女になった俺と、

六月 鵺

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リッシェンリーダン

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リッシェンリーダンとは本来、大いなる闇と言う意味らしい。

そのことを知っているのは学園のお偉い方と、ハイズだけ。

学園の名前として相応しくない、大いなる闇と言うリッシェンリーダンの名がなぜ使われたのか、誰も知る由も無い。


♢♢♢♢♢♢♢♢


「………………」

晩飯を食べて風呂に入って身体を拭いて、洗面台の鏡を凝視する。全体的に細くなった身体に、このデカさ。嘆かわしい。

「……ん?」

なんか部屋が騒がしいな。
服を着て脱衣室を出ると、紫色のゴスロリを来た綺麗な女と、紺色のキモノを着たなんかかっこいいおっさんがいた。
女はワンリアを膝に乗せて、髪にすりすりしてる。俺に気づいたおっさんが、胸を凝視してきた。

【お~……。やっぱええ眺めやのぉ。年季の入ったババアとは大違いや】

【ババアで悪かったのぅ、若造や。どれ、本体を優しく燃やしてやろうかの】

【燃やすに優しいもへったくれもあらへんやろ】

「で、誰?」

このままじゃいつまで経っても自己紹介してくれなさそうだから、割って入る。

【え?声で分からん?わしやわし】

「啝譚か。なるほどな」

【儂は〈リーガル〉じゃ。感謝しとるぞ?あの書物庫で廃れていくのは御免だからの】

ゴスロリの上からでも分かる、スレンダーかつ豊かな身体。ワンリアが鼻の下を伸ばしてる。

「人型持ってんなら、逃げれたんじゃないの?」

そう言ったら、忌々しそうな顔をして吐き捨てるように言った。

【あの書物庫には、魔導書が勝手に逃げ出さんように、人型を取れんようにまじないがかけられとるんじゃよ。儂が破られんくらい強力での。天の一族か知らんが、いけ好かん奴らじゃ】
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