妹に全部取られたけど、幸せ確定の私は「ざまぁ」なんてしない!

石のやっさん

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第三話 まだ愛は始まっていません 二人が心配です。 加筆(性格面の追加)

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事件の事を衛士が伝えたのか、いきなり宰相のユーラシアン様、それにお父様、ドリアーク伯爵様にオルド―伯爵様達貴族がなだれ込むように入ってきました。

だが、もう遅いです...既に全てが終わってしまった後ですからね。

「婚約破棄とは何事だ?」

お父様とドリアーク伯爵様は大声をあげています、そりゃそうですよ、家所か家族の誰にも話さず勝手に婚約破棄したら怒られるのは当たり前ですよ~

「たった今、マリアとの婚約破棄をして新たな婚約者にロゼを指名しました」

恰好をつけてフリードは言っていますが...それがどれ程の意味を持つのか知らないのでしょうね、貴族同士の婚姻は、家同士の重要な繋がりなんだから、それを勝手に変えて問題だにならない訳は無いのに。


「フリード...それは正式な言葉として発してしまったのですか?」


言葉は丁寧ですがドリアーク伯爵様の目は笑っていません、腸が煮えくり返っているそんな所でしょうか?

「はい、父上貴族として正式な言葉として伝えましたが何か問題でも?」

ええっ確かにそう言いましたね...しかも王族である王子の前でですね。


「マ、マリア嬢ははそれを受けたのですか..」

ドリアーク伯爵様は真っ青になりながら聞いて来られました。

あそこ迄、他の貴族の前で言われたら、私だって面子はあります、受ける以外の選択肢はありませんよ。

「はい、しっかりと受けさせて頂きました...流石に【妹のロゼを新しい婚約者にする】とまで言われましたら受けざるを得ませんでした」

お父様を始め周りの人間は真っ青になり、誰も笑っていません。

そりゃそうですよね?

正式な婚約をああも見事に壊されたら家としてのメンツも無くなります。

特にドリアーク伯爵様は...死にそうな目をしています。

多分、これから賠償問題が起きるのでしょうから気が気じゃない、そんな所ですかね。

今日のパーティは貴族の子息女の為のパーティーでした。

その為【諫める大人の貴族】が居ませんでした...ですがまだ爵位が無いとはいえ貴族の家族の前での暴挙、どう考えても、これから起きることは決して軽い事では無いでしょうね。


私は...実はフリードの事をまだ、愛していませんでした。

これから時間を掛けて好きになる、そんな状態です。

貴族の婚約なんてそんな物です

だって、まだお話したり、一緒に散歩を数回したそれだけの仲です。

何故、妹のロゼはこんな馬鹿な事をしたのでしょうか?

何時もの様に「お姉ちゃん、フリード様を好きになっちゃったから頂戴」

そう言えば良かったのに...


そうすれば、かなり問題はありますが、本当に二人が愛し合っているなら、正式に婚約破棄をして、両家で話し合いからスタートそういう未来がありました。

それでも大変な事になりますが、今よりはマシな未来があった筈です。

それをこんな馬鹿な事したら...まぁ私には関係ありませんが、絶対に大事になりますよね。

後は、大人達の話し合いです、私達が口を挟んで良い問題では無いでしょう。

家同士の話し合いなのですから。

何故、ロゼはこんな馬鹿な事したのかな?

何となく、原因は解っています。

私とフリードが愛しあっている、そう思い悪い癖で欲しくなったのでしょう。

私が持っている物なら、何でも欲しがるのがロゼの悪い癖ですね。

素直に言えば良いのに...今なら私の気持ち的には、普通に譲れましたよ。

同じ事を言いますが【まだ愛してないのですからね】


お見合いしたばかりの人間を心から愛している...そうは言えませんよね。

これから時間を掛けてお互いが愛し合っていく、そんな時間です。

この状態はまだ私的には愛して無い状態です。


私は前世での恋愛スタイルは【馬鹿ップル】です。

何時も一緒に居て、暇さえあればイチャイチャして、抱き合い人目も気にしないでキスして、お揃いの服着て...同棲迄していました。

これこそが愛だとつい、前世の記憶があるせいで思ってしまいます。

これは貴族に転生してしまったからには諦めなければならないでしょうが、今の状態を心がまだ恋愛が始まっていない、そう言ってきます。

前世の恋愛に比べて貴族の恋愛は、贈り物を送ったり、偶にあってお茶する程度。

特にフリードの家は遠いから、文通と贈り物ばかり...お茶も多分4回しかしていませんよ、こんなのはやはり前世の記憶持ちの私には恋しているとは思えないのです。

こんなのは前世で言うなら、小学生ならいざ知らず、大人なら恋愛と言えない気がどうしてもしてしまいます。

恋愛が始まる前の状態だと思います。

「他に好きな人が出来たんだ」

「そうか、仕方ないね」

この程度の状態なら、こんな風に普通に別れられる状態ですよね...まぁOLなら、精々がやけ酒飲んで忘れて、あくる日には仕事していますよ。

会社は休めませんからね。

私は別に傷ついていません...そんな事より、今は自分の事より二人の事の方が遙かに心配です。



【義母ロザリーSIDE】


娘ロザリーとフリードが起こした事件の事を主人から聞いた。

「緊急事態だ、詳しい話は後だ」

そう言うと主人は、使用人に急ぎ馬車を出させた。

待っている間に普段、あんなに優しい主人が「まだ用意出来ぬのか!」と怒鳴りつけていた。

今起きている事を考えたら仕方ない。


私は本当に子育てに失敗したんだと思う。

今のロゼが昔見た嫌いな令嬢たちにしか見えなくなった。

この家には男の子がいない...だから、マリアと結婚した男性が婿に入り後を継ぐ。

これは当たり前の事なのに。

そしてロゼは結婚してこの家を出て行く、それは当たり前の事、それすらも解らなかったの?

本当に情けない。


『この我儘娘に、貴族の妻が勤まるのだろうか?』なんどそう思ったか解らない

『もう今更教育しても遅いかも知れない』いつもそう思っていた。

それでも『母親の私は諦める訳にはいかない』

そう思って教育してきたのに...

私の教育は間に合わなかった。

そう思うしかない。


まさかロゼがこんな馬鹿な事をするなんて、ここまで酷かったなんて想像もつかなっかった。


マリアの婚約が決まり、これからお返ししよう、そう思っていた。

相手はフリード『貴公子』のあだ名を持つ、なかなかの好青年。

今の私に恩返しとして出来る事は、マリアを結婚するまでの間に淑女にする事だ。

貴族の妻として充分な作法やマナーを自分が知る限り教えよう、それが私なりの恩返しそう考えた。

そう思った矢先に...こんな事件を起こすなんて。

私は目の前が暗くなった。

私は...殴りつけてもあの時ロゼを教育するべきだった。

あの場で、マリアから取り上げた物を返させ、ちゃんと謝らせるべきだった。

あの時の甘さが招いた事。

これは私のせいだわ。

幾ら後悔してもしきれない。




~『回想』~

今思えば『私はあの子から奪ってばかりだったわ』そして親子なのに部屋にはもう随分行ってないわね。

マリアが外出中にこっそりと見てみた、私やロゼが取り上げたからかなり物は無い筈だ。

不便のままにしたくない、返すなり、買い与えてあげないと。

だが、そこで見たマリアの部屋は想像を絶する物だった。

なんなのこの部屋は...本当に何も無い。

しいて言えば本はあるけど、あれはマリアの物でなくこの家の書物庫から持ってきた物だから『正確にはマリアの物』じゃない。

ベッドと机、寝具は元からあるから流石に豪華だが、それを除けば...使用人の部屋にすらこれ以下の部屋を探すのは難しいと思える程、本当に何もない。

クローゼットをあけて見たら、ドレスは4着しか無かった、しかもどれもが凄く質素な物ばかりだった。

宝石箱も...うん? なんでこんな粗末な物になっているの?

確かマリアが持っていたのは、私が買い与えた宝石を散りばめたオルゴール付きの物だった筈だわ。

しかも開けたら...中にあったのは指輪1個にネックレスが1個...嘘でしょう。

こんなの貴族の令嬢の持ち物じゃないわ。

貧乏子爵の娘の私でも、此処まで酷く無かったわよ。

私は此処までの事をしていない...これをやったのは1人しか考えられない『ロゼ』だ。


私はその足でロゼの部屋に向った。


「ロゼ?」

思わず目を疑った...なんなのこの部屋は、何から何まで揃っている。

いや、揃い過ぎている『豪華絢爛』とはまさにこんな状態の事を言うのだと実感したわ。

「どうかされたのですかお母さま」

「これは一体どういうことなの...貴方は一体何をやっているの?」

可笑しい、可愛い実の娘に対して『卑しい女』そんな事が頭に浮かんだ。

「ちょっと待って、お母さま何しているの」

私はロゼを無視して机を開けた。

可笑しな事に、豪華な万年筆や筆箱が幾つも出て来た。

どう考えてもこんなに持っている訳は無い。

同じ物が複数ある...

「良いから...黙りなさい」

そう言うと私はクローゼットから引き出しまで全部開いて中を確認した。

マリアの宝石箱にネックレスに指輪出てくる出てくる、本当にキリが無い位だ。

しかも物によっては同じ物が2つある物まである。

こんな事は思いたくない。

だが『卑しい』そんな一番嫌いな面を実の子が持っている。

そう思うと泣きたくなってきた。


「お母さん、何をしているの? 勝手に私の物を出さないで」

「これは貴方の物じゃないでしょう? 半分以上がマリアの物じゃない」

「だって、マリアお姉ちゃんがくれたんだもん」

本当にくれたとしても...なんて意地汚い子なのかしら、なんて卑しいの。

同じ物が幾つもある物まであるわ。

主人や私が、2人に買い与えた物まで2つとも持っている物が沢山ある...本当に意地汚い娘。

私は手をあげたくなるのを我慢して、静かに話した。

「あのね...流石に二つも同じ物は要らないでしょう? ドレスだってこんなには要らない筈よ」

「だけど、お姉ちゃんがくれたんだからお母さまは、関係ないでしょう」

「貴方が無理やり奪ったんじゃ無いの、知っているわ」

「お母さんだって前に同じことしていたじゃない」

確かに私も前にしていたわ、それを言われたらぐうの音も出ない。

だけど、それは悪い事だ、だからこれから返すつもりだ。

「確かにそうだったわ、だけど、それは悪い事なの!だからお母さんはこれから、返すつもりよ!」

「へぇーそうなんだ、マリアに返す位なら、私に頂戴よ!」

呆れて何も言えないわ。

「ロゼ、幾ら何でも怒るわよ、いい加減にしなさい」

「なんで怒られるのかロゼ解らない」

そうやって不貞腐れる顔はまるで、私が大嫌いな『あの令嬢達』そっくりだった。

一応、念の為、マリアに確認したら...本当にロゼあげていた。

マリアはどうしてなのか物欲が無い。

見ている私が歯痒くなる程に…

ある意味清貧、だけど子供らしくない。

私が、私が虐めたから、こうなってしまったの…

多分、私がマリアに返しても、ロゼがきっと取り上げる。

もう主人に相談するしかなかった。

「その話なら、マリアだってあげた物をとり返すのは不本意だろう、マリアには生活費を余分に与えて新たに買い揃えさせよう」

そういう話で決まった。

~『回想終わり』~

あの時、もっときつく処分するべきだった。

だが起きてしまった事はどうしようもない。

今の私には『マリアが傷ついてないように』そう祈る事しか出来ない。






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