女になった俺と、

六月 鵺

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リッシェンリーダン

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「とりあえず、リッシェンリーダンまではまだまだかかるからゆっくりしてろ」

だらしなくソファーに寝転がるハイズ。

「言われなくてもそうするよ。あ、そうだハイズ」

「んー?」

「昨日変な夢見たんだよ。悪夢を見る代償なんてあるもんなのか?」

「ない、とは言い切れんな。で、どんな夢だったんだよ?」

「血塗れの剣を持った男が、積み上げられた屍の上に無表情で立ってるんだ。男の目線の先には神が率いる天使と人間の大軍勢。男の後ろには悪魔の大軍勢。男が一歩踏み出した途端戦争が始まる。そんな夢だ。そうと思えば場面が変わって、男が神の槍に貫かれて死ぬんだ。まるで、夢じゃないみたいに鮮明で、匂いまでしてくる夢なんてあるもんなのか?」

そこまで言ってハイズを見る。見たことない様な険しい顔をして、俺を見る。

「その夢……」

「……何?」

「夢の男の顔は、見えたのか?」

「いや、無表情なのは分かったけど、顔は分からなかった」

そう言ったらなぜか心底安心した様に溜息を吐いて、表情を緩ませた。

「……その夢の意味を今はまだ説明出来ないけど、いつか必ず説明してやる。だから今は聴かないでくれ。ただ、男の顔が見えるようになったら絶対に言うこと。いいな?」

「分かった。この夢も、ハンドミンの名前に関係あるのか?」

「そうだ。だからこそ言えない。分かったなら部屋に行け」

俺に背を向けて目を閉じるハイズ。こうなったら何を言っても答えてくれない。俺はただアマネといたいだけなのに、血筋やら名前やら、様々なものが邪魔をする。
いいさ。全部、全部喰らい尽くしてやる。
アスのいる部屋のベッドに寝転がる。

「ハイズ……お前に初めて嘘を吐いたよ」

小さく呟く。初めてハイズに吐いた嘘。夢の中で男の顔は見えなかったのは嘘。なぜだか、言っちゃならない気がしたから。
悪魔の大軍勢を率いる男。あれは俺だった。
あれは未来か、それとも過去か。
知らない事が多過ぎる。でも知ってしまったら後戻り出来ない事を、なぜか知っている自分がいる。
落ちる瞼。心地良い微睡みに意識を手放した。
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