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スタンピート4
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その日の朝は、いつもと違っていた。
ライラロック王国ノルト男爵領で狩りの準備をしていたステファンは、森の方が騒がしい事に気づいた。
慌てて皆を呼び、準備をしながら相談をする事にした。
「今日はやけに魔物達が騒がしい。森で何かあったのかもしれない。」
「森…もしかすると、スタンピートが起こったのか?あの時騎士が確か言ってたよな?スタンピートを何とかしろと…。スタンピートが起こったとしたらこの人数では無理だ。」
「とりあえず、冒険者ギルドに話を聞きにいこう。何か聞いているかも知れない。」
皆無言で頷き、15人で冒険者ギルドに向かった。
冒険者ギルド内はいつもなら閑散としているのだが、今日は慌ただしかった。
「すみません。何かあったのですか?」
代表して、ステファンが話しかけるといつも対応してくれる受付嬢が話してくれた。
「アズライト帝国より、スタンピートが起こったと連絡が入りました。Bランク以上の冒険者達がその対応の為にこちらに向かってます。その受け入れ体制を整えている所です。ステファンさん達は、ランクが足りていない方も居られますが、強制依頼として参加になっております。強制依頼ですが、働いた分必ずお金は国から支払われます。魔物の解体はできないでしょうから、そのまま置いておいて貰ったら大丈夫です。その腕輪に記録されるようになっているそうです。後、このギルドは今から光属性の魔除け魔道具でバリアを張ります。そうなるとステファンさん達はここに入る事ができなくなります。…ステファンさん達はこれまで頑張ってこられたので、入れてもいいのではと掛け合ったのですが…国王陛下より許可が降りませんでした。申し訳ございません。ただポーション類をお渡しするのは許可は降りました。日々冒険者として働いていた者だけにと…。少しお待ちください。えーっと、これです。皆様の名前が書いてあると思います。そちらはマジックバックとなります。それぞれ本人にしか使えないようになっております。中のものを交換等はご自由にどうぞ。こちらから支援できるのはここまでです。必ず応援の冒険者達が駆けつけます。どうぞお気をつけて…。」
ステファン達は、マジックバックを受け取り、礼を言って冒険者ギルドを後にした。
「あの時言っていたスタンピートが起こったんだな。」
「あぁ、どうやらそうみたいだな。スタンピートが起こるなんて言われてもピンときてなかったんだがな…。」
「マジックバックを見てみろ。各ポーションに食料まで入っている。今までここで頑張った事を少しは認めてくれているようだ。」
「そうだな。あれだけの問題を起こしたのに、こうして助けてくれるなんて…。俺達は本当に愚かだったな。」
「あぁ、愚かだった。でも今は違う。スタンピートは確かに怖いが、今戦えるのは俺たちだけだ。俺達はまとまって動こう。連携していつまで続くか分からないスタンピートと戦うために、それぞれ少しでも休める様にしなければならない。」
「ああ。今どこで何しているか分からない元殿下やその周りにいる者、あとマリアも今の俺達には関係ない。とにかく、森の近くに基地を建てよう。そこに着くまでに魔物と遭遇したら各個撃破で。冒険者ギルドに言われたように死体はそのままで置いていく。これが俺たちが犯した罪への罰だ。行こう。」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
マリアside
どこからかアズライト帝国に抜けられると思っていたのに、森の中を必死で探しても何処からも行けなかった。
森の中にある果実で何とか食事をとり、今日こそは行けるかもと毎日バリアに向かって体当たりや蹴りを繰り返していた。
「何でよ!?この見えない壁みたいなの何!?私はヒロインよ!?この世界に必要な人物よ!!何なら国王より必要なのよ!?なのになにこれ?あの女の嫌がらせ?本当に腹が立つ!!」
その日もいつもと同じ様に暴言をはきながらバリアに向かって体当たりをしていた。
その時だった。
体当たりをしていたバリアの向こうから魔物が入ってきたのは…。
「は?向こうから魔物が?え?もしかして入れる…嫌だ…私は入れない。私逃げられないの?魔物なんて倒したことないよ…。大丈夫よ!私はヒロインだもの助けが……ぐっ…。」
必死で自分に言い聞かせていた時、魔物に攻撃を正面から受けマリアの体は宙を舞った。
そして次に襲ってきたのは地に叩きつけられた痛みだった。
「な、なんで…くっ…【ヒール】【ヒール】【ヒール】」
必死で自分にヒールをかけるが、中々痛みは消えない。
おかしい。
ゲームの私は魔法で簡単に治せていたはずだ。
なら何故今治らないの?
マリアは忘れていた。
自分が恋愛に夢中になり勉学や訓練を全くしてこなかったことを。
ゲームで出来ていた事は私もできて当たり前と軽く考え何も努力をしてきていなかったのだった。
必死でヒールをかけるマリアの近くに人影が見えた。
「ステファン!助けに来てくれたの?さすが「勘違いしないでください。私はギルドからの強制依頼を受けただけです。貴女もさっさと仕事をされてはどうですか?」は?仕事って何?魔物と戦えって?」
ステファンは近くの魔物を氷魔法で仕留めるとマリアに対して返事を返した。
「はいそうです。仕事は魔物を倒すことです。私達は王宮を追われてから伝えられましたよね?スタンピートが起こった時は対応するようにと。」
「言われたかも知れないけど、私攻撃何て出来ないわ!治療…そう回復魔法使えるから私を助けなさい!」
ステファンは苦笑した。
そして、冷めた低い声でマリアに伝えた。
「何故昔の私はこのような女に夢中だったのでしょうかね?マリア、私達に貴女は必要ない。先程見ましたがヒール1つもしっかりと発動出来ていないではないですか?私達にとって貴女は足手まといです。愛する元殿下の所にでも向かってはどうですか?私達はこれ以上話す事はありません。失礼。」
それだけ言い残すとステファン達15名はマリアの事を見向きもせず去っていった。
残されたマリアは、
「あんなこと言うなんて!!許さない!もし助けてって言われても助けないんだから!こうなったらライの所に行くしかないわね…。」
そう言ってマリアは身体を引きづりながら元殿下がいるはずの場所へと移動するのだった。
ライラロック王国ノルト男爵領で狩りの準備をしていたステファンは、森の方が騒がしい事に気づいた。
慌てて皆を呼び、準備をしながら相談をする事にした。
「今日はやけに魔物達が騒がしい。森で何かあったのかもしれない。」
「森…もしかすると、スタンピートが起こったのか?あの時騎士が確か言ってたよな?スタンピートを何とかしろと…。スタンピートが起こったとしたらこの人数では無理だ。」
「とりあえず、冒険者ギルドに話を聞きにいこう。何か聞いているかも知れない。」
皆無言で頷き、15人で冒険者ギルドに向かった。
冒険者ギルド内はいつもなら閑散としているのだが、今日は慌ただしかった。
「すみません。何かあったのですか?」
代表して、ステファンが話しかけるといつも対応してくれる受付嬢が話してくれた。
「アズライト帝国より、スタンピートが起こったと連絡が入りました。Bランク以上の冒険者達がその対応の為にこちらに向かってます。その受け入れ体制を整えている所です。ステファンさん達は、ランクが足りていない方も居られますが、強制依頼として参加になっております。強制依頼ですが、働いた分必ずお金は国から支払われます。魔物の解体はできないでしょうから、そのまま置いておいて貰ったら大丈夫です。その腕輪に記録されるようになっているそうです。後、このギルドは今から光属性の魔除け魔道具でバリアを張ります。そうなるとステファンさん達はここに入る事ができなくなります。…ステファンさん達はこれまで頑張ってこられたので、入れてもいいのではと掛け合ったのですが…国王陛下より許可が降りませんでした。申し訳ございません。ただポーション類をお渡しするのは許可は降りました。日々冒険者として働いていた者だけにと…。少しお待ちください。えーっと、これです。皆様の名前が書いてあると思います。そちらはマジックバックとなります。それぞれ本人にしか使えないようになっております。中のものを交換等はご自由にどうぞ。こちらから支援できるのはここまでです。必ず応援の冒険者達が駆けつけます。どうぞお気をつけて…。」
ステファン達は、マジックバックを受け取り、礼を言って冒険者ギルドを後にした。
「あの時言っていたスタンピートが起こったんだな。」
「あぁ、どうやらそうみたいだな。スタンピートが起こるなんて言われてもピンときてなかったんだがな…。」
「マジックバックを見てみろ。各ポーションに食料まで入っている。今までここで頑張った事を少しは認めてくれているようだ。」
「そうだな。あれだけの問題を起こしたのに、こうして助けてくれるなんて…。俺達は本当に愚かだったな。」
「あぁ、愚かだった。でも今は違う。スタンピートは確かに怖いが、今戦えるのは俺たちだけだ。俺達はまとまって動こう。連携していつまで続くか分からないスタンピートと戦うために、それぞれ少しでも休める様にしなければならない。」
「ああ。今どこで何しているか分からない元殿下やその周りにいる者、あとマリアも今の俺達には関係ない。とにかく、森の近くに基地を建てよう。そこに着くまでに魔物と遭遇したら各個撃破で。冒険者ギルドに言われたように死体はそのままで置いていく。これが俺たちが犯した罪への罰だ。行こう。」
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マリアside
どこからかアズライト帝国に抜けられると思っていたのに、森の中を必死で探しても何処からも行けなかった。
森の中にある果実で何とか食事をとり、今日こそは行けるかもと毎日バリアに向かって体当たりや蹴りを繰り返していた。
「何でよ!?この見えない壁みたいなの何!?私はヒロインよ!?この世界に必要な人物よ!!何なら国王より必要なのよ!?なのになにこれ?あの女の嫌がらせ?本当に腹が立つ!!」
その日もいつもと同じ様に暴言をはきながらバリアに向かって体当たりをしていた。
その時だった。
体当たりをしていたバリアの向こうから魔物が入ってきたのは…。
「は?向こうから魔物が?え?もしかして入れる…嫌だ…私は入れない。私逃げられないの?魔物なんて倒したことないよ…。大丈夫よ!私はヒロインだもの助けが……ぐっ…。」
必死で自分に言い聞かせていた時、魔物に攻撃を正面から受けマリアの体は宙を舞った。
そして次に襲ってきたのは地に叩きつけられた痛みだった。
「な、なんで…くっ…【ヒール】【ヒール】【ヒール】」
必死で自分にヒールをかけるが、中々痛みは消えない。
おかしい。
ゲームの私は魔法で簡単に治せていたはずだ。
なら何故今治らないの?
マリアは忘れていた。
自分が恋愛に夢中になり勉学や訓練を全くしてこなかったことを。
ゲームで出来ていた事は私もできて当たり前と軽く考え何も努力をしてきていなかったのだった。
必死でヒールをかけるマリアの近くに人影が見えた。
「ステファン!助けに来てくれたの?さすが「勘違いしないでください。私はギルドからの強制依頼を受けただけです。貴女もさっさと仕事をされてはどうですか?」は?仕事って何?魔物と戦えって?」
ステファンは近くの魔物を氷魔法で仕留めるとマリアに対して返事を返した。
「はいそうです。仕事は魔物を倒すことです。私達は王宮を追われてから伝えられましたよね?スタンピートが起こった時は対応するようにと。」
「言われたかも知れないけど、私攻撃何て出来ないわ!治療…そう回復魔法使えるから私を助けなさい!」
ステファンは苦笑した。
そして、冷めた低い声でマリアに伝えた。
「何故昔の私はこのような女に夢中だったのでしょうかね?マリア、私達に貴女は必要ない。先程見ましたがヒール1つもしっかりと発動出来ていないではないですか?私達にとって貴女は足手まといです。愛する元殿下の所にでも向かってはどうですか?私達はこれ以上話す事はありません。失礼。」
それだけ言い残すとステファン達15名はマリアの事を見向きもせず去っていった。
残されたマリアは、
「あんなこと言うなんて!!許さない!もし助けてって言われても助けないんだから!こうなったらライの所に行くしかないわね…。」
そう言ってマリアは身体を引きづりながら元殿下がいるはずの場所へと移動するのだった。
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