妹に全て奪われて死んだ私、二度目の人生では王位も恋も譲りません

タマ マコト

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第2話 月明かりのリスタート

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 ――息が、できる。

 それだけで涙が出そうになった。
 喉の奥を焼いた毒の熱も、肺を締めつけたあの冷たい痛みも、まだ身体のどこかに残っている。なのに今、私は確かに空気を吸っている。胸が上下して、心臓がちゃんと拍動している。

 目を開けると、天蓋の布がゆるく波打っていた。淡い象牙色の布。幼いころから慣れ親しんだ、私の部屋の天蓋。カーテンの隙間から差し込む月明かりが、布の縫い目を銀色に浮かび上がらせる。

 窓の外は――春の月。
 白くて、少し冷たくて、まだ夜が長い季節の月。

「……は?」

 声が出た。
 自分の声が、私の耳に返ってくる。掠れている。でも、声だ。死の直前みたいに喉が裂けてはいない。私は思わず両手で喉を押さえた。

 皮膚が温かい。脈がある。
 だけど指先だけ、微かに痺れている。
 祝宴の最後の一口――あの甘いワインの感触が、まだ神経に染みついているみたいに。

 心臓が跳ねる。
 跳ね方が早い。速すぎる。
 恐怖? いや、違う。これは――理解が追いつかないときの、あの焦りだ。

 私は勢いよく身を起こした。

 シーツが擦れる音。
 枕の羽毛がふわりと沈む感覚。
 そして、部屋の匂い。香炉の香り。いつも通りの、落ち着くはずの香りが、今夜は妙に生々しい。

 私はベッドから降りようとして、足を止めた。
 床が見える。木目。擦り切れた絨毯。そこに――血はない。倒れた跡もない。祝宴の大理石の冷たさもない。

 代わりに、窓辺の机に置かれた銀の水差しが、月を映して光っていた。

 私はふらつきながら、鏡の前へ向かった。
 足の裏が床に触れるたび、ああ、と妙な実感が湧く。私は生きている。ちゃんと重力の中にいる。

 鏡に映った私は――若い。
 頬の線が少し丸く、目の下に疲労の影が薄い。髪の艶も、祝宴の夜ほど乾いていない。礼装ではなく、寝間着のまま。首元のレースが柔らかく揺れている。

「……戻ってる」

 呟いた瞬間、背筋がぞわりと冷えた。
 戻っている。戻っているはずがない。死んだのに。喉が焼けて、視界が滲んで、妹が耳元で「ありがとう」って囁いて。私は――沈んだ。

 その記憶が鮮明すぎて、今の部屋が薄い夢みたいに感じる。
 私の脳が死の直前に見せている最後の幻覚。そう思ったほうが、まだ理屈は通る。

 私は鏡に手を当てた。
 冷たい。硬い。現実の冷たさ。

 さらに、指先の痺れが確かにある。
 喉の奥にも、焼けるような名残がある。
 幻覚なら、こんな不快なディテールまで残す?

 背後で、布が擦れる音がした。

「……姫殿下?」

 侍女の声。
 私は反射で振り返った。

 扉の隙間から、若い侍女が顔を出している。見覚えのある顔。まだ頬にそばかすが残っていて、目がまん丸で、眠たげで、それでも礼儀正しい。

 ――ルーナ。
 私の専属侍女。前世で、私が倒れたあと、誰より早く気づいて駆け寄ろうとして、衛兵に止められた子。

 生きてる。
 彼女も、ここにいる。

「……どうしたの、ルーナ」

 声が思ったより落ち着いて出て、自分で驚いた。
 頭の中は嵐みたいなのに、口だけがいつもの王女を演じる。癖って怖い。

「失礼いたします。お休みの時間でしたので、物音がして……。お水、いかがですか?」

 彼女は控えめに入ってきて、銀のトレイを持ち上げた。
 水差しとグラス。月明かりが水面で揺れる。

 私はその水を見た瞬間、胃がきゅっと縮んだ。
 飲み物。
 ワイン。
 毒。

 喉が痛いのは、過去の記憶のせいじゃない。
 身体が、学習している。

「……ルーナ」

「はい」

「今、何日?」

 自分でも意味が分からない質問だった。
 でもルーナは一瞬だけ驚いて、それからすぐに答えた。

「春季の第三週、月齢は――ええと……二十日でございます。姫殿下、どこか具合が……?」

 春季の第三週。
 月齢二十日。
 その日付は、私の頭の中の“最後の祝宴”から逆算すると――まだ余裕がある。

 つまり、私は死ぬ前に戻っている。
 ほんの数時間前ではない。
 “すべてを奪われる直前”に、巻き戻っている。

 頭の中で、何かがカチリと嵌まった。
 同時に、息が詰まる。

 私はベッドの縁に座り込み、両手で顔を覆った。
 まぶたの裏に、祝宴の光が浮かぶ。
 金箔の星。
 笑い声。
 ミレイアの涙。
 アレクシスの逃げた視線。
 宰相の微笑み。
 父の乾いた声。

 私は死んだ。
 あんなに鮮明に死んだのに、今ここにいる。

 ――神がいるなら。
 ――いるとしたら、これは何? 罰? 救い? どっち?

「姫殿下……?」

 ルーナの声が震える。
 彼女は怖いのだ。王女が深夜に突然日付を尋ねて、顔を覆っている。病か、呪いか、陰謀か。王城ではどれでもあり得る。

 私はゆっくり顔を上げた。
 涙は出ていない。出る前に、胸の奥が熱で満たされてしまった。

 恐怖じゃない。
 震えでもない。
 熱。怒りでも悲しみでもない、もっと硬い熱。

 ――決意。

「ルーナ。お願いがあるの」

「は、はい!」

「この部屋の扉を……しっかり閉めて。誰も入れないで。私が呼ぶまで」

 ルーナは一瞬だけ迷い、それから深く頷いた。

「承知いたしました。何かございましたら、すぐお呼びくださいませ」

 彼女は扉を閉め、外側に控えるように小さな足音を残した。
 その音を聞いて、私は机へ向かった。

 机の上には、日記帳が置いてある。
 革張りで、鍵付きの。
 前世では、私はここに“綺麗な言葉”しか書かなかった。王女としての記録。誰が来訪したか、何を話したか。面倒な本音は飲み込んで、後世のための体裁だけ整えた。

 でも今は違う。

 私は鍵を開けた。
 カチリ、という音がやけに大きく響く。

 ペンを取る。インク壺の蓋を開ける。
 手が震えて、ペン先が紙に小さな点を落とした。黒い染みが広がる。まるで未来の穴みたいに。

 私は深く息を吸った。
 そして、書き始めた。

 ――前世で起きた順番。
 ――誰が最初に嘘をついたか。
 ――誰が沈黙したか。
 ――誰が笑ったか。

 文字は、最初はゆっくりだった。
 でも書くほどに速度が上がる。指先の痺れが、逆に私を急かすみたいに。

『第一:宰相グラディオ、謁見で“国の空気”を理由に私の立場を削る』
『第二:王太子アレクシス、沈黙で同意する』
『第三:妹ミレイア、泣き顔で“譲ることが優しさ”だと刷り込む』
『第四:父王レオニス、国の安定を優先し、私に“理解”を求める』
『第五:祝宴、婚約譲渡の宣言、温かいワイン、毒』

 私はペンを止めた。
 インクが紙に溜まり、黒が濃くなる。

 “毒”と書いた瞬間、喉がひりついた。
 身体が思い出してしまう。
 甘いのに金属の匂いがする、あの一口。

 私は吐き気を堪えながら、次のページを開いた。
 そこに、もっと具体的に書き足す。

『毒は遅効性。病死に見える。医師は黙る』
『ミレイアは手を下さない。差し金は宰相』
『王妃アウレリアの死も、同じ匂い』
『孤児院の資金流用、宰相の利権』

 書けば書くほど、世界が輪郭を取り戻していく。
 前世では、私は“感じるだけ”だった。違和感、息苦しさ、言葉にならない不安。
 でも今世では、それが言葉になる。文字になる。証拠になる。

 私は最後に、空白の行をひとつ挟んで、ゆっくりと書いた。

『あのワインは飲まない』

 その一文を書き終えた瞬間、ペン先が紙にカリ、と小さく引っかかった。
 黒い線が、少しだけ太くなる。
 まるでその言葉自体が、紙に刻まれた呪いみたいに。

 私はしばらく、その一行を見つめた。
 文字が月明かりに照らされて、黒が濡れたみたいに光る。

 未来を縛る呪文。
 私自身を縛る鎖。
 だけど、鎖は悪いものじゃない。自分を守る鎖もある。

 ――もう、二度とあの味を飲み込まない。
 ――二度と、誰かの都合で死なない。

 その瞬間、ふいに部屋の外で布が擦れる音がした。
 ルーナが身じろぎしたのだろう。彼女は扉の向こうで、まだ私を守るように立っている。

 私は胸の奥が、きゅっと痛んだ。
 前世の最後、彼女は私に駆け寄ろうとして止められた。
 私はそれを見た。見ながら死んだ。助けたい人がいたのに、助けられないまま。

 私は扉の方を見て、小さく言った。

「……ルーナ」

「はい、姫殿下!」

 即座に返事が返ってくる。
 その声が、やけに現代的に言えば――“心の防音材”みたいに効いた。世界の冷たさが少し和らぐ。

「大丈夫よ。少し……考え事をしていただけ」

「かしこまりました。何か必要なものがあれば、すぐに」

 私は頷いた。
 扉越しに、誰かの存在があるだけで、私は孤独から少し救われる。

 でも同時に思う。
 私はこの子を、前世みたいに巻き込みたくない。
 だから守らなきゃいけない。自分も、周囲も。

 私は机の引き出しを開け、別の紙束を取り出した。
 空白の計画書。
 王女として、私は今まで“待つ側”だった。物事が決まるのを、受け入れる側だった。

 今世は違う。

 私はタイトルのように、ページの上に大きく書いた。

『二度目の人生:優先順位』

 そして、箇条書きで並べる。

『一:死なない(毒を避ける)』
『二:立場を奪われない(婚約譲渡を阻止、または無効化)』
『三:宰相の利権を削る(孤児院、監査、帳簿)』
『四:母の死因に近づく(記録、侍医、禁制薬)』
『五:味方を増やす(ユリウス、民、影)』

 書きながら、心の奥で何かが静かに整列していく。
 ぐちゃぐちゃだった感情が、戦列になる。
 悲しみは盾。怒りは槍。恐怖は警鐘。
 全部、武器になる。

 私はふと、窓の外を見た。
 春の月が、変わらずそこにある。
 前世でも、この月は照っていたのだろうか。祝宴の夜も、同じ月だったのだろうか。

 ――同じ世界。
 ――同じ人間。
 ――同じ嘘。

 でも、私だけが違う。
 私は“終わり”を知っている。

 それは不幸だ。
 でも同時に、最高のアドバンテージでもある。

 喉の奥の痛みが、まだ少しだけ残っている。
 私はそれを指で確かめるように触れた。

「……二度目は、私が選ぶ」

 誰に聞かせるでもなく呟く。
 その言葉が、月明かりに溶けずに部屋に残る。
 まるでこの部屋自体が、私の誓いを記憶してくれるみたいに。

 机の上の日記帳を閉じ、鍵をかけた。
 カチリ。
 その音は、さっきより重く響いた。未来を閉じ込める音ではない。過去を封じる音だ。

 私はベッドへ戻り、シーツに潜り込む。
 眠れるかどうかなんて分からない。瞼を閉じれば、あの祝宴の金箔の星が落ちてくる。甘い毒の匂いが蘇る。

 それでも――今夜は眠らないといけない。
 明日から動くために。
 動いて、変えるために。

 扉の向こうから、ルーナの小さな咳払いが聞こえる。
 生きている音。守ってくれる音。

 私は天蓋の布を見つめながら、ゆっくりと息を整えた。

 春の月が、冷たく優しく、私の二度目の人生を照らしていた。
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