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9.宰相令息も愛に散る
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部屋を巡って宝玉を回収し、魔獣の気配を感知しては身を隠してやり過ごす。ヒントメモに従って隠し通路を開き、漸く引き出しの鍵を手に入れた。
下の階層で手に入れた鍵を使うのは、もう一つ上の階層だ。そういえば製作者様は後書き代わりのメタ部屋で、この構成については失敗だったと嘆いていた。
その階層で解く謎やキーアイテムは、その階層で手に入るようにすべきだった。無駄な難易度の上昇はゲームを詰まらなくさせると反省の弁を述べられていたが、初めて製作したゲームにしては驚きの完成度だと私は思う。
一階層で全てが完結するのは確かにやりやすいが、幾つかはこういう不可逆な仕掛けがあってもいいのではないだろうか。そう思えるのはゲームだからであって、今現実として向かい合っている分には、確かにやり込んでいなければ詰むしかないのだろうが。
閑話休題。この階層ではもう一つ、ロザリンドの覚醒を促す重要なアイテムがある。戻り際にとある部屋に入り引き出しを探ると、父の名が書かれた帳簿が出てくるのだ。
ざっと目を通すと、父からの支援金の出納帳だと解る。王太子同様、王妃も私の生活費を着服しており、それを当然のように公爵家に出させていた。私の食費や学費、服飾費。王太子から送られることのないドレスや宝飾品を賄うお金まで、全てがここに記載されている。
同じ所に入っていた手紙は、支援金とその采配を託した相手に宛てられたものだ。王宮での私の扱いに心を痛め、ふがいない親の代わりにどうか見守って欲しいと懇願の言葉が綴られていた。
ロザリンドは自分が尽くしてきた王太子の手によって冤罪が作られたものと知り、更にこういったアイテムを閲覧して洗脳を解いていく。それによってイベントへの反応も変化し、王太子への不信感を育てる事で正しい未来に辿り着くのだ。
これも、王妃陛下の横暴を示す証拠となる。後は魔獣と鬼ごっこしつつ順次宝玉を集め、更に王太子の執務室にある引き出しから横領の証拠も回収するだけだ。
虹と同じ色の宝玉は最期の一つを残すのみとなった。
最後の紫の宝玉は少し意地悪で、他ならぬ謎解き部屋に隠されている。入ってすぐ正面にあるレリーフに気を取られがちだが、入り口すぐ横に隠し通路があり、細いそこを抜けていくと宝箱があってその中に入っているのだ。
宝箱しかない割に、思わせぶりに広い部屋。背後に意識を向けながら宝箱を開け、中身を掴みざま宝箱を盾にするよう体勢を入れ替えた。
「がぁあああああああ!!」
獣の咆哮。否、これは眼鏡の断末魔だ。宝玉を入手するとすぐに出てくる魔獣は、少し前に眼鏡を撥ね飛ばしたあの大きな個体だった。男爵令嬢の悲鳴に王太子の怒号が混じり、少ししてから今度は魔獣の断末魔が響く。
要するにこうだ。視界を悪くしていた眼鏡が魔獣の接近に気付けず、致命傷を受けて倒れた。混乱した王太子は安定の案山子となり、男爵令嬢に襲い掛かった魔獣は護りのカフスによってあっけなく死んだ。
眼鏡が割れていなければ、眼鏡は生存できていただろう。これも私が判っていて見殺しにした結果だが、脳筋の時と同様にそれそのものについて感慨はない。
弱弱しく微笑み、君が無事でよかったと言い残して眼鏡が事切れる。愁嘆場を眺めながら考える事は、次の階層で手に入れるべきアイテムと罠の回避方法だけだ。
『愚かな奴隷は慈しむものを遠ざけて、己を屠るものに縋りつく』
レリーフの声に頷き、私は先の階層に進んだ。
第三階層クリア
この階層での犠牲者 1人
犠牲者の総数 2人
現時点での生存者 3人
下の階層で手に入れた鍵を使うのは、もう一つ上の階層だ。そういえば製作者様は後書き代わりのメタ部屋で、この構成については失敗だったと嘆いていた。
その階層で解く謎やキーアイテムは、その階層で手に入るようにすべきだった。無駄な難易度の上昇はゲームを詰まらなくさせると反省の弁を述べられていたが、初めて製作したゲームにしては驚きの完成度だと私は思う。
一階層で全てが完結するのは確かにやりやすいが、幾つかはこういう不可逆な仕掛けがあってもいいのではないだろうか。そう思えるのはゲームだからであって、今現実として向かい合っている分には、確かにやり込んでいなければ詰むしかないのだろうが。
閑話休題。この階層ではもう一つ、ロザリンドの覚醒を促す重要なアイテムがある。戻り際にとある部屋に入り引き出しを探ると、父の名が書かれた帳簿が出てくるのだ。
ざっと目を通すと、父からの支援金の出納帳だと解る。王太子同様、王妃も私の生活費を着服しており、それを当然のように公爵家に出させていた。私の食費や学費、服飾費。王太子から送られることのないドレスや宝飾品を賄うお金まで、全てがここに記載されている。
同じ所に入っていた手紙は、支援金とその采配を託した相手に宛てられたものだ。王宮での私の扱いに心を痛め、ふがいない親の代わりにどうか見守って欲しいと懇願の言葉が綴られていた。
ロザリンドは自分が尽くしてきた王太子の手によって冤罪が作られたものと知り、更にこういったアイテムを閲覧して洗脳を解いていく。それによってイベントへの反応も変化し、王太子への不信感を育てる事で正しい未来に辿り着くのだ。
これも、王妃陛下の横暴を示す証拠となる。後は魔獣と鬼ごっこしつつ順次宝玉を集め、更に王太子の執務室にある引き出しから横領の証拠も回収するだけだ。
虹と同じ色の宝玉は最期の一つを残すのみとなった。
最後の紫の宝玉は少し意地悪で、他ならぬ謎解き部屋に隠されている。入ってすぐ正面にあるレリーフに気を取られがちだが、入り口すぐ横に隠し通路があり、細いそこを抜けていくと宝箱があってその中に入っているのだ。
宝箱しかない割に、思わせぶりに広い部屋。背後に意識を向けながら宝箱を開け、中身を掴みざま宝箱を盾にするよう体勢を入れ替えた。
「がぁあああああああ!!」
獣の咆哮。否、これは眼鏡の断末魔だ。宝玉を入手するとすぐに出てくる魔獣は、少し前に眼鏡を撥ね飛ばしたあの大きな個体だった。男爵令嬢の悲鳴に王太子の怒号が混じり、少ししてから今度は魔獣の断末魔が響く。
要するにこうだ。視界を悪くしていた眼鏡が魔獣の接近に気付けず、致命傷を受けて倒れた。混乱した王太子は安定の案山子となり、男爵令嬢に襲い掛かった魔獣は護りのカフスによってあっけなく死んだ。
眼鏡が割れていなければ、眼鏡は生存できていただろう。これも私が判っていて見殺しにした結果だが、脳筋の時と同様にそれそのものについて感慨はない。
弱弱しく微笑み、君が無事でよかったと言い残して眼鏡が事切れる。愁嘆場を眺めながら考える事は、次の階層で手に入れるべきアイテムと罠の回避方法だけだ。
『愚かな奴隷は慈しむものを遠ざけて、己を屠るものに縋りつく』
レリーフの声に頷き、私は先の階層に進んだ。
第三階層クリア
この階層での犠牲者 1人
犠牲者の総数 2人
現時点での生存者 3人
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