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第10話 今夜は眠れない

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気がついたらもう夜だ。

この部屋にはベッドが一つしかない。

先程宿屋に確認したら大き目の部屋は埋まっていて空きがないそうだ。

宿屋と言いながらもこの世界では連泊する人間が多いから、半分マンスリーマンションに近い。

ベッド2つの部屋か2部屋ある宿を探さないとな。

だけど、とりあえず今日は…

「今日はそこのベッドを使ってくれ、俺はその辺りで寝るから」

「私、奴隷ですよ? 可笑しいじゃないですか!」

「女の子を床で寝させる訳にはいかないからな」

「ですが、私は化け乳…」

「その話はもう止めようか? 俺には凄く可愛い女の子にしか思えないから、それはもう説明しただろう?」

「確かにリヒト様から説明を受けましたが、どうしても信じられないんです…だって、リヒト様以外にそんな事言われた事が無いんですから…」

「他の人はもう良いんじゃないか? アイカはもう俺だけの者なんだから、俺が可愛いって言っているんだから、それで良くない?」

「そうですね…リヒト様がご主人様なんですから…はい」

まだ完全には納得していないみたいだ。

「だから、アイカみたいな女の子を床でなんて寝かせられないから」

「あの、リヒト様…胸の事はおいておいても、私奴隷ですよ…床で寝るなら私が寝ます…奴隷商では檻の中でしたし、その前は豚小屋でしたから、私にとっては此処の床でも…変わりません」

「それは駄目だ、何度も言うけど、女の子を床でなんて寝かせられない」

「あの…リヒト様は私が化け乳でも綺麗って言っていましたよね? それが本当なら一緒に寝れば良いじゃないですか…嘘ではないのですよね?」

「嘘じゃないけど…」

「嘘じゃないのなら良いじゃないですか?」

だけど、本当に良いのか?

まぁ良いんだよな。

「そうだな、そうしようか?」

「はい…」

果たして俺はこの状況で寝られるのだろうか?

この部屋のベッドは凄く小さい。

かなりくっついた状態になる。

「かなり狭いけど大丈夫か? やっぱり俺が床で寝ようか?」

「私は奴隷ですから…そういう訳にはいきません。あのリヒト様は本当に化け乳の私でも気にしないし、この『顔』が好きなんですよね!」

「まぁな」

その胸も物凄く好きなんだが言えないな。

「それじゃ、これでどうですか? 私の『顔』が良く見えますよ!ただ『化け乳』もあたるのは…ごめんなさい…」

アイカは俺の手を取ると自分の頭の後ろに回し俺の胸元に自分の顔を置いた。

所謂『腕枕状態』だ。

アイカの顔がすぐ傍にあって息遣いまでもが聞こえてくる。

耳を澄ますとお互いの心臓の音すら聞こえてくる。

その状況で大きな胸が押し付けられる様に俺に密着してくる。

確かに嬉しい。

確かに嬉しいがこの状態じゃ俺は…興奮して多分今夜は眠れない...と思う。






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