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6>> 疑惑・2
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「待ってくれ。
しかしその話は全部アリーチェの想像だろう? サバサに直接聞いたのか?」
「なっ!? お母様に直接聞くなんてっ!?! そんな酷いこと考えないで下さい!!」
ロッチェンの提案をアリーチェはゾッとした様な表情で即否定した。
なんて事を言うんだ、とその目がロッチェンを非難する。
「なっ!?」
アリーチェの反応に驚いたのはロッチェンの方だ。
本人に確認を取るのが先だろうと思うロッチェンに対して、アリーチェは自分の体を両手で抱くようにして心底悲しそうにロッチェンを見つめた。
「女が……無理矢理に犯されたのですよ……? そんな記憶を……いくら時間が経っていようとも、思い出させるなんてそんな酷いことをしないでください……っ!
お母様は体だけでなく、心まで汚されたのですよ?! それを今更思い出させるなんて酷すぎます……っ!!」
泣きそうな表情で訴える娘の勢いにロッチェンはたじろぐ。
「し、しかし……」
言い淀むロッチェンに遂にアリーチェはその瞳から一粒の涙を流した。それはロッチェンが初めて見る、長女の悲しみの姿だった。
「わたくしが……この家を出ればいいだけなのです。
お父様に真実をお話したのは、知ってもらわなければお父様はずっと、自分の血を引かない不義の子を自分の子だと思い、わたくしを手放しはしないだろうと思ったからです。
お優しいお父様の事ですもの。お母様を信じたい気持ちでいっぱいでしょうけれど、お母様が今までずっとわたくしにしてきたことを考えると、やはりそうとしか考えられないのです」
「しかし…………」
「お母様には言わないでください!
お母様が可哀想ですもの……っ!
昔のツラい体験を思い出して更にお母様を傷付ける必要などありませんわっ!
わたくしをただこの家より除籍してくださればいいのです。
理由は色々と付けられますでしょ?
婚約が無くなり、後継ぎでもなくなったわたくしはこの家のお荷物ですもの。早くこの家から居なくなった方がいいのですわ」
その言葉にロッチェンは思わず反応した。
「そんな事はない! ……お前にはルナリアの補佐について欲しいと思っているのだ……」
「まぁお父様! お父様の血を持たない他人の子を、それもお母様を汚したかもしれない男の子供を、お父様はこれからも娘として側に置けるというのですかっ?!」
「っ……!」
アリーチェの言葉がロッチェンの心に刺さる。
妻を疑いたくはないが、それを否定できる証拠など今のところ何もない。それどころか『妻は長女を昔から冷遇していた』という事実がロッチェンの頭を満たした。
そんなロッチェンに畳み掛けるようにアリーチェは訴える。
「わたくしは自分が、お母様が無理矢理男に犯されてできた子供だと思っておりますが……もし、もし万が一……
お母様が自ら受け入れて、お父様以外の男性に抱かれていたとしたら……」
「っ?!」
アリーチェの言葉にロッチェンは頭を鈍器で殴られたような気がした。
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「待ってくれ。
しかしその話は全部アリーチェの想像だろう? サバサに直接聞いたのか?」
「なっ!? お母様に直接聞くなんてっ!?! そんな酷いこと考えないで下さい!!」
ロッチェンの提案をアリーチェはゾッとした様な表情で即否定した。
なんて事を言うんだ、とその目がロッチェンを非難する。
「なっ!?」
アリーチェの反応に驚いたのはロッチェンの方だ。
本人に確認を取るのが先だろうと思うロッチェンに対して、アリーチェは自分の体を両手で抱くようにして心底悲しそうにロッチェンを見つめた。
「女が……無理矢理に犯されたのですよ……? そんな記憶を……いくら時間が経っていようとも、思い出させるなんてそんな酷いことをしないでください……っ!
お母様は体だけでなく、心まで汚されたのですよ?! それを今更思い出させるなんて酷すぎます……っ!!」
泣きそうな表情で訴える娘の勢いにロッチェンはたじろぐ。
「し、しかし……」
言い淀むロッチェンに遂にアリーチェはその瞳から一粒の涙を流した。それはロッチェンが初めて見る、長女の悲しみの姿だった。
「わたくしが……この家を出ればいいだけなのです。
お父様に真実をお話したのは、知ってもらわなければお父様はずっと、自分の血を引かない不義の子を自分の子だと思い、わたくしを手放しはしないだろうと思ったからです。
お優しいお父様の事ですもの。お母様を信じたい気持ちでいっぱいでしょうけれど、お母様が今までずっとわたくしにしてきたことを考えると、やはりそうとしか考えられないのです」
「しかし…………」
「お母様には言わないでください!
お母様が可哀想ですもの……っ!
昔のツラい体験を思い出して更にお母様を傷付ける必要などありませんわっ!
わたくしをただこの家より除籍してくださればいいのです。
理由は色々と付けられますでしょ?
婚約が無くなり、後継ぎでもなくなったわたくしはこの家のお荷物ですもの。早くこの家から居なくなった方がいいのですわ」
その言葉にロッチェンは思わず反応した。
「そんな事はない! ……お前にはルナリアの補佐について欲しいと思っているのだ……」
「まぁお父様! お父様の血を持たない他人の子を、それもお母様を汚したかもしれない男の子供を、お父様はこれからも娘として側に置けるというのですかっ?!」
「っ……!」
アリーチェの言葉がロッチェンの心に刺さる。
妻を疑いたくはないが、それを否定できる証拠など今のところ何もない。それどころか『妻は長女を昔から冷遇していた』という事実がロッチェンの頭を満たした。
そんなロッチェンに畳み掛けるようにアリーチェは訴える。
「わたくしは自分が、お母様が無理矢理男に犯されてできた子供だと思っておりますが……もし、もし万が一……
お母様が自ら受け入れて、お父様以外の男性に抱かれていたとしたら……」
「っ?!」
アリーチェの言葉にロッチェンは頭を鈍器で殴られたような気がした。
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