3 / 20
第3話 冷たい城と無愛想な主
しおりを挟む黒曜石を積み上げて夜にしたみたいな城だった。近づくほど、壁は星のない空を切り取った鏡みたいに私たちを拒み、門は溶けない氷の牙を思わせた。風が吹くたび、尖塔の先で鈴のような低音が鳴る。それは多分、雪と金属のこすれ合う音。けれど耳には、遠い獣のうなりにも聞こえた。
「……帰ってきた」
カインが低く呟く。声は石に吸われ、城は沈黙を返すだけだ。
門が開く。鎖のきしむ音が、背骨にさざ波を立てた。中庭に踏み入れると、白い雪は急に薄くなり、代わりに黒い石畳が現れる。整っているのに、どこか荒れている。誰かが住んでいるのに、長く不在だった気配。空気は冷たいのに、古い焚き火の匂いが残っていた。
最初に姿を現したのは、角の短い青年だった。青灰色の皮膚に銀の耳飾り。瞳は縦に細く、猫を思わせる。
「……主様?」
その視線が、すぐ私に刺さる。警戒の匂いは、言葉より先に肌で伝わる。
「人間だ」
「主様、人間を連れて来られたのですか」
次に現れたのは、翼を畳んだ女。黒い羽の隙間から、細い指が覗く。彼女も一瞬で私を測った。上から下まで。靴の薄さ、外套の擦り切れ、髪に残る霜。全部、弱さの目印。
「主様、城が汚れます」
刺々しい声。私は微笑んだ。たぶん、うまくは笑えていない。
「掃除、得意です」
女の眉が冷たく跳ねた。「は?」
「掃除、します。あと、料理も。人の口に合うかはわかりませんけど」
「人の口、ね。ここに“人”の口はないわ」
「口は口です。お腹は、お腹です」
彼女の喉がひく、と動いた。笑いを飲み込んだのか、怒りを呑んだのか。判断がつかない。
「こいつは、俺の客だ」
カインが面倒そうに言う。その言い方は、護りよりも、放り出すのに近い響きだったのに、不思議と空気は少し和らいだ。彼らにとって「主が言った」は、最初の壁になる。
「客だと? 人間を?」
「文句があるなら、霧に訊け」
彼の視線が私をよぎる。命綱みたいに一瞬だけ絡んで、すぐ離れる。私は頷いた。命綱は細くても、あるだけで違う。
城の内部は、外から見えるより広かった。黒曜の壁は光を飲み込み、廊下の松明は小さな島のように揺れる。踏みしめる床は固く、音は思ったより響く。誰のものか知らない足音が重なって、歴史は層になる。
「この部屋を使え」
通されたのは、南の塔の一角。背の低いベッドと、小さな暖炉、扉の外には水場。窓は狭く、空は細く切り取られている。寝具は冷たいが、潔癖ではない。使われていない時間の匂いがする。
「十分です。ありがとう」
振り返ると、カインはすでに扉から半身を出していた。去ることを先に決めている足どり。
「あの、カイン」
彼の肩が、わずかに止まる。
「お世話になります」
「世話はしない」
「じゃあ、お邪魔します」
「……勝手にしろ」
扉が、音も立てずに閉じた。残された部屋の寒さが、改めて骨まで届く。私は息を吐き、袖を捲り、まず窓を開けた。冷気が雪崩れ込み、背中まで刺す。だけど、空気を入れ替える必要があった。外の冬を連れてきて、内側の冬を追い出すみたいに。
埃は少ない。けれど、手の届かないところの隅に、薄い膜が張っている。布を濡らし、拭う。拭くたびに、布は灰色を増していく。窓の桟、暖炉の縁、ベッドの下。手を動かすのは、考えるのをやめるのにちょうどいい。
掃除をしている私を、誰かが見ていた。振り向くと、廊下の影に角の青年が立っている。腕を組み、壁にもたれて。
「人間、何してる」
「侵入者の常套手段。まず足場固め」
「冗談でごまかすな」
「じゃあ、掃除と整頓。住むには、まずここから」
青年――あとでガルドだと知る――は鼻を鳴らす。
「城には下働きもいる。お前の仕事じゃない」
「生き残るには、私の仕事です」
「ふん」
去っていく。去り際に、一瞬だけ視線がベッドに落ちた。布団の薄さ。私の薄さ。その二つの薄さは、同じ匂いがする。
掃除がひと段落すると、今度は食事。台所は広いのに、人の手の温もりが少ない。鍋は重いものばかり、包丁は刃こぼれが多く、香辛料の瓶はやたらと充実している。塩、黒い粉、赤い粉、見たことのない青い粉……。
「素材は?」
台所の隅で、羽の女――レアが脚を組んで座っていた。観察と警戒の混ざった目。
「倉庫を見なさい。肉は凍ってる。根菜は辛抱強い。穀は硬い。人間の胃は弱いんでしょう?」
「弱いです。でも、弱いから工夫します」
「ふうん。人間の工夫ね」
倉庫は冷たかった。床に敷かれた黒い石は霜を孕み、息が白く膨らむ。吊るされた肉は獣の匂いと鉄の匂い。樽には芋のような根菜、黒褐色の穀。私は指で硬さを確かめ、鼻で香りを嗅いだ。香りは、うっすら土と甘み。使える。
台所に戻り、火を起こす。火打石が乾いた音をたて、麻の繊維が火種になる。薪に移し、炎が小さく喉を鳴らす。音があたたかい。それだけで、指の震えが少し治まる。
「スープにします」
「つまらない」
「生きるのは、だいたい、つまらない繰り返しの集合体です」
「詩人ぶらないで」
「事実です」
鍋に水、根菜を切って放り、乾いた肉を刻んで炒める。香辛料はほんの少し。黒い粉を指先に付け、舌の上で確認する。苦味のあとに、じわっと温かさが広がる。辛さは後から。赤い粉は即効性、青い粉はどうやら清涼。黒と赤を少しずつ。塩は最後。
煮えていく匂いが、石の台所に滲む。レアの鼻孔がわずかに広がる。ガルドがいつのまにか戻ってきて、鍋を覗き込む。二人の視線が、鍋の表面で丸く会う。
「味見、します?」
「毒は?」
「入ってません」
匙に掬って差し出す。ガルドは露骨に躊躇い、レアが先に口へ運んだ。羽根がわずかに震える。
「……食べられる」
「それは褒め言葉?」
「人間のわりに、という意味」
「十分です」
スープは大鍋いっぱいにして、兵の食堂へ運んだ。最初は誰も近づかない。人間の作ったもの、というラベルは便利に恐怖を煽る。私は鍋の前に立ち、よそい、置いた。湯気が立ち上る。匂いは正直だ。腹が鳴る音が、あちこちでこっそり響いた。
最初の一杯を手にしたのは、小さな角の少年だった。両手で椀を持ち、舌を火傷しないように息を吹く。啜る。目が丸くなる。彼は私を見て、何か言いかけ、やめた。代わりに、二杯目を催促する視線だけ投げた。私は頷く。そうやって、少しずつ鍋は減っていく。警戒は消えない。でも、空腹はもっと誠実だった。
台所の片隅で、カインが壁にもたれていた。いつからいたのかわからない。気配だけを残し、影に溶けるのが上手い。彼は鍋ではなく、私の手元を見ていた。手の動き、火の扱い、塩を摘む指先の癖。見られている感覚が、背中に細い針みたいに刺さる。嫌ではない。むしろ、私を繋ぎ止める微かな糸だった。
「……お前」
不意に呼ばれて、私は顔を上げた。銀の瞳が、熱の揺らぎの向こうで細められる。
「目的は?」
台所の音が一瞬止まった気がした。レアの羽音、ガルドの匙の触れ合う音、兵たちの沈黙。その全部が、彼の一言の後で、薄い膜をかぶる。
「生きること」
私は答えた。即答だった。用意したというより、床から突き上げてきた言葉を、そのまま口に置いただけ。
カインは瞬きを一つ。銀の中に、わずかな皺のような揺れが走る。嘘を探す目だ。私は視線を逸らさない。目は、時々、正直より強い。
「生きる、ね」
「はい」
「生きるために、城を掃除し、鍋をかき回し、俺の世界に匂いをつけるのか」
「匂いは、すぐ消えます。掃除も、すぐ汚れます。食事は、すぐ空になります」
「虚しい」
「だから、繰り返すんです。空くから、満たす。汚れるから、拭く。冷えるから、火をつける。それが、私の“生きる”のやり方」
彼の唇が微かに動いた。笑いではない。反論でもない。思考の筋肉が動く音、に近い。
「人間は、忙しい」
「忙しくしてないと、沈むから」
「沈めばいい」
「沈むのは、嫌いです」
沈黙が、ひと呼吸ぶんだけ濃くなった。やがて、彼は視線を鍋に落とし、椀を取った。誰かが息を飲む音。カインが“食べる”という行為を、部下たちはおそらくめったに見ないのだろう。彼はスープをすくい、ひと口飲む。喉が上下する。首筋の筋肉が、ほんの少しだけ緩む。
「……悪くない」
その一言が、台所に残っていた尖りをひとつ、無言で丸くした。レアが肩をすくめ、ガルドが鼻で笑う。兵たちは黙って、二杯目に列を作る。列の並び方が、さっきより少しだけ柔らかい。
私は鍋の底を木杓子で探りながら、胸の奥で小さく息を吐いた。安堵ではない。勝利でもない。今夜を越えるための、ささやかな手応え。明日になれば、またゼロから積むことになる。それでも、今は、これでいい。
夜、部屋に戻ると、暖炉に小さな火が入っていた。誰が、と考える前にわかった。カインだ。彼は気づかれないように、誰にも気づかせないように、そういうことをする。火の加減は不格好で、薪の置き方も荒い。けれど、火は火だ。私は手をかざし、指先を温め、外套を脱ぐ。
ベッドに腰掛けると、扉が軽く叩かれた。開けると、ガルドが立っていた。手には粗末な布袋。
「これ、貸す」
「なに?」
「城の予備の毛布。人間は寒いだろ」
「ありがとう」
「礼は要らない。主様が凍られたら困るだけだ」
「私、凍っても、主様は凍りません」
「……理屈は嫌いだ」
ぶっきらぼうに置いていき、彼はすたすたと去った。廊下の向こうで、レアの羽がひらりと揺れる。目が合う。彼女は何も言わず、少しだけ顎をしゃくった。多分、挨拶だ。多分。
毛布を広げる。重い。重さは安心だ。重いものに包まれると、体の輪郭が思い出せる。私は毛布を肩にかけ、机の上に指輪を置いた。薄金の輪は、火の色を曖昧に跳ね返す。ここに置いておくのは危険かもしれない。けれど、持ち歩くのも危険だ。危険は、どこにでもある。なら、ここでいい。
窓の外で、雪が静かに降り始めた。黒曜の壁を白が縁取り、夜は深くなる。私は目を閉じ、耳を澄ませる。遠くで兵の笑い声。台所で鍋を洗う音。廊下を行く足音。塔の上で風が鳴る低音。そして、もっと遠くで、霧がどこかへ流れていく気配。
扉の向こうに、もう一つの気配が立った。ノックはない。沈黙のまま、扉の前に立ち、そして去る。カイン。用事があったのか、なかったのか。彼は、時々、確認しに来る。世界がまだここにあるか。私がまだ、ここにいるか。
火が落ちる前に、私はベッドに潜り込んだ。毛布の重さに、体がやっと自分の重さを思い出す。目が熱い。泣かない。泣くのは簡単で、難しい。今日はどちらでもない。眠る。
翌朝、私は夜明けより少し早く起きた。台所へ向かう廊下で、窓の外が微かに青い。黒曜の壁に青が載ると、海の底を歩いている気持ちになる。私は肩を回し、息を吐いて、昨日の続きに手を伸ばす。火を起こし、湯を沸かし、鍋をかける。今日のスープは少しだけ違う。昨日の残りに、別の根菜を足し、塩を控えめに。繰り返しの中に微かな変化を入れる。それが、飽きと摩耗への抵抗。
湯気が立ち上る頃、背中に視線の気配。振り向くと、カインが立っていた。今日の彼は、いつもより少しだけ近い。壁にもたれていない。立っている、というだけ。それだけで、距離は変わる。
「茶葉は」
唐突な質問。
「倉庫で少し。質は、よくない」
「あるのか」
「あります」
「淹れられるか」
「淹れられます」
「……後で」
「はい」
彼はそれ以上何も言わず、視線を鍋に落とし、すぐ引き上げた。背中を向ける前に、ほんの一瞬だけ、私の手元を見た。火の加減、鍋の沸き、匙の回り方。見られている、と感じるほどの長さじゃない。けれど、感じた。感じるのに十分な一瞬。
朝食の配膳が終わる頃、レアが肩越しに囁いた。
「人間。あなた、何者?」
「元・聖女。今・雑用」
「ふふ。正直者ね。うちに向いてるかも」
「それは、褒め言葉?」
「皮肉半分、期待半分」
期待、という言葉は、薄い刃物みたいに鋭い。触れると切れる。けれど、刃の光は美しい。私はうなずく。
廊下の端で、ガルドが訓練の準備をしている。剣が石に触れて「きん」と鳴る。その音は、目を覚ますのにちょうどいい。私は一杯のスープを持って、塔の階段を登った。最上階の小さな踊り場は、風が抜ける。冷たい空気に胸が洗われる感覚。
そこに、彼はいた。黒曜の手すりにもたれ、遠くの雪原を見下ろしている。背中が大きい。孤独は、背中の形に宿るのだと思う。
「朝です」
彼は振り向かない。私は彼の隣に立ち、スープを差し出した。受け取らず、薄い沈黙が一枚落ちる。
「目的は、変わらないか」
彼の言葉は、空の色に似ていた。淡いのに、深い。
「はい」
「生きる、か」
「生きる」
「俺の城で」
「はい」
「俺の目の届くところで」
「はい」
そこでやっと、彼は私の方を見た。風が彼の髪を揺らし、銀の瞳が朝の青を切り取る。私は、その視線を受け止める。恐れはある。けれど、嘘はない。
「なら、勝手にしろ」
「いつか、それ、許可に聞こえる日が来ます」
「馬鹿げてる」
「たぶん」
彼が視線を逸らす。遠くで黒い霧が、まだ細く揺れていた。世界の端に、汚れが残っている。その汚れは、すぐには消えない。だから、火を絶やさない。鍋をかき回す。床を拭く。茶を淹れる。呼吸をする。生きる。
彼が椀を受け取り、ひと口飲む。湯気の向こうで、顔がわずかに和らぐ。そこに、言葉はいらない。いらないことの中に、確かなものが多い。
私は踊り場に、彼のための小さな約束を置いた。
――今日も、あなたの世界に、湯気が昇りますように。
それだけで、しばらくは十分だった。
0
あなたにおすすめの小説
役立たずと追放された聖女は、第二の人生で薬師として静かに輝く
腐ったバナナ
ファンタジー
「お前は役立たずだ」
――そう言われ、聖女カリナは宮廷から追放された。
癒やしの力は弱く、誰からも冷遇され続けた日々。
居場所を失った彼女は、静かな田舎の村へ向かう。
しかしそこで出会ったのは、病に苦しむ人々、薬草を必要とする生活、そして彼女をまっすぐ信じてくれる村人たちだった。
小さな治療を重ねるうちに、カリナは“ただの役立たず”ではなく「薬師」としての価値を見いだしていく。
追放された令嬢、辺境の小国で自由に生きる
腐ったバナナ
ファンタジー
宮廷で「役立たず」と烙印を押され、突如として追放された令嬢リディア。
辺境の小国の荒れた城跡で、誰の干渉もない自由な生活を始める。
孤独で不安な日々から始まったが、村人や兵士たちとの触れ合いを通して信頼を築き、少しずつ自分の居場所を見つけていく。
やがて宮廷ではリディア不在の混乱が広がり、かつての元婚約者や取り巻き令嬢たちが焦る中、リディアは静かに、しかし確実に自身の価値と幸せを取り戻していく――。
【完結】人々に魔女と呼ばれていた私が実は聖女でした。聖女様治療して下さい?誰がんな事すっかバーカ!
隣のカキ
ファンタジー
私は魔法が使える。そのせいで故郷の村では魔女と迫害され、悲しい思いをたくさんした。でも、村を出てからは聖女となり活躍しています。私の唯一の味方であったお母さん。またすぐに会いに行きますからね。あと村人、テメぇらはブッ叩く。
※三章からバトル多めです。
宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです
ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」
宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。
聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。
しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。
冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。
本物の聖女じゃないと追放されたので、隣国で竜の巫女をします。私は聖女の上位存在、神巫だったようですがそちらは大丈夫ですか?
今川幸乃
ファンタジー
ネクスタ王国の聖女だったシンシアは突然、バルク王子に「お前は本物の聖女じゃない」と言われ追放されてしまう。
バルクはアリエラという聖女の加護を受けた女を聖女にしたが、シンシアの加護である神巫(かんなぎ)は聖女の上位存在であった。
追放されたシンシアはたまたま隣国エルドラン王国で竜の巫女を探していたハリス王子にその力を見抜かれ、巫女候補として招かれる。そこでシンシアは神巫の力は神や竜など人外の存在の意志をほぼ全て理解するという恐るべきものだということを知るのだった。
シンシアがいなくなったバルクはアリエラとやりたい放題するが、すぐに神の怒りに触れてしまう。
婚約破棄されたら、実はわたし聖女でした~捨てられ令嬢は神殿に迎えられ、元婚約者は断罪される~
腐ったバナナ
ファンタジー
「地味で役立たずな令嬢」――そう婚約者に笑われ、社交パーティで公開婚約破棄されたエリス。
誰も味方はいない、絶望の夜。だがそのとき、神殿の大神官が告げた。「彼女こそ真の聖女だ」と――。
一夜にして立場は逆転。かつて自分を捨てた婚約者は社交界から孤立し、失態をさらす。
傷ついた心を抱えながらも、エリスは新たな力を手に、国を救う奇跡を起こし、人々の尊敬を勝ち取っていく。
【完結】婚約破棄された令嬢が冒険者になったら超レア職業:聖女でした!勧誘されまくって困っています
如月ぐるぐる
ファンタジー
公爵令嬢フランチェスカは、誕生日に婚約破棄された。
「王太子様、理由をお聞かせくださいませ」
理由はフランチェスカの先見(さきみ)の力だった。
どうやら王太子は先見の力を『魔の物』と契約したからだと思っている。
何とか信用を取り戻そうとするも、なんと王太子はフランチェスカの処刑を決定する。
両親にその報を受け、その日のうちに国を脱出する事になってしまった。
しかし当てもなく国を出たため、何をするかも決まっていない。
「丁度いいですわね、冒険者になる事としましょう」
剣の腕が強すぎて可愛げがないと婚約破棄された私は冒険者稼業を始めます。~えっ?国が滅びそうだから助けに戻れ?今さら言われてももう遅いですよ~
十六夜りん
ファンタジー
公爵家の令嬢シンシアは王子との婚約が決まっていた。式当日、王子が告げた結婚相手はシンシアではなく、彼女の幼馴染イザベラだった。
「シンシア、君の剣の腕は男よりも強すぎる。それは可愛げがない。それに比べ、イザベラは……」
怒り、軽蔑……。シンシアは王子に愛想がつくと、家と国を追われた彼女はその強すぎる剣の腕を生かし、冒険者として成り上がる。
一方、その頃。シンシアがいなくなった国では大量の死霊が発生し、滅亡の危機にひんして……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる