【完結】婚約破棄? 致しません!

水江 蓮

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結婚式前夜

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結婚式前夜、レティシアは庭にでてぼんやりと空を見上げていた。
そんなレティシアを見つけたアルバートが、

「レティ?眠れないの?」

そう声を掛けてきた。
レティシアは頷くと、アルバートは庭園のベンチに腰掛けるよう促した。
そして手を握り話しかけた。

「緊張しているのか?それとも結婚したくなくなった?」

「結婚したくないなんて言うはずがありません!私はずっとアル様の事を愛しています!…って…いや、あの、そうじゃなくて、少し幸せ過ぎて不安になっていたんだと思います。」

「幸せ過ぎて?」

「はい。私に前世の記憶があるって言いましたよね?私は物心ついた時から何かこの世界のものではない物について知っていて、5歳の時にハッキリ思い出しました。その後前世の記憶を使って何かしたかと言われたら、料理の知識を使ったぐらいなのですが…私もあのマリア様と同じように…消えることになるんじゃないのかなって…。この幸せな日々はある日急に消えてしまうんじゃないかなって…。私は幸せになっていいのかな?そう思ったら眠れなくなって…。」

レティシアはそう呟くと俯いた。
そんなレティシアをアルバートは強く抱きしめた。

「レティは消えたりしない。君は誰よりも努力してきたのを私は知っている。君がこの世に存在してはいけないはずがない。彼女と君は別の存在だ!レティが消えそうになったら私はそれに必死で抗う。決してレティを手放したりしないよ。」

そういうとレティシアの頭に軽くキスを落とした。

「私はここにいてもいいんですか?」

「ああ。逆に居なくなってもらっては困る。私の初恋で唯一無二の存在なのだから!君の友人達や仲良くなった冒険者達、それに君の家族だって君を大切に思っている。あの冒険者達の中にはレティに恋をしているヤツらがいるのは気に入らないが…皆レティシアにここに居て欲しいって思っているんだよ?レティが消えるなんてことになったらきっと皆私と一緒にそんな運命に抗うと思うよ?でもそんな未来は存在しない、いや存在させない。レティは安心して明日私の元にお嫁においで?婚約破棄しないんだろ?」

アルバートは口元に笑みを浮かべた。
レティシアは頷くと、

「そうでしたね!私婚約破棄しないって皆の前で宣言しましたね!そしてアルバート様も婚約破棄しないと…。」

「そう、私達は婚約破棄しない。そして明日夫婦になるんだ。レティ、もう一度言うね。私は君を愛し一生大切にすると誓う。だから私と結婚してほしい。」

レティシアは頷き、

「はい!私もアル様を愛し一生傍を離れません!アル様私を選んでくれて…見つけてくれてありがとう。」

2人は強く抱きしめ合い想いを確かめ合った。



私はこの世界でアル様の為、帝国に住まう皆の為できる限りの事を尽くす。
それがこの世界で私ができる事だ。
最近前世の記憶は料理について以外は少しずつ朧気になってきた。
このまま前世を忘れる日がくるのかもしれない。
でもそれでいいのだろう。
今の私に前世の私は必要ないのだから。

この世界で生きているのはレティシアという今の私なのだから。
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