模の街なら、どこかに竜の意匠がある。

 噴水の縁に、小さな竜の彫刻。
 門扉の取っ手が竜の形。
屋根の上に、竜を模した風見鶏。

 どこの国でも、程度に差はあれ、「竜」は“力”や“守護”の象徴として扱われていた。

 けれど、この街には──ひとつもない。

 代わりに、目につくのは「裂け目」の浮き彫りだった。

 地面が割れた紋章。
 壁に刻まれた、波の模様。
 石碑の上部に飾られた、崩れた塔のレリーフ。

「竜じゃなくて、“大地の怒り”を象徴にしてる……?」

「もともとは、この国も竜を祀ってたんだって」

 カイが、小声で説明する。

「でも、あの“大災厄”以来、竜の像は全部壊された。
 代わりに、“地割れの紋章”が国のシンボルになった」

「地割れの紋章……」

「“二度と大地を裂かせない”って意味らしいよ」

 その決意は分かる。

 でも、それは同時に、「竜の記憶をすべて封じる」ということでもある。

 書店を覗いてみれば、それは一層はっきりした。

 本棚に、竜に関する本は一冊もない。
 魔物図鑑の中でも、ドラゴンのページだけ、物理的に破り取られていたりする。

 店主に何気なく尋ねてみたら、「ああいう本は禁書だ」と、顔をしかめられた。

「読んでるの見つかったら、罰金じゃ済まないぞ」と。

(“竜”って言葉を出すことさえ、避けてるんだ)

 通りを歩く人々の会話を、耳の端で拾う。

「……あの大災厄の話はやめろ」「子どもの前でその言葉を出すな」
「空を見るな」「遠くの山に、あれがいるかもしれない」

 声を潜めて話しているくせに、その恐怖だけは強く伝わってくる。

 竜は、畏敬の対象ではなく、“名前を口にしてはいけない災厄”になっているのだ。

 胸が、ちくりと痛んだ。

 思い出すのは、山の上で待機している竜の気配。

『我は、ここから動かぬ』

 国境を越える前に、アークヴァンはそう言った。

『主がそう望むのなら』

(望んだの、わたしなんだよね)

 この国の事情を聞いたとき、エリーナは、真っ先に「アークヴァンには中に入ってほしくない」と思った。

 ここまで旅をしてきて、竜を崇拝する人々も、竜を信仰する神殿も、竜を研究したい学者も見てきた。

 その一方で。

 竜の炎で家族を失った人。
 竜と契約した主に裏切られた人。
 竜の暴走で、居場所を失った人。

 “傷ついた側”も、確かに存在する。

 そして、この国は、それを国単位で抱えている。

(アークヴァンの姿を見たら、それだけで泣き出す人が、絶対いる)

 心のどこかで、そう確信していた。



 その日の夕方、宿を取る前に、二人は丘の上の広場に出た。

 そこには、大きな石碑が建っていた。

 高くそびえる塔のような形の石。
 その側面には、古い文字と、長い長い名前の列が刻まれている。

 亡くなった人々の名だ。

 碑の上部には、「地割れ」の紋章。
 その下に、小さく刻まれた言葉。

 ──我ら、竜を禁じる。

 エリーナは、石碑の前で立ち止まった。

 冷たい風が、頬を撫でる。

 石に刻まれた名前ひとつひとつは、もう誰のものかも分からない。
 でも、その数だけの「生活」が失われたことだけは分かる。

 竜の炎で焼かれた家。
 竜の翼に吹き飛ばされた橋。
 竜の咆哮に飲み込まれた城。

 あの悪夢の光景が、また胸の奥でざわつく。

(アークヴァンじゃ、ない)

 分かっている。

 この国を襲った竜は、アークヴァンじゃない。
 彼は、その災厄とは直接関係がない。

 でも──

「“竜”ってひとことで括られるんだよね」

 ぽつりと漏れた言葉に、カイがちらりとこちらを見る。

「“あの竜”も、“この竜”も、関係なく」

「人間だってそうだよ」

 カイは、石碑の文字を見つめながら言う。

「どこかの国が戦争を起こせば、“人間は愚かだ”ってひとまとめにされる。
 魔導士が禁術を使えば、“魔導士は危険だ”って括られる」

「それ、今の魔導院にも刺さるね」

「自覚はある」

 苦い笑い。

「だから、ここでは、竜と竜の主に関することは、俺たちにとって“存在そのものが罪に近い”ってことなんだろうね」

「うん……」

 石碑から視線を外し、エリーナはそっと目を閉じた。

(アークヴァンに、ちゃんと話さなきゃ)



 夜。

 街は早くに灯りを落とす。
 この国の夜は、「空に何かが来ること」を恐れて、長居を嫌う。

 エリーナは宿の部屋の窓を開け、遠くの山の稜線を見た。

 薄い雲の合間。
 星の光が、ぎらぎらと滲んでいる。

 心の中で、そっと呼びかける。

(アークヴァン)

『……ここにいる』

 すぐに返事が返ってきた。

 山風のように静かな声。

『問題はないか、主』

「うん、なんとか。
 国境も通れたし、宿も取れたし、変な儀式もされてないし」

『変な儀式とはなんだ』

「竜を呪うとか、竜の主を浄化するとか、そういう」

『そのような国もあるのか』

「あるだろうね、多分」

 あまり想像したくはないけれど。

 窓辺に肘をつき、夜気を胸いっぱいに吸い込む。

「ねえ、アークヴァン」

『うむ』

「ここでは、あなたのこと──いや、“竜の存在そのもの”が、誰かのトラウマを呼び起こしちゃうの」

 言いながら、胸がちくりと痛む。

「石碑、見た。
 竜の襲撃で、多くの人が死んだ国なんだって」

『……そうか』

 アークヴァンは、短く言った。

 そこに入る「感情」を、エリーナは読み取ろうとする。

 怒りでも、嘲りでもない。
 ただ、静かな受け止め。

「だから、ここでは、姿を見せないほうがいい。
 たとえ何もしてなくても、あなたの姿を見ただけで、あの石碑の名前を思い出す人がいる」

『……』

「もちろん、わたしは、あなただから安心できるけど。
 この国の人たちにとっては、“ただの竜の影”なんだよね」

 その「ただの影」に、怯えて眠れない人もいる。

 そう思うと、自分の旅が今までいかに「恵まれた視線」の中にあったか、ひりひりと分かってくる。

『主』

 少しの沈黙のあとで、アークヴァンが静かに言った。

『分かった』

「……うん?」

『この国では、我は山の上に留まる』

 その声には、不満も反発もない。

『主がそう望むのなら』

 あまりにも素直に受け入れられて、逆に胸が痛くなった。

「……ごめん」

『謝るなと言った』

「だって、わたしが“ここでは来ないで”って言ってるんだよ?」

 主として。
 竜魔法のパートナーとして。
 旅の仲間として。

 彼の力を借りれば、どれだけ心強いか分かっているのに。

 その力を、「ここでは、その存在そのものが危険」だと言って封じている。

『主』

 アークヴァンの声が、いつもよりほんの少しだけ低くなった。

『我は、この国の人間たちに、何もしておらぬ』

「うん」

『我が炎も、我が翼も、この土地を焼いてはいない』

「うん……」

『それでも、“竜”というだけで、同じ災厄として見られる』

「……うん」

 認めるしかない。

 そこにあるのは、「不当な偏見」でもあり、「当然の防衛反応」でもある。

 焼かれた者にとって、「火」は全部怖い。

 落とされた者にとって、「高いところ」は全部怖い。

 竜に襲われた者にとって、「竜」は全部怖い。

『我は何もしておらぬ』

 もう一度、アークヴァンは言った。

 その声には、怒りではなく──薄い寂しさがにじんでいた。

『だが、主がそれで良いと言うのなら、良い』

「……良いわけ、ないよ」

 エリーナは、窓枠に額を押し当てた。

「良いわけないよ……」

 アークヴァンが、何もしていないのは知っている。

 むしろ、誰よりも傷ついてきたことを、夢の中で見てしまった。

 それでも、ここでは「竜」という言葉ひとつで、彼も、災厄の側に置かれてしまう。

 その理不尽さに、叫びたいくらいの悔しさを感じる。

 でも──

(ここで、わたしが感情をぶつけたところで、誰かの傷が消えるわけじゃない)

 石碑に刻まれていた名前は、もう戻らない。

 焼かれた家族も、戻らない。

 それを考えると、「この国の人たちに竜を受け入れてと言う権利、わたしにはないな」と思わされる。

「……ありがとね、アークヴァン」

『何がだ』

「ちゃんと、わたしの“嫌なお願い”を聞いてくれて」

『主の願いだからな』

 竜は簡単に言う。

『主が“ここでは我を見せるな”と言うのなら、我はそうする。
 主が“ここで飛べ”と言うのなら、飛ぶ』

「それ、重い」

『我は竜だ』

「ですよね」

 少しだけ笑いながら、エリーナはそっと目を閉じた。

 遠くの山の上。
 白銀の竜が、ひとりで夜風を受けている姿が目に浮かぶ。

(ひとりにしないで、って言ったの、わたしなのに)

 なのに今は、彼を意図的に「ひとり」にしている。

 その矛盾が、じわじわと胸を締め付けた。



 数日後。

 二人は、国の内陸部にある小さな村に立ち寄った。

 そこは、妙に地面が不安定な場所だった。

「最近、よく揺れるんです」

 宿を貸してくれた村長が、皺だらけの手を擦りながら言う。

「夜中に、ぐらぐらと。
 最初は小さな揺れだったんですが、だんだん大きくなってきて」

「地震、ですか」

 カイが真面目な顔になる。

「ええ。
 あの大災厄のときも、最初は小さな揺れから始まったんです。
 だから、皆、怖がっておりましてな」

 村長の目が、恐怖と疲れで赤くなっている。

「“また竜が目覚めたのではないか”と、そう言う者もいるのです」

 その言葉に、室内の空気がぴんと張りつめた。

 エリーナは、胸の奥が痛くなる。

(“地面が揺れる=竜”)

 この国の人たちにとっては、それが条件反射みたいになっているのだ。

「……あの」

 エリーナは、そっと口を開いた。

「揺れは、どのあたりで強く感じますか?」

「村の東側ですな。
 古い井戸のあるあたりです」

(東側、井戸……)

 耳の奥で、竜の感覚がぴくりと動いた。

(大地の下で、何かがうごめいてる……?)

 竜のせいじゃない。
 それくらいは、なんとなく分かる。

 アークヴァンの気配とは違う。
 竜骨の森で感じた、古い竜の眠りとも違う。

 もっと、鈍くて重たいなにか。

(大地そのものの問題かも)

 地殻のずれ。
 地下水の流れ。
 魔力の濃度。

 そういったものが、不均衡を起こしているのかもしれない。

「カイ」

 エリーナは、小声で囁いた。

「ちょっとだけ、地面、視てもいい?」

 目線だけで「竜魔法」のことを指す。

 カイは、一瞬逡巡してから、ゆっくりと頷いた。

「……人の目がないところでなら、少しだけ」

「うん」



 その夜。

 村人たちが眠りについた頃、エリーナとカイは、東側の古井戸のそばに立っていた。

 月は薄く、星は濃い。
 風は冷たい。

「ここ?」

「この辺りが、一番揺れが強いって」

 エリーナは、そっと地面に手を当てた。

 ひんやりとした土の感触。
 雑草のざらつき。

(アークヴァン)

『いる』

(地面の下、ちょっとだけ一緒に視てほしい)

『禁忌だぞ、主』

「分かってる」

 この国では、竜に関わる術はすべて禁じられている。
 その中でも、「竜の感覚で地中を覗く」行為は、極めて危険な部類だ。

 もし見つかれば、投獄どころか、処刑もあり得る。

 それでも。

「この揺れが、竜のせいだって決めつけられるのは、嫌だから」

 エリーナは唇を噛んだ。

「竜のせいじゃなくて、別の理由だって分かったら──」

 この村の人たちの、“少しは楽になるかもしれない”。

 それは、自己満足かもしれない。

 でも、自分が今ここにいる意味のひとつとして、どうしてもやりたかった。

『主よ』

 アークヴァンの声が、そっと降りる。

『危険は承知の上か』

「うん」

『ならば、我も目を貸そう』

 胸の紋章が、静かに熱を帯びる。

 地面の向こう側に、竜の感覚が流れ込んでいく。

 土の層。
 石の固さ。
 地下水の流れ。

 それらが、頭の中に立体的に浮かび上がった。

 地震の原因は──竜ではない。

 もっと底のほうで、大地の板が、ほんのわずかにずれようとしている。

 地殻のささやき。
 大地のうめき。

(……これ、下手したら)

 小さな村どころか、周囲の地域ごと揺らしかねない。

 竜のせいじゃない。
 でも、「竜を禁じた国」にとっては、また「あのときの悪夢」が蘇るレベルの揺れになる可能性がある。

 その現実を、エリーナは息を詰めながら受け止めた。

『主』

 アークヴァンの声が、低く響く。

『どうする』

「どうしようか……」

 竜魔法で、地殻の動きを無理やり抑えつけることはできるかもしれない。

 けれど、それは、まさにこの国が嫌う「竜の力で大地をいじる」行為だ。

 もしそれが知れれば、「竜を禁ずる国」の怒りを買うのは必至だった。

(でも、何もしなかったら)

 揺れは、確実に大きくなる。

 そのとき、この村の人たちは、「やっぱり竜が目覚めたんだ」と信じ込むだろう。

 竜のせいではないという事実は、何も知らないまま。

「……“竜の主として”じゃなくて、“わたしとして”考えなきゃだね」

 エリーナは、小さく自嘲する。

 竜の主としての正解は、分からない。

 国家間の関係。
 古竜王の視線。
 世界の均衡。

 考慮すべきものが多すぎる。

 でも、「エリーナ・カルヴェルトとして」考えたとき。

 目の前に、揺れに怯える村がある。
 竜と無関係な大地の問題がある。
 「竜が目覚めた」と怖がる子どもたちがいる。

(それを見て、何もしないで背を向けるのは、嫌だ)

 胸の奥で、まだ小さな「答え」が灯る。

 ここで、エリーナは初めて、自分の旅が「好意的な場所だけを回るお散歩じゃない」と、痛いほど理解した。

 竜を崇める国もあれば。
 竜を研究したがる人もいれば。
 竜を恐れ、憎み、禁じる国もある。

 その全部に、竜の主として向き合うのか。
 それとも、「ひとりのわたし」として、どうにか折り合いをつけていくのか。

 揺れる土の上で、エリーナはぎゅっと拳を握りしめた。

「……アークヴァン、カイ」

 静かな夜に、彼女の声が落ちる。

「わたし、やっぱり見て見ぬふりできない」

 そこから先は、“竜を禁ずる国”だけでなく、“竜の主”である自分自身の心の在り方も、試されることになるのだと──胸の奥で、ひそやかに理解しながら。
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