たとえば勇者パーティを追放された少年が宿屋の未亡人達に恋するような物語

石のやっさん

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第23話  ちゃんと許可を得る

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「リヒト様、頼まれていた、カルミーさんの居場所です」

「ありがとう」

どうも雰囲気が可笑しい。

いつもはもう少し笑顔なのに何故か、能面顔の様に顔が引き攣きっている。

それに銀貨3枚の仕事なのに、ただ居場所しか書いていない。

近況の情報も「ケビンと離婚」とだけ書かれているだけだ。

こんなのはプロの仕事とは思えない。

「あの…文句を言いたい訳じゃないが、これが冒険者ギルドを通した仕事と言えるのか? 銀貨3枚の仕事とは思えないな…」

「はははっ、そうですよね…銀貨2枚お返しします」

意味が解らない。

ギルドが貰ったお金を返すなどあり得ないからな。

「まぁ良いよ…返金は要らない…それじゃ」

「あ、あの…」

「どうかしたのか?」

「いえ、何でもありません…」

変な対応だ…訳が解らない。

◆◆◆

しかし、カルミーさん離婚していたんだな。

ケビンさんとはオシドリ夫婦みたいに仲が良かったのに…

という事は未亡人か…

流石に旦那が居ない、未亡人に会うなら、ルミナスさんに許可を貰わないと不味いよな。

夫婦の家に遊びに行くなら問題が無いが、一人暮らしの未亡人の家に行くなら妻の許可は必要だよな。

俺は一旦家に帰りルミナスさんに相談する事にした。

◆◆◆

「どうかしたの? なんだか複雑そうな顔をして…」

「いや、ちょっと女性に会いに行きたくて…」

「あらっ、女性は私だけで良い…そんな事昨日まで言っていたのにもう浮気なのかしら…うふふふっそうよね、私おばさんだもんね、若い子の方が良いもんね…子供も産めないし…」

「いや、そう言うんじゃなくて…」

「そう言うんじゃないって、どう言う意味かしら?リヒトくん説明してくれるかな?」

流石に昨日の今日だけど、二人目、三人目を娶れって言って来たのはルミナスさんだよ…

それなのに目尻がぴくぴくしててなんだか怖いよ。

◆◆◆

「なんだ、カルミーに会いに行くんだ、私はてっきり若い子を見つけて、早速2人目…そう言う話だと思ったわ」

「いや、ケビンさんが居るなら兎も角、どうやら別れて1人で暮らしているみたいなんだよ」

「そう言えば、前に住んでいた家には居なくなっていたわね…それに随分長い事会っていない気がするわ。尤も宿屋と冒険者じゃ生活時間のずれがあるから、そのせいかも知れないけど…う~ん前に何時会ったか思い出せないな」

一応だが、ルミナスさんとカルミーさんは同じ街で暮らしているから幼馴染と言えなくもない。

尤も俺やカイト達の関係みたいにべったりと…とは違うようだ。

前世で言うなら文学少女タイプのルミナスさんに熱血スポーツ少女タイプのカルミーさん、一緒に遊んでいる姿は…うん想像もつかないな。

「一緒の街に居るルミナスさんが暫く会ってないんじゃ、此処のきたばかりの俺が会えないのは当たり前だね」

「そうね…所で、リヒトくんはカルミーもイケる口なのかな?」

「え~とどう言う事?」

「ほら、私おばさんじゃない? リヒトくんに2人目、3人目を『娶れ』って言ったけど、相手が若いと…ちょっとね。話も合わないと思うし、言ったあとでなんだけだ…若い子とイチャついているリヒトくんを見たら嫉妬しちゃうかな…そう思ったのよ」

「ルミナスさんでも嫉妬するんだ…少し見て…」

「こら…まさか私を嫉妬させるために若い子と付き合うとか言わないわよね?!」

うっ…怖い。

「そんな事…しないよ」

「そう、リヒトくんはしないよね?! まぁ良いわ、それで話を戻すけど…カルミーは殆ど私と同い年で、タイプは真逆…昔からの付き合いも長いし気心もしれているし、体も健康そうだから2人目に最適なのよ」

「最適と言われても、俺には半分姉さんみたいなものだし剣の師匠みたいなものだよ…そう言う目で見た事ないから解らないな」

「へぇ~私に嘘を言うんだ? 訓練中に胸とお尻に見惚れて木刀の直撃を受けていた男の子知っているんだけどな」

「ううっ」

「聞こえてないと思ったかな?『あの太腿エロ』とかも言っていた様な気もするわ…違ったのかな」

つい独り言をつぶやく癖が恨めしい。

「そうだね…だけど、それ恥ずかしいから余り言わないで」

「あらっ、私も良く『恥ずかしいからやめて』って言ってもリヒトくんやめてくれないよね…うふふふっだからやめてあげない」

「今度から気をつけます…」

「うふふっ冗談よ!ついリヒトくんが赤くなるのが可愛くて揶揄っちゃったわ…だけどねカルミーなら良いと言うのは本音なのよ…ほらっ私って人見知りするタイプだから、友達は少ないのよ…その少ない友達の一人がカルミーだから…ズバリ、カルミーなら丁度よいわ」


ルミナスさんに勧められるのは何だか複雑な気がする。

「そう、だったらカルミーさんを迎え入れたら…今、ルミナスさんとの夜の時間は6時間だけど…2人だと半分3時間位になるかな?」

なんかちょっと意地悪を言いたくなった。

「うふふっ駄目よ、私との時間はそのまま…若いんだから幾らでも出来るわよ」

「いや、だけど…」

「リヒトくん、何を言っているのかな? 最初の頃なんて殆ど寝ないで犯っていたじゃない? 3時間位足しても大丈夫だわ…きっと頑張れるわ」

流石に冗談だよな。

それになんで肉体関係ありきなんだよ。

「ルミナスさん飛躍しすぎだよ! 久々にお世話になった人に会いに行くだけだから」

「そうか…まぁ良いわ、カルミーなら、私は問題ないんだけどな…取り敢えず行ってらっしゃい」

「行ってきます」

こうして俺は複雑な気持ちで、カルミーさんの家に向かった。






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