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どうして
しおりを挟む野次馬になってしまうが、一緒に働いている人達に何かあったのなら、誰であれ心配だ。
「行ってみよう」
ミオもこくんと頷いた。
動いていた人は、あちこちに固まり、とある人達を中心にして人垣を作っていた。見える所まで近寄ると、それは沙那さんと御山さんだった。
ドキンと胸が締め付けられた。普通に話しているだけなら、こんなに人が集まる訳がない。
固まってしまった俺を気づかうように、ミオが腕に手をかけてきた。
皆が息をつめて二人を見守っているので、わずかなささやきでしかない沙那さんの声も拾うことができる。
「……どうして」
「俺は覚悟を決めたんだ。沙那の考えを聞かせて欲しい」
震えている沙那さんの隣に行かなくちゃいけないのに、まわりを跳ね退ける御山さんの威圧感で近寄りがたい。
むやみに割り込むのではなくて、状況を理解したほうがいい、そう考えて唇を噛み締める。
「沙那。結婚しよう」
まわりなんて気にせずに御山さんがプロポーズした。王子めいた整った顔が真剣な表情を作っている。
「なんで、今なのっ…私がどんな思いでいたか知らないくせに……」
「……知っているよ、全部。沙那のお母さんの余命がいくばくもないことも。
お母さんを安心させたくて結婚を焦っていたのも。
お父さんさんから聞いたことはない? 会社の経営陣に外部からヘッドハンティングした人材を置きたいという話。沙那のお父さんの会社は外食産業だろう、それで俺にまで話が来たんだよ。
沙那のお父さんは、俺と沙那が付き合っていることを知らないでいろいろ教えてくれたよ」
何かに耐えるように唇を噛み締めた沙那さんは、ギュッと指を握りしめて顔をあげた。
「……だから? 関係ないでしょうあなたとは」
御山さんの目が寂しそうに細められる。
「関係あるよ。さっきのプロポーズが聞こえていなかったなら、わかるまで何度でも言うから……
俺の話を聞いて理解して欲しい。
俺が沙那との結婚をためらっていたのは、沙那のお父さんの会社が大手外食産業のチェーン店だからだよ。
俺は一度自分の店を潰しているから、沙那と結婚することで会社の経営に携わる自信がなかった。
沙那とは関係なくヘッドハンティングの話が来たけれど、そんな大手で務まるのか自信がなかったから沙那には言わなかったんだよ。
その頃はまだお母さんの病気のことも知らなかったから、沙那が焦る気持ちもわからなかった。
お互い仕事も順調で、このまま仕事を続けながら、いつか沙那と結婚するんだろうと思っていた」
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