婚約破棄のその場で転生前の記憶が戻り、悪役令嬢として反撃開始いたします

タマ マコト

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第8話「暴動未遂と、民衆の顔」

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 それは、いつもの何気ない朝のはずだった。

 まだ陽が低い時間。
 リュミエール王都の市場通りには、朝霧の残り香と、パンを焼く小麦の匂いが混ざっていた。
 露店の主たちが布をめくり、野菜と果物を並べ、魚の鱗が白く光る。

 いつもどおり――に見えたのは、ほんのわずかな時間だけ。



「お嬢様、市場から伝令が」

 朝食を終え、書斎でテオのまとめたメモを読み返していたレティシアのところへ、扉の向こうからクロエの緊迫した声が飛び込んできた。

「入って」

 レティシアが顔を上げると、クロエに引きずられるようにして、小柄な影が部屋に飛び込んでくる。

「お、おい! 引っ張んなよ、歩けるって!」

「ルネ?」

 痩せた少年――ルネが、いつもの薄汚れたシャツ姿のまま、息を切らして立っていた。
 額には汗、頬には薄い埃。
 普段のふてぶてしさよりも先に、切羽つまった色が顔に出ている。

「遅ぇって怒んなよな……! 言われたとおり、ヤバそうな時は真っ先に来ただろ!」
「ちゃんと来たのは褒めてあげる。……何が起きてるの?」

 レティシアは椅子から立ち上がった。
 ルネは荒い息のまま、言葉を吐き出す。

「市場のパン屋が、一斉に値段上げやがった。
 朝一で“今日から一個、銀貨半分だ”って言いやがって……!」

 レティシアの指が、ぴくりと動く。

(銀貨半分――ほぼ倍額)

 前からじわじわ上がっていたとはいえ、それは一線を越えた値段だ。
 農民や職人たちにとって、“今日のパン”はただの食べ物じゃない。
 仕事に出るための燃料であり、家族の命綱だ。

「それで?」
「最初は文句言いながらも買ってたけど……昼前くらいから、マジで買えない奴らが増えてきてさ。
 “子供の分だけくれ”とか、“半分にしてくれ”とか言う奴も出てきて……でも親父たちも、もうギリギリでさ」

 ルネの声が震える。

「“これ以上安くしたら、こっちが潰れる”って、パン屋の親父が叫んだ。
 そしたら、殴り合いが始まって……兵士もまだあんまり来てなくて……」

 市場のざわめきが、目の前まで押し寄せてくるみたいだった。

(……来た)

 前世の年表では、“パンの暴動”と一行で書かれていた出来事。
 それが、今日、この王都で起きかけている。

 レティシアは、迷う時間をゼロに削った。

「ギルバート」
「はい」

 壁際に控えていた執事が、すぐに一歩前に出る。

「ロジェ商会に連絡。
 “例の在庫”――小麦と、焼き置きしてある安価なパンを、できるだけ早く市場周辺に流して。
 名義は……“匿名の善意”でいいわ。金は全部ヴァロワ家から」

「了解いたしました。すぐに手配を」

 ギルバートはその場でメモを取り、廊下へ指示を飛ばす。
 すでに用意していたルートだ。
 “いつか来る日”のためにストックしていた小麦が、いよいよ出番を迎えようとしている。

 ルネが、不安そうにレティシアを見る。

「そんなことして、大丈夫なのかよ……? バレたら、怒られんのはお前だろ」
「怒られるくらいで済めばラッキーね。
 ――でも、ここで何もしなかったら、多分もっと面倒なことになる」

 レティシアは、羽織っていたジャケットを脱ぎ捨て、簡素な外出用のコートを掴んだ。

「クロエ、着替えを手伝って。ルネ、案内役よろしく」
「えっ!? お嬢様も行くんですか!?」
「行くわよ。自分の目で見なきゃ意味ないもの」

 反対する暇すら与えず、レティシアはテキパキと支度を始めた。



 十数分後。

 レティシアは、髪を低い位置でまとめ、つばの広い帽子を目深に被っていた。
 ドレスも、貴族用としては最も地味なグレー。
 仕立ての良さは隠しきれないが、遠目には、少し小奇麗な商人の娘に見えなくもない。

 護衛はギルバートと、腕利きの兵士二人。
 ただし、彼らは距離を置き、目立たないように市場を囲む。

 馬車を降りると、すでに市場の空気は、いつもの喧騒とは違う熱を帯びていた。

「……うわ」

 クロエが、息を呑んだ。

 露店の前には人だかり。
 怒鳴り声、泣き声、押し合う音。

「ふざけんなよ! 昨日までの倍じゃねぇか!」
「そんな金、どこから出せって言うんだよ!」
「子どもが腹空かせて待ってんだ!」

 パン屋の前には、特に多くの人が集まっていた。

 レティシアには見覚えのある顔――ピエールの姿もある。
 額に汗を浮かべ、両手を広げて必死に客をなだめている。

「何度も言ってるだろ! こっちだって好きで値上げしてねぇんだよ!
 麦の値段が――」

「そんなもん知るか!」

 若い男が叫んで、ピエールの胸ぐらを掴んだ。
 その瞬間、周りの空気がざわっ、と波立つ。

 押し合い、罵声。
 誰かが倒れ、誰かが踏まれる。
 悲鳴が上がり、子どもが泣く。

(これ……この空気)

 レティシアの背筋を、冷たいものが駆け上がった。

 前世の教科書で読んだ一行――
 『パンの価格高騰により、一部の市場で暴動が発生』

 その裏に、こういう音と匂いと温度があったのだと、今、初めて実感している。

 ルネが、レティシアの袖を引いた。

「おい、ぼさっとしてると巻き込まれるぞ……!」
「そうね。……でも、まだ“暴動”にはなってない」

 レティシアは、周囲をぐるりと見渡した。

 石を手にした者は、まだ少ない。
 刃物を振りかざしている者もいない。

 みんな、ギリギリで「怒鳴り声」と「腕力」で済ませようとしている。
 “暴徒”ではなく、“追い詰められた生活者”の顔だ。

(ここで一押し間違えたら、一気に火がつく)

 その火を、せめて小さな炎に留めるために、レティシアはここへ来た。

 ほどなく、通りの向こうから荷車の軋む音が近づいてくる。

 小麦の袋を積んだ荷車。
 焼きたてではないが、まだ食べられるパンを山のように積んだ荷車。

 ロジェ商会の簡素なマークがついている。

「な、なんだ?」
「麦だ……? こんな時に?」

 ざわめきが、方向を変える。

 ロジェ商会の男が、声を張り上げた。

「本日、ある“匿名の御方”より、市場の皆様に小麦とパンを届けてほしいと依頼を受けました!
 ――暴利は取りません! 原価ギリギリで配ります! 数に限りはありますが、子供や老人から優先で!」

 瞬間、場の空気が変わった。

「匿名……?」
「誰だよそんな物好き……」
「いいから並べ! 子ども連れてこい!」

 怒号に混じって、必死の笑い声が生まれる。
 殺気と絶望だけで満たされかけていた空気に、“選択肢”というわずかな逃げ道ができる。

 ピエールも、荷車のほうを見て呆然としていた。

「な、なんだってんだ……」

 レティシアは、帽子のつばを少し下げた。

(いいのよ、誰にもわからなくて。
 “誰かが助けてくれた”って曖昧な記憶さえ残れば、今日ここで死ぬ人の数は減る)

 麦の袋が卸され、簡易なテーブルの上にパンが積まれていく。

 ロジェ商会の男たちが手際よく列を作り、「一人二つまで」「子ども優先」と声をかける。
 最初は怒鳴っていた男たちも、気づけば列に並び、肩で息をしながら順番を待っていた。

 その光景に、レティシアは喉の奥が熱くなった。

(暴れたいから暴れるんじゃない。
 ――“どうしようもないから、暴れるしかなくなる”んだ)

 前世の自分は、この当たり前を、どこか遠い話として読んでいた。
 「暴徒」と一言でまとめられた人々にも、顔と声があることを、頭では理解していても、心の奥までは届いていなかった。

「……これが、“民衆の論理”」

 ぽつりと呟くと、横でルネが鼻を鳴らした。

「当たり前だろ。
 誰だって、殴り合いなんてしたくねぇよ。
 腹が減って、子どもが泣いて、もうどうにもならねぇから、最後に残ってる手段に手を出すんだ」

 その言葉は、彼の年齢には似つかわしくないほど重かった。

「ルネ。妹は?」
「……今日は、少しマシそうだった。
 薬が効いたのかもしれねぇ」

 昼の光が、彼の横顔を照らす。
 相変わらず痩せているが、目の底にあった“すぐにでも折れそうな緊張”は、ほんの少し緩んでいた。

「さっきのパン、ちゃんと持って帰りなさいよ」
「言われなくても持ってく。……でもよ」

 ルネは、パンを握りしめた人々の背中を見つめた。

「みんな、もう王様のこと、“期待してねぇ”って顔してる」

 レティシアは、頬の内側を噛んだ。

「期待、していない?」

「ああ。
 “どうせ上の奴らは助けちゃくれねぇ”って顔だ。
 “何も変わらねぇ”って顔。
 ――昔はもうちょい、“そのうち良くなるかも”みたいな空気もあったんだぜ?」

 彼は、小さく笑う。

「今はもう、“誰も来ねぇから、自分らで何とかするしかねぇ”って、そういう目だ」

 遠くで、子どもの笑い声がした。
 列の先頭で、パンを受け取った少年が、それを妹らしき小さな子にちぎって渡している。

 あの笑顔は、確かに救いだ。
 けれど、その背中に貼りついた諦めは、簡単には消えない。

(……“王家に対する失望”)

 前世の教科書に、似たような言葉があった。
 王政への信頼の崩壊。
 統治者への諦め。
 それが、革命の大きな引き金のひとつになる――と。

(ここまで来てるんだ)

 今さら、“全部なかったことにして平和に戻りましょう”なんて不可能だ。
 どれだけパンと麦をばらまいたって、「これまでの痛み」が帳消しになるわけじゃない。

 革命そのものを、完全に止めることは――多分、もうできない。

 喉の奥まで、その言葉がこみ上げてきて、レティシアは奥歯をぎゅっと噛んだ。

(それでも)

 彼女は、パンを配る列を眺めながら、自分に言い聞かせる。

(流血の量だけは、減らせるはず)

 前世の歴史書の中で、ページの半分を埋め尽くしていた処刑の記録。
 名前もわからない人々の死。

 あのうちの、いくつかを。
 少しずつでいいから、白紙に変えていく。

 それが、自分にできる“運命改変”だ。

「……お嬢様」

 クロエが、心配そうに覗き込む。
 レティシアは、無理やり口角を上げた。

「平気よ。ちょっと、目に埃が入っただけ」
「埃、ですか?」
「ええ。……それと、ちょっとだけ、前世の自分の顔も見えた気がして」

 過去の自分への、ささやかな恥ずかしさ。
 安全な場所から数字と文章だけを眺めて、「革命のメカニズム」を論じていた女子大生。

 あの頃の自分は、今日ここでパンに手を伸ばしている人たちのことを、本当に理解していただろうか。

(……いいや、してなかった)

 だからこそ、今こうして、やり直している。



 その頃。

 王城の別棟にある、王太子の執務室にも、市場の騒動の報せは届いていた。

「――市場で小さな騒ぎが? パンの価格が原因だと?」

 アルマンは、報告に来た側近の言葉に眉をひそめた。
 豪華な机の上には、今朝届けられたばかりの菓子パンがまだ残っている。

「はい。
 しかし、程なくしてロジェ商会が大量の小麦とパンを市場に持ち込み、騒ぎは沈静化したとのことです」

「ロジェ商会が?」

 アルマンの隣で、王妃派の若い貴族が目を細める。

「妙ですな。
 あの商会が、そこまで“慈善”に熱心だとは聞いておりませんが」

「注文主は?」

 アルマンが問いかけると、側近は首を横に振った。

「“匿名の御方の依頼”とだけ。
 しかし、かなりの量を一度に動かせる財力を持つ者に限られます」

 執務室の空気が、少し重くなる。

 アルマンは、窓の外を眺めた。

 今も、遠くに王都の屋根が見える。
 そこに市場の姿が重なることは、彼にはあまりなかった。

「……誰かが、勝手な真似をしている」

 アルマンの声に、若い貴族が同調する。

「殿下のご判断を仰がず、勝手に民の歓心を買おうとしている者がいるとすれば――看過できませんな」

「そうだな」

 アルマンは、自分の手元の菓子パンをひとつ摘んだ。

 彼の目には、今日市場で配られた安価なパンと、この机の上の甘いパンが、同じ“パン”だという実感はほとんどなかった。

「ロジェ商会を調べろ。
 最近、誰と取引しているか、どこから金を受け取っているか――徹底的にだ」

「はっ」

 側近が頭を下げ、部屋を出ていく。

 王妃派の貴族が、意味ありげに口元を歪めた。

「……そういえば、最近“表に出てこなくなった令嬢”がおりますな」

「誰のことだ」

「ヴァロワ公爵令嬢ですよ。
 婚約破棄以来、表向きは体調不良とのことですが……裏では、何やら動いているという噂も」

 アルマンの顔に、微かな苛立ちが走る。

「レティシアが?」

「ええ。
 公爵家の財力を使って、“どこかに金を流している”のではないか――と」

 その言葉は、根拠のない憶測に過ぎない。
 だが、“一度切り捨てた女が裏で何かしているかもしれない”という可能性は、アルマンのプライドを刺激した。

「……面白くない話だ」

 アルマンは、手にしていた菓子パンを皿に戻した。

「ロジェ商会の裏に、ヴァロワ家がいる可能性も含めて調べろ。
 必要とあらば――公爵にも釘を刺す」

 王太子派の視線が、じわりとヴァロワ公爵家に向かい始めている。

 まだ、レティシアの名が正式な疑いとして挙がっているわけではない。
 だが、“不可解な食糧供給”は、すでに波紋を広げ始めていた。

 ◆

 市場からの帰り道。

 馬車の中で、レティシアは揺れに身を任せながら、静かに目を閉じていた。

 頭の中には、今日見た人々の顔が、何度も何度も浮かんでくる。

 怒鳴っていた男の顔。
 パンを抱きしめて泣いていた子どもの顔。
 安堵と諦めがごちゃ混ぜになった女の顔。

(――“民衆の顔”)

 前世で読んだ歴史のページには、「民衆」という一言で括られた人々が、こうしてひとりひとりの顔を持っている。

 その顔を、今日やっと真正面から見た。

 レティシアは、ゆっくりと目を開けた。

「……クロエ」
「はい、お嬢様」
「私がやっていること、全部が正しいかどうかはわからない。
 でも――何もしないよりはマシな未来を作れると、信じていい?」

 クロエは、目に涙を溜めながら、力強く頷いた。

「はい。
 今日、あの子たちがパンを食べて笑ってたの、ちゃんと見ました。
 それだけでも、私は……お嬢様を信じられます」

 レティシアは微笑み、窓の外の王都を見つめた。

 どこかで、王宮が自分に気づき始めている気配がする。
 でも――それは、覚悟していたことだ。

(さあ、次はこっちの番)

 革命のタイムラインは、少しだけ揺らいだ。
 それでも、大きな流れは変わらない。

 ならせめて――。

「流れる血の量だけは、減らしてみせる」

 その小さな決意が、静かな炎となって、レティシアの胸の奥で燃え始めていた。
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