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第33話 宴会③ 魔族優しい
しおりを挟む「よっ、うむやはり主役は二人いた方がよいのぉ~エルダおば、いやお姉さん」
「ハーデル、今、おばなんとか言いかけなかった? リヒトくんの前で、怒っちゃおうかな~」
「エルダさんは凄く可愛くて綺麗だから気になんてする必要ないよ」
「いやだぁ~リヒトくんったらもう!」
「そう言えばエルダさんは『竜王ドラグキング』も知っているんだって?」
「うん、知っているよ? トカゲの王様の癖に『竜王』って名乗っている見栄っ張りさんだよね? 一応は友達かな? リヒトくんも友達になりたいの?」
「いや……トカゲの王様と知り合いなのにトカゲを狩っちゃって良いのかなって思ってね」
エルダさんは考えているみたいだ。
う~んとか聞こえてきて可愛い。
「それならね、大丈夫だよ! トカゲでも意思の疎通ができて話せるトカゲとそうじゃないトカゲが居てね、話が出来ないトカゲは狩っても文句はないってトカゲの王様が言っていたもん……うん、平気な筈だよ」
「そうなんだ……だけど本当に大丈夫?」
「多分、もしかしたら不味いかも知れないけど、トカゲの王様は優しいから文句は言わないと思う……私なんてトカゲのステーキ結構食べているもん」
「そう……そう言えば、エルダさんは本物の竜を知っているんだっけ?」
「知っていると言っても昔に見た事があるだけだよ! 物凄く大きくて凄いの! それに死ななくて宇宙を飛んで月迄飛んでいったり、本当の所は知らないけど、死の世界もその眷属が支配している。なんて話を聞いた事があるけど、本当の所は解らないよ」
「ドラグキングだって本当の姿は山の様に大きいって聞いたけど?」
「山位の大きな生き物なら沢山居るじゃない? 本物の竜は、山どころか国より大きいよ? 国どころか世界を滅ぼせるってお婆ちゃんから聞いたもん! だけど、それも納得だよ……あんなに大きいんだもん。確かに世界が滅ぼせそうな気がするよ」
ドラグキングって本当に山みたいに大きいって聞いたけど、それ位の生き物が沢山居るのかこの世界。
知らない事ばかりだな。
「ドラグキングみたいに大きな生き物っているんだ……」
「うん、特に海には沢山いるかな? 少し前にあったダゴちゃんって居たじゃない? あれは小さくなっているだけで本当の姿はトカゲの王様位の大きさ位はあるよ? 勿論、王様のリバちゃんはもっと大きいからね……リヒトくん、色々知りたいならもっと教えてあげるけど、折角だからご馳走食べない? このミートローフって料理凄く美味しいよ……ほら、ア―ンって」
「アーンって……モグモグ、本当に美味しいね」
「でしょう……それじゃリヒトくん、私も……」
「はい、アーンっ」
「モグモグ、ありがとう……」
「リヒトくん、本当にエルダお姉さんと仲が良いんだな?」
「本当にそうじゃな」
「俺の可愛い奥さんですからね……世界で一番愛していますから」
「リヒトくん……私も世界で一番愛している」
「エルダさん……」
「リヒトくん……」
確かにエルダさんは凄い人だって事は最近になって良く解った。
だけど、俺にとってはそんな事は関係ない。
何時までも『綺麗な憧れのお姉さん』で俺の大切な奥さん。
それ以外の何者でもない。
「やはり随分、仲が良いみたいだなハーデル!」
「そうですな、ルシファード様……」
「あら、いやだ本当に熱いですね……」
「そうだな、うん随分と仲が良い」
「まぁリヒトもエルダ……お姉さんと結婚してこんな熱々なんだ。もう魔族の身内みたいなもんだ。 困った事があったらこのダークコレダーに頼って来ても良いからね」
「勿論、我にもな、なんなら魔族領にくれば屋敷と小さな領地位ならやるから移り住んでこないか? まぁ飯は不味いが」
「どうしようか? リヒトくん」
「そうですね……考えておきます」
これじゃ、完全に魔族の身内だな。
しかし……魔族や魔王って思っていたのと全然違う。
俺の周りの人間より遥かに優しい。
そう思えるのは気のせいじゃないよな。
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