妹に全て奪われて死んだ私、二度目の人生では王位も恋も譲りません

タマ マコト

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第33話 空席に手を伸ばす人たち

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 空いている椅子は、人を呼ぶ。

 座るためじゃない。 
 自分の都合を置くために。

 朝の執務室は、紙の音だけがしていた。 
 窓の外の王都は動いているのに、ここだけ時間がゆっくりだ。ゆっくりだからこそ、紙の重さが骨にくる。

 ルーナが書類の束を抱えて入ってきた。 
 目の下に薄い影。けれど、姿勢は崩れていない。

「セレス様……議会から、正式な提出が来ました」

「もう来たの」

 私が受け取ると、封印の蝋が硬い。  開ける前から、匂いがする。香水みたいに整った匂い。整いすぎた匂い。

 紙面の一番上には、やたら丁寧な題が踊っていた。

『王政補佐評議会設置に関する提案』

 私は息を吐いた。

「……評議会」

 ルーナが唇を噛む。

「昨日の議場のざわめきが、もう形になって戻ってきました」

「ざわめきは、すぐ形になる。形になったざわめきは、手続きでしか止まらない」

 ページをめくる。 
 委員の人数。選出方法。権限。議事録。議長の任命。

 言葉は柔らかい。 
 “女王を支える”。 
 “責任の所在を明確にする”。 
 “国政の安定”。

 全部、正しい顔をしている。 
 正しい顔をしているから、厄介だ。

 私は指で、ある一行をなぞった。

「……『緊急時における暫定決裁権』」

 ルーナが小さく頷いた。

「そこが、刺さります」

「刺さるね。空席に、勝手に座れる権利だ」

 扉がノックされる。

「女王陛下。王室補佐官アレクシス殿、到着されました」

 侍従の声。ロランだ。いつも通り正確で、感情の温度が少ない。

「通して」

 扉が開き、アレクシスが入ってくる。  王太子の衣装を脱いでから、彼は少し軽く見えるようになった。軽いのに、目の奥が重い。自分の立ち位置を毎日測り直している目だ。

「おはよう、セレス」

「おはよう。見た?」

 私は紙束を示した。 
 アレクシスは一礼し、内容を一目で追う。読む速度が速い。穏便の人間だと思っていた頃、私はこの速さを見落としていた。

「……予想通りだね」

「嫌な予想ほど当たる」

 アレクシスは、紙の端を指で軽く叩いた。

「反対派は怒鳴らない。反対派は“支える”を装って、握る」

「握りたいのは権力じゃなくて、私の手綱」

「うん。女王単独は、彼らにとって“余白”なんだ」

 余白。 
 紙の余白は、勝手に書き足される。
  だから私は、余白の使い方を先に決めなければならない。

 ルーナが小声で言った。

「セレス様……これ、受けないとどうなりますか」

「受けないと?」

 私は少し考えて答える。

「彼らは言う。『女王が協議を拒んだ』って。拒んだこと自体が、根拠になる」

 アレクシスが頷く。

「受けても、受けなくても、道具にされる。だから、受ける形で“縛る”のが一番いい」

 私は彼を見た。

「縛る?」

「評議会を作るなら、権限を空にする。空にした上で、透明にする」

 透明。 
 それは、私が一番嫌われる手段だ。
  汚れたものは光が嫌いだから。

 私は椅子から立ち上がった。

「議会へ行く」

「今?」

「今。書類は生き物。放っておくと増殖する」

 ルーナが慌てて立ち上がる。

「準備を……!」

「要らない。今日は冠じゃなくて紙で行く」

 アレクシスが、ほんの少しだけ笑った。

「それ、君らしい」

 *

 議会の廊下は、静かすぎた。 
 嵐の前はいつだって静かだ。音がないのに、空気だけが擦れる。

 議長室に入ると、議長は深く頭を下げた。礼儀は完璧。完璧な礼儀は、距離でもある。

「女王陛下。ご足労を……」

「提案を受け取った。確認したい」

 議長の隣には、数名の貴族が控えていた。 
 顔は穏やか。声も穏やか。穏やかすぎて、腹が冷える。

 老貴族が柔らかく言う。

「陛下を支えるための仕組みでございます。空席は……皆、不安なのです」

 私は頷いた。

「不安は分かる」

 その言葉に、彼らの肩が少し緩む。
  “同意した”と思ったのだろう。

 私は続けた。

「だから、形にする。形にするなら、責任の形もセットにする」

 老貴族の眉が、わずかに動いた。

「責任、ですか」

「ええ。評議会が“支える”なら、誰が何を支えたか残す必要がある」

 私は机の上に、別の紙束を置いた。  ルーナが準備していたものだ。彼女は私がそうするのを分かっていた顔をしている。

『王政補佐評議会運用規程(案)』

 議長が目を見開く。

「陛下、それは……」

「受けると言っていない。整えると言っている」

 私は淡々と告げた。

「評議会は設置していい。ただし――」

 私は一条ずつ、指で示す。

「決裁権は持たない。助言のみ。緊急時の暫定決裁権は削除。代わりに、緊急時は“女王の単独決裁”を許可する。その代わり、二十四時間以内に議会へ報告、記録官の署名付きで公開」

 ざわめきが走る。 
 “公開”の二文字が、喉に刺さった音。

 若い貴族が言う。

「陛下、それでは評議会の意味が――」

「意味はある。助言の意味。責任を分散する意味じゃない」

 私は視線を上げる。

「“支える”の名で責任を曖昧にする仕組みは、国を腐らせる。私はそれを止める」

 老貴族が、少しだけ声の温度を落とした。

「陛下は、議会を信用しておられないのですか」

 私は即答しなかった。 
 信用と制度は別だ。信用は感情で揺れる。制度は揺れないように作る。

 アレクシスが一歩前に出た。

「信用の話ではありません。再発防止です」

 貴族たちの視線が、彼に刺さる。
  王太子だった男が、王配でもないのに前へ出る。それ自体が癇に障るのだ。

 貴族の一人が、皮肉っぽく言った。

「王室補佐官殿は、どの立場で物を言う?」

 アレクシスは、少しだけ息を吸った。 
 逃げない目になっている。

「橋の立場です」

 その答えに、場が一瞬静まった。

「命令は出せません。決裁もできません。だからこそ、記録と手続きが通る“順番”を整えられる」

 彼は穏やかに、しかしはっきり言う。

「評議会が必要だと言うなら、必要な形にしましょう。権力を置かない形に」

 私は頑張りすぎない声で補う。

「空席は欠陥じゃない。権力を置かないための設計」

 議長が咳払いをし、紙をめくった。  彼らは読む。読むふりではなく、読む。言葉の刃を測っている。

 私は最後に、一行を指で叩いた。

「議事録は、匿名の要約じゃなく“発言者名付き”。賛否も記す。欠席理由も記す。出席率の低下は、政治として扱う」

 若い貴族の顔色が変わる。 
 “何もしない”という抵抗が、記録されてしまうからだ。

 私は穏やかに言った。

「反対なら反対でいい。意見は出して。出さないなら、出さないと残るだけ」

 老貴族が、静かに笑った。

「陛下は、厳しい」

「厳しくない。戻しているだけ」

 私は答えた。

「仕組みを、責任が見える位置へ戻す」

 *

 王城へ戻る馬車の中で、ルーナが小さく息を吐いた。

「セレス様……今の、怖かったです」

「うん。怖いよ」

 私は窓の外を見た。 
 人は歩いている。荷が運ばれている。
 王都は何も知らない顔で動いている。

「でも、怖いところに線を引かないと、怖いことが繰り返される」

 アレクシスが、膝の上で手を組んだまま言う。

「今日の返しで、反対派は次の手を考える。評議会を“空”にされたからね」

「空の器は、別の液体を注がれる」

「うん。だから先に器を割らずに、器の置き場所を固定する」

 私は彼を見る。

「置き場所?」

「評議会を議会側の器にする。王宮に置かない」

 その言葉で、私の背中が少し冷えた。

「……王宮内に置かれたら、また穴になる」

「そう。王宮は外から見えない。見えない器は腐る」

 馬車が城門をくぐる。 
 石の匂い。冷たさ。王城の匂いは、いつだって嘘に優しい。

 執務室に戻ると、ロランが待っていた。

「女王陛下。こちらを」

 差し出されたのは、決裁待ちの束。  表紙に、細い字でこう書かれている。

『緊急予算執行の承認保留について』

 私は目を細めた。

「……始まってるね」

 ルーナが覗き込み、顔色が変わる。

「形式は整ってるのに、止まってる……」

 干ばつ。 
 水をせき止めて、作物を枯らすやり方。

 アレクシスが低く言った。

「反対派は声を上げない。手を動かさない。それが一番、綺麗で、一番汚い」

 私は机に手を置いた。 
 冷たい木が、掌に現実を返す。

「なら、こちらも“声”じゃなく“手”で返す」

 私はロランを見る。

「ロラン、記録官を呼んで。あと監査官代理マルセル卿も」

「かしこまりました」

 ロランが出ていく。 
 私はペンを取った。

「承認保留の理由、ここに書かせる。担当者名付きで。『誰が止めたか』を可視化する」

 ルーナが頷いた。

「はい……!」

 アレクシスが言う。

「それをやると、彼らは“別の理由”を持ってくる。安全保障だとか、儀礼だとか」

「持ってきていい。理由が増えるほど、手が見える」

 私は紙に線を引く。 
 赤い線ではない。ここでは黒だ。黒は残る。残って、後で刺さる。

 その時、窓枠に小さな音がした。

 カツン。

 ルーナが息を呑み、私を見る。 
 私は立ち上がって窓をほんの少し開けた。

 紙片が滑り込む。 
 手癖の悪い字。短い言葉。

『評議会、王宮内の“総務局”に置く案が裏で回ってる。中立地帯を巣にする気だ。あと、港で回ってる通達、ミレイアの名。偽物。早い』

 胸の奥が、冷たくなる。

 ミレイアの名。 
 彼女が遠くへ行ったはずの名前が、また道具にされる。

 私は紙片を握りしめた。 
 紙は柔らかいのに、拳の中で硬く鳴る。

 ルーナが小さく言った。

「セレス様……妹君に、知らせますか」

「知らせない」

 即答した自分の声が、少しだけ怖い。 
 でも私は続ける。

「知らせたら、また檻になる。彼女は今、自分で歩いてる。私は――」

 私は息を吸った。

「私は、見えない形で守る」

 アレクシスが静かに言う。

「総務局案は危険だ。王宮の中立地帯に評議会を置いたら、誰の責任でもない場所が増える」

「増やさない」

 私はペンを置き、ルーナを見る。

「ルーナ、今日中に“総務局の管轄再定義”を起案する。中立地帯をなくす。なくして、責任を割り振る」

「はい」

「アレクシス」

「うん」

「議会へ根回しじゃない。根回しは誤解される。……“手続きの説明”をして」

 彼は、少しだけ笑った。

「橋の仕事だね」

「そう。橋は、落ちないように作る」

 私は窓の外を見た。 
 王都の灯りが点き始めている。 
 あの灯りの中には、誰かの咳がある。誰かの怒鳴り声がある。誰かの沈黙がある。

 評議会という名の手が、空席へ伸びてくる。 
 その手は怒っていない。泣いてもいない。 
 ただ、慣れた動きで、こちらの自由を測っている。

 私は、その手を切らない。 
 切れば血が出る。血は混乱を呼ぶ。
  私は違う。

 私は、手の届く距離を決める。 
 届かない場所を、制度で作る。

 机の上の紙に、私は新しい一行を書き足した。

 ――「王宮内管轄空白の解消」。

 空席は、空のままでいい。 
 でも、穴は空けない。

 握られる前に、握り返さずに、形を変える。

 その夜、私は眠らなかった。 
 眠れなかったのではなく、眠らなかった。

 干ばつの国に、水路を引くには――  静かな手が必要だから。
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